見出し画像

緊急事態宣言後の新規陽性者数/入院療養者数の推移を予想してみた

 2021年1月7日、遂に1都3県に再び緊急事態宣言が発出されるのが確実視されています。(ちなみに、緊急事態宣言は「命令」ではないので×「発令」→○「発出」が正しい用語らしいです……行政用語って難しいなぁ)
 以前から折を見て中学数学レベルで新型コロナウイルスの感染状況について直近の未来予想をするnoteを書いていましたが、今回もやってみたいと思います。この記事がみなさんの行動を考える参考になれば幸いです。

1か月で医療に余裕を取り戻すには、1回目の緊急事態宣言時なみの外出制限が必要?!

緊急事態宣言予測グラフ

 先にわたしの予想から導き出される結論を書きます。2/7までの1ヶ月間で医療体制に余裕を取り戻す(入院療養者数=約13,000人:第2波時のピーク以下)には、7日単位の再生産数Rを0.55程度まで下げる必要があります。

 直近の7日単位の再生産数Rは1.25程度で推移していますので、これを半減以下にするという、強烈な接触機会の削減をしないと実現しません。

 ちなみに、R=0.55というのは過去、第1波の際に発令された緊急事態宣言時のときに達成できています。つまり、医療・福祉、農業、小売・販売、通信、公共交通機関など、社会生活を支える仕事(エッセンシャルワーク)以外は原則止めていた頃に達成できた数字です。

減衰率基準

 今は当時と違い新型コロナウイルスの素性もわかり、感染拡大を防止するためのいわゆる「勘所」も分かってきているため、同じような外出自粛が必要とまでは私も考えませんが、それでも日本に住む市民が力を合わせて、かなり強力な対応をしなければ達成できないと予想されます。

もう少し緩い対応だったらどうなるのか?

 例えば、第2波の抑え込みに取り組んでいた頃程度(R=0.8)に活動を制限したら、医療の余裕を取り戻すにはどの程度掛かるでしょうか?
 この頃は飲食店の営業自粛や県外を跨ぐ不要不急の移動自粛が呼びかけられていました。

緊急事態宣言予測グラフ2

 R=0.8(現行R=1.25比36%減)で入院療養者数が概ね13,000人に到達するのは3月8日となっています。つまり、緊急事態宣言の対応は2ヶ月間必要になると予想されます。

更に効果が低かった場合、夏頃まで努力が必要になる可能性も???

 ただ、社会の雰囲気にはかなり“疲れ”が見えており、緊急事態宣言が以前と同様の効果を発揮しない可能性が高いかもしれない、という予測も出ています。そこで、最後にRが1未満にはなるものの以前ほど下がらない想定(R=0.95の場合)も載せておきます。

緊急事態宣言予測グラフ3

 なんと、入院療養者は1月後半に58,000人を越え(医療崩壊が叫ばれている現状の約1.5倍増)、安定を取り戻す13,000人に到達するには8月中旬まで掛かると試算されました。

 飲食店の営業短縮が、旅行自粛が、離れた家族との再会が、夏まで自粛要請される、という事態になる、という事です……これでは確実に経済が持たない、と素人にも感じます。

短期間で集中的に……みんなで頑張りましょう!!

 政府が繰りかえし「短期間」「集中的」と言っていますが、方針としては間違っていないと感じます。(具体化は? とか、そのための補償は? 医療現場への支援は? など、本当に言いたい事はたくさんありますが……)

 しかし、私たち自身が自分たちの安心できる生活を維持するためには、コロナウイルスの数を減らして、いつでも安心して医療にアクセスできる状況を取り戻す事は不可欠だと感じます。
 すでに様々なところで、コロナ以外でのケガや病気すら満足に医療へのアクセスまでの時間がどんどん延びている地域が増えています。
この状態を何とか脱して再び経済を力強く回すために、今はしっかりコロナを封じこめるタイミングだと感じます。

画像5

【紹介】予測グラフの作り方(計算方法)について

○「R:7日単位の再生産数」

 専門的には基本再生算数(R0:なにも対策を打たない状態で1人の陽性者が何人の人に感染を拡げるか? という理論上の数値)実行再生産数(Rt:対策を加味し、現実では1人の陽性者が何人のひとに感染を拡げているか? という結果の数値)が使われていますが、難しい統計処理が必要になる様なので、簡易的に予測するため “7日間で陽性者数が何倍になるか?”=R(7日単位の再生産数) を使ってグラフを作成しています。
EXCELで使っている計算式は以下の通りです。

<X日の新規陽性者数>=<X-1日の新規陽性者数>*( R ^(1/7))

『R ^(1/7)』は、べき乗の計算式です。7日経過(7回掛ける)とRになる数値の事です。例えば、「1.5」の「1/7べき乗」は「1.059634…」となります。

 なお、グラフ中で使っているR=1.1R=1.25といった7日単位の再生産数は、実際の感染者数の推移やその7日間移動平均のグラフと見比べながら“手作業で”近似しているRの値を探しています。(ちゃんと統計処理したら近似計算できるんですが、中学レベルでは難しいだろうから、手作業でもこの程度のグラフが作れる、という事を示しているということで……←単に自分に近似計算する知識が不足しているだけ(^^ゞ

○「想定入院療養者数」

 もうひとつグラフ中で使っている想定入院療養者数は、新型コロナウイルスの治療目安が10日間である事に注目し、過去10日間の新規陽性者数を合計したら近似できるのでは? という仮定をしてグラフを作成してみました。

<X日の想定入院療養者数>=<過去10日間の新規陽性者数の和>

 この近似予測が適切かどうか、実際の入院療養者数と近似計算で想定される入院療養者数を比較したグラフを作って検証してみます。

想定入院療養者数の一致度確認

 第1波の際に実際の入院療養者数が大きく上ズレしているのは、治療方針が定まっていなかったため一人ひとりの入院が長期にわたっていた事が影響していると思われますが、第2波以降はこの簡単な計算式でもかなり現実の入院療養者数をトレースできている事が分かります。ただ、過去10日間の和では下降線のところで大きめに外れてしまうため、微調整して実際の計算式は以下のものを使いました。

<X日の想定入院療養者数>=<過去11日間の新規陽性者数の和>
 = SUM(x-11日の新規陽性者数:x-1日の新規陽性者数)

以上、新型コロナウイルスの今後を予測するグラフの作り方も解説してみました。EXCELなどの表計算ソフトひとつあれば簡単に近未来が予測できるので、ぜひみなさんもご自身でやってみてください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?