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各都道府県のGW明けにおける感染拡大状況を確認し、三重県のこれからについて考えてみた

都道府県毎の状況を知りたいと厚労省発表のデータを毎日転記しているのですが、今までは陽性者件数を見ていたのに対し、最近話題になってきた「出口戦略」を考える上で重要となってきている医療への負担度を見るため、都道府県別に、10万人あたりの入院者数の推移、および新型コロナウイルス対策のための対策病床の占有率を確認してみました。

特定警戒都道府県以外にもリスクの高い県がある:富山県

以下が人口10万人あたりの入院者数の推移となってます。
実数ではなく人口あたりにすることで医療機関への負荷を見る一つの指標になると考えられます。(無論、医療機関や従事者の数は一定割合の訳ではありませんが、一つの目安として人口比がすぐ分かるため採用しています)

入院者数1

このグラフから読み取れるのは、やはり東京に圧倒的多数の入院者が集中していること、そして、特定警戒都道府県以外にもかなり危険水域にある県があることです。

入院者数2

グラフの縦軸を20人/10万人あたりまでを拡大してみました。
一時期東京の勢いに肉薄する勢いだった福井県は幸い危機的状況を脱して落ち着いていますが、その隣県である石川県と富山県はかなり危険な状況にあることが見て取れます。
特に富山県は特定警戒都道府県に追加指定してもよいのでは?という状況ですが、今回の延長ではそのような話題はなく、他の特定警戒都道府県以外の県と同様、休業要請の一部緩和などに舵を切るようです。

富山県で感染者が急拡大したのは高齢者施設および病院でのクラスター発生が引き金になっているようで、感染者の多くが70代以上の高齢者で占められています。高齢者は重症化しやすく入院日数も長期化するため、かなりの病床が長期間塞がってしまうことも考えられます。

逆に、岐阜県や茨城県は特定警戒都道府県の指定を解除しても良いのでは?と感じます。どの都道府県でも今後は【引き締めと緩和】をかなり細かくコントロールしていく必要が出てくるはずですが、今回の緊急事態宣言延長のタイミングでそういう精密な対処をしていないことが、今後の取組の成否に一抹の不安を感じさせます…

病床の占有率でも危険水準にある富山県

話しを富山県に戻しましょう。
実際の対策病床の占有率がどうなっているのか確認してみました。

病床占有率

病床の占有率も富山県の危険度はかなり高いことが見て取れます。あと一つ二つ高齢者施設や病院でクラスターが発生したら、あっという間に対策病床が満床になってしまうレベルです。

この状況で自粛緩和に舵を切って大丈夫なのか、三重に住む私に実態は分からないので現場の方々を信じるしかありませんが、富山県民の方は全国的に見て特定警戒都道府県以外並にリスクの高い状況にある、ということは自覚して行動していただいた方が良いと思います。

地元三重県は現時点では落ち着いており、生活の段階的再開に取り組める状況(ただし油断は禁物)

入院者数3

三重県の10万人あたりの入院者数は現時点ではかなり低水準で推移しており孤発例も多くありません。また、交流の多い隣県の愛知県・岐阜県も、特定警戒都道府県ではあるものの、実際にはかなり落ち着いてきている状況からも、外出自粛は徐々に緩和し、経済活動を再開しつつ感染拡大防止に取り組む段階に進む事ができそうです。

実際に三重県は早速5/5に「三重県緊急事態措置ver2」を公表し、県境を越えるひとの移動は控えるよう引き続き呼びかけつつ、県内の移動自粛解除や事業の段階的再開を目指し始めました。

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ただ、懸念がないわけではありません
先に掲載した対策病床の占有率が、感染者がこれほど少ないにも関わらず27%という水準にあるのは、元々準備できている病床の数がまだ少ないと考えられるからです。(と思って調べてみたら、実際は上の表に使った病床数88がミスで、もっとありました。以下、その確認を進めます)

三重県には元々感染症の対応が可能な陰圧管理などができる病床は24床しかありません。
 第一種感染症指定医療機関リスト(厚労省)
 第二種感染症指定医療機関リスト(厚労省)

それでは足りないため、今回の新型コロナウイルス感染拡大を受け、一般病床を100床程度、新型コロナ向けに転用確保しました。

加えて、鈴鹿市のスポーツ施設「スポーツマンハウス鈴鹿」に64床分の軽症者宿泊施設を確保したと報道されています。

これらを合算すると
 一種・二種感染症病床24床 + 一般病床100床 + 軽症者宿泊施設 = 188床
となります。

新型コロナウイルス対策ダッシュボードに掲載されている88床は、おそらく一般病床を転用した100床が反映されていないのでしょう。

また、三重県の現在の入院者数も、県の発表と厚労省発表でかなり時間差があるようです。厚労省発表データでは5/5現在の入院者数24名となっていますが、三重県のデータでは5/4現在で16名となっていました。

三重県の状況

県HPに記載の入院者数16名を確保済病床数188床で計算すると病床の占有率は8.5%。これならひとまず安心できるレベルと言えそうです。

それでもおそらく学校閉鎖や外出自粛、営業自粛の第2弾は不可避

しかし、このまま新型コロナウイルスが沈静化するとは考えない方が良さそうです。世界的な感染拡大により、一旦地元で終息してもいつ又地域外からウイルスが流入するかは分かりませんし、完全に防ぐことが困難なためです。そのような状況を踏まえ、三重県の三重県緊急事態措置ver2では再度措置を強化する指標を定めました。

措置強化判断指標

・直近5日間で3つのクラスター発生が認められた場合
・直近5日間で新規感染者数が10名以上増えた場合
・入院患者数が20名を越えた場合

これらのいずれかひとつでも指標を超えた場合には何らかの措置強化を速やかに検討することになるようです。
個人的には「少し厳しめかな?」と感じますが、このくらい慎重に事に当たってもらえるのは歓迎すべきと思います。

全県一律ではなく、生活圏毎の措置強化の検討を

新型コロナウイルスの伝播は人の交流によって起こります。ウイルス自体が移動する手段は持っていない(空気感染しない)ので、ひとーひと接触さえ断てば、ウイルスに打ち克つことが可能です。
しかし、そのために上記の条件を超える都度全県一斉に自粛・緩和を繰りかえしていては経済的にも精神的にも参ってしまう可能性が高いと感じます。次回以降の措置強化は、ぜひ三重県が主導して、より地域の実情に沿った対策をうつことで、感染の封じ込めと生活を保つ取組の両立を目指して欲しいと感じています。

三重県内の感染者発症地域_ページ_1

今までの県内発見45事例でも、実際には松阪/明和以北と伊勢・玉城・度会以南、そして伊賀・名張では状況はかなり違っていました

例えば、四日市で多数の感染者が見つかっても東紀州地域の住民にとってはほとんど影響はないと思えます。そういった場合、一律に県内全域で対策をとるのではなく、県内でも生活圏単位の移動制限をかけつつ、可能な地域は日常を継続する、そういうメリハリが求められると感じます。

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