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環境で人は変われるか?

第3回の今日は、「環境で人が変われるか?」という点を自分なりに考察していきたいと思います。会社が小さいという事もあり、人事もやっているので、「変わりたい、だから環境を変えたい」という人に沢山会ってきました。時代的にも個を強くしなければならない、という流れになってきていますので、気になるテーマの一つなのではないかと思います。

前回通り自論からですが、「環境では人は変わらない」と思っています。但し、100%ではありません。80%くらい変わらない。という意見なので、残り20%をどのように活用していくかで、変わることもできると思います。あくまでも私の意見ですが、その考えについて書いて行きたいと思います。

私の成長の法則のひとつに、ホメオスタシス(恒常性)を利用した方法があります。ホメオスタシスとは、人に備わっている平常に戻そうという機能です。例えば、カラダが熱くなると汗をかいてカラダを冷やそうとしたり、逆に寒くなるとカラダを震わせてカラダを温めようとする。これらは人に備わっているホメオスタシスによって行われています。

例えば、毎日ルーチンワークしかしないような会社に働いていて、成長したいがために、毎日夜遅くまで働いているベンチャー企業に就職したとしましょう。最初はあまりの激務に、家に帰った時にホッとする毎日が続くでしょう。このホッとするのは自分の平常時がまだ激務の環境にはないので、ホメオスタシスが働いてホッとするのです。

毎日働いているとこの平常時のラインが上がってきます。そのうち激務の毎日が平常になります。人は今いる自分の環境に徐々に合わせていくというホメオスタシスがあるのです。これが、ホメオスタシスを利用した急成長の仕方です。ただ、この急成長によって人は変わったのか?と言われると、それはちょっと違うかなと考えています。

何故かといえば、環境に自分が合わせていくというのは、自分が周りに合わせていくという他力本願なやり方だからです。その時点で必要な技術は習得できるとは思いますが、この考え方で進んでいくと、その環境の平均点レベルの人間で満足してしまい、何か上手くいかなかった時に、自分の責任と思わず、環境の責任だと考えてしまうからです。

こういうタイプの人は、自分の学歴の低さは親のせいと考えるでしょう。自分が変われないのは、親のせい、上司のせい、会社のせい。環境さえ変えれば自分は変われたはず、変われるはず。このように環境が自分を変えると考えるタイプの人は基本的に他力本願的な思考の人が多いのではと思うのです。

”鶏口牛後”という言葉があります。「大きな組織や集団の中で上の者に従い末端にいるよりも、たとえ小さな組織であってもそのトップになった方がよい。」という意味です。環境さえ変われば自分が変わるという考えの人は、この大きな組織で上の物に従う人にあたります。

どんなに刺激のある環境に属したとしてもその環境に慣れてしまうと、また新しい刺激を求めてしまい、ずっと誰かの作り上げた環境に属して生きていきます。この環境依存して頑張るというスタンスは、元気な若いうちはいいですが、歳を取るとその頑張りが効かなくなり、いつの日か新しい刺激のある環境に行くこともできなくなります。

ここまで読んでくれた人は私の言う変わるという意味が分かってきたと思います。そうです、自分で自分の環境を変えられる人が、本当の意味で変わるという事だと私は考えているのです。実際に、小さい会社に入って環境から変えられる人材になりたい、0から1を作り出したいという人が、10年前と比べ人事をやっていて増えている気がします。

これからはどんどん個の時代になります。個を強くしていくには、他力本願の思考ではダメなんです。仮に組織に属していたとしても、自分株式会社の社長は自分だという事を忘れずにいてください。いつか歳を取った時に、間違っても環境のせいで自分はダメになった。という人生にならないように、自分の環境は自分で変えていく術を身に付けましょう。

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