見出し画像

アンラーン

第9回目の今回は「アンラーン」について書いていきたいと思います。

アンラーンって何??と思う日本人は多いと思います。アンラーンとは英語でunlearn。つまり学習するという意味の逆の言葉です。日本では同じ意味を持つ単語がないのですが、これは日本ではあまり行われない事の一つだからだと思います。今日はこのアンラーンについて少し深堀ってみたいと思います。

過去の学んできたことが邪魔をする

成長していく過程の中で、人は色々な学習をしていくわけなのですが、その過去に学んできた学習が邪魔になるケースというのがあります。

例えば、従来の日本型組織の上司が絶対という縦割りの組織から、完全にフラットな外資系に転職したりしたケースです。こういった場合、前の会社では言われたことをより忠実に実行する事が求められますが、転職先の会社ではそもそも何も言われなかったりするわけです。

このように、ある環境では良いことだとされている事も、別の環境では良いことではないとされているケースは他にも沢山あると思います。

カラーバス効果が新しい学びの邪魔をする

カラーバス効果とは?これは広告業界でよく使われる言葉ですが、例えば赤色を意識すると、世の中に赤色が多くあるように見える現象のことを言います。自分が好きな物が意外と世の中に多く見えるものですが、その物に全く興味ない人に聞くと見た記憶が全くなかったりするのもそうです。

勉強などでも多くあります。自分が好きな人の教えを正しいと思い、その人の本ばかりを買い漁ってしまう。逆に、正反対の意見があると見向きもしない。このようになってしまうと、幅広い知識を吸収できなくなってしまうので、大きく成長するために、アンラーンが必要になってくるのです。

先日の面談の話

先日、親からずっと体罰を受けてきた、そんな学生と面談する機会がありました。プロフィールに少しそういった内容があったので気になっていたのですが、いきなり話すことでもないので、ちょうど話が弾んできた後半に思い切ってその体罰について聞いてみたのです。

その内容は、近所に警察に呼ばれるくらい毎日のように体罰を受けていたらしいのですが、警察が自宅に来てそこで助けてと訴えても、帰る家がここしかない、そうだとしたら我慢し続けるしかない。殆どの場合、友達にすら相談できないので、あまり世の中に知れ渡ることはないそうなのです。

ただ、最近のSNSの発展により、そういった事実が徐々に世の中に知れ渡ってきていると言います。これを聞いて、私は本当にそうだろうか?と思ってしまったのです。つまり、これもその学生が強く意識することで多いと感じてしまうカラーバス効果のひとつなのではないかと。

私たちは、必ずしも自分が強く意識することが、他人が強く意識している事ではないという事を理解しなくてはなりません。これを理解していないと、人は間違った常識の考えのまま行動し、知らず知らずのうちに、新しい人や情報が寄り付かなくなってしまうのです。

聞き手は人を集める

人は年を取れば取るほど、自分の考えが正しいと思うようになります。それは、自分の考えを否定することは、自分のやってきた事が間違いだという事になるからで、人生が長い人ほど、その自己否定も大きくなるからです。

固定概念が強いと新しいことを拒絶する傾向にあるので、人の考えや話もしっかりと聞き入れなくなります。コミュニケーションの一つとして、聞き手上手になることが大事とされていますが、固定概念の強い人は、聞き手上手ではなく、一方的に話を続ける人が多いと思います。

愚痴が多いのもこのタイプで、その結果、人が徐々に離れていくわけです。その逆に、アンラーンがしっかりできるタイプは聞き手上手が多く、人に好かれやすく、多くの人や情報が自分の周りに集まってきます。

日本の環境はアンラーンができない

日本の環境はアンラーンに向いていないケースが多いです。今でこそ多様性を認めようという文化になりつつありますが、いまだに新卒一括採用の企業が多い日本だと、どうしても180度違う考えは否定されやすくなるでしょう。そしてその組織で生き続ける術として、他では常識ではない偏った一つの学びを正しいと考えるようになります。

また、終身雇用が根強く残る日本の職場環境においては、今まで学んできたことを忘れて学び直すというアンラーンの機会も少ないことでしょう。人は失敗の数ほど成長していくもの。学びについても同様で、過去の学びを否定してアンラーンすることで、ワンランク上に成長していくものなのです。

以上となりますが、アンラーンの重要性について少しは理解してもらえたでしょうか?常日頃からアンラーンを頭に入れて、柔軟に新しいことを吸収していく習慣を付けることで、それが更なる成長に結びついていくことでしょう。

五月晴れのない残念な天気の一週間となりそうですが、今週も頑張ってまいりましょう!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?