基本再生算数の比較

日本における新型コロナウイルスの基本再生算数(R0)を中学数学レベルで予測してみた件

実効再生算数は概ね1程度?!

 2020/3/9に新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が新たな見解を発表しました。この中で、新型コロナウイルスの「実効再生算数(感染症の流行が進行中の集団のある時点における、1人の感染者から二次感染させた平均の数)は日によって変動はあるものの概ね1程度で推移」しているとの発表がありました。これを聞いてわたし自身はなんか違和感を感じています。

 なぜなら、実効再生算数(R)=「1」なら1人の感染者が1人に感染を広げるだけなので、感染速度はかなり遅く指数関数的な感染拡大は起こっていないはずだし、仮に「1」よりも少しでも小さいなら感染は収束方向に向かうはずなんです。(これについては以前の投稿をご参照ください)

 しかし、専門家会議の見解のトーンは「爆発的な感染拡大には進んでおらず、一定程度、持ちこたえている

 この表現は読み替えるなら「爆発的には増えていないけど拡大している」ということと思えます。それなら実効再生算数(R)は「2」や「3」ではないけれど「1」よりも大きいと考える方が見解のトーンに近いと思えます。

 そこで、自分なりに今の日本の感染者の増加数から大雑把な「基本再生算数(R0)」を見つけてみようとEXCELをいじってみました。
(なお、「実効再生算数」という言葉は「基本再生算数(R0)」と厳密には違う言葉のようですが、中学数学レベルでは同じと扱って良いように感じるので同じモノとしてこの先話しを進めます)

3/9に陽性判明者が500人になる条件でグラフを書いてみた

 そこで、日本の現時点のPCR陽性判明者数の推移と、5/9時点の陽性判明者数が508人なので、R0=1.0,1.4,1.8,2.2の場合の【3/9時点で500人になる】理論曲線を重ねてみました。
(感染は7日/1サイクルで拡大する、という想定にしています)

基本再生算数の比較

 この図からは非常に大雑把ですが、基本再生算数(R0)は「1.8~2.2のあいだ」から「1.8」程度になって推移しているとみるのが、現実の感染拡大に近い曲線を描いているように見えます。大変残念ですが、専門家会議の言う「概ね1程度」は「R0=1.0前後」を意味するのでは無いと言えそうです。

今後の感染者数増加のペースを予想してみる

 新型コロナウイルスの感染拡大は世界中にパニックを起こしています。これは「先が見通せない」ことによる不安がもっとも大きな要因だと、自分自身を振り返って感じます。

「一体いつまでイベントや会食を自粛すれば良いのか?」
「学校はいつ再開できるのか?」
「近くに感染者が見つかったら私も自宅待機しなければならないのか?」

 いろいろな疑問に答えが見つからないため、より一層不安が増していきます。

 その不安に対抗する一つの情報として、この基本再生算数(R0)想定グラフを対数グラフにすることで、感染者数の推移については大雑把な将来の予想を立てることができます。

基本再生算数の比較 - コピー

 これは、今後も基本再生算数(R0)一定のグラフを先の日程まで延ばしたものです。このグラフからは基本再生算数(R0)が「1.8」のままか、「1.4」程度まで下げられた場合でも、3/20~23頃には感染者数(陽性判定者数)が1,000人を越えると予想できます。

 最初の感染者が見つかった1/6から約2ヶ月で500人を越えた訳ですが、この先はたった2週間程度で倍の1,000人になる、ということです。予想もせずにこの数字の増加を見せつけられれば感染力が強くなったのかと恐怖が増してしまうかもしれませんがそうではありません。今までと変わらない程度の広がり方でもそのくらい増えてしまうということです。

 さらに、基本再生算数(R0)が「1.8」のまま推移するなら1ヶ月少し後の4/15頃には感染者が10,000人に到達することが示唆されています。この人数になると日本人の12,000人に一人感染者が居ることになるので、ほぼ日本全国どこでも感染者が見つかる様になっているでしょう。

 一方、イベント自粛や学校の一斉休校、クラスターの発見と連鎖防止などの対策が功を奏して「1.4」くらいまで下げることができれば5/10頃に10,000人に達すると想定されます。

この春の間に感染者が10,000人を越える前提で心の準備を

 いずれにせよ、日本国内の感染者数は、まもなく桁が変わると予想できます。そのつもりで対策を考えておき、そうならなかったらホッと胸をなで下ろす、そういった心の準備が必要になりそうです。

対策
・自分や家族が感染した場合の対応
 (看病の方法や食料品、生活用品、常用薬の備蓄の確認など)
・自分や家族が感染者と濃厚接触しているのが分かった場合の想定
・会社や学校の対処(事業継続計画(BCP)の見直し)

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