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「頑張る」という言葉

残暑お見舞い申し上げます。
みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
猛暑が続く日本のみなさま、どうぞお大事にしてくださいね。


現在、オンラインで日本語教師をしていますが、今日はレッスン準備をしていて、こんな文章に出会いました。

「みんなの日本語初級II」p.67

その昔、「頑張って」という言葉をかけられて、涙が溢れ出したことがあります

客室乗務員になりたくて、頑張って、頑張って、頑張って、頑張り続けて、4年、5年、6年が過ぎ、またまた最終試験に落ちました。客室乗務員を目指す人が通う面接対策の塾のようなところに当時通っていたのですが、そんなとき、その先生に「諦めずにまた頑張ろう」と言われました。

それまでなら、何とも感じなかったその言葉に、なぜか突然悲しくなりました。

教室ではぐっとこらえましたが、家に帰って、自分の部屋に戻ったら、涙がわーっと溢れてきたんです。

「あぁ、今まで努力に努力を重ねて頑張って頑張り抜いてきたけれど、それを先生にさえ理解してもらえてなかったんだ」って。だから「また頑張ろう」と軽く言えるんだろうと。いつも身近で指導してくれていた先生にさえも通じていなかったんだ、この頑張りは、と思ったら、本当に悲しくなってしまったんです。突き放された氣持ちになったんです。

それ以来、「頑張って」と軽々しく人に言えなくなりました。

自分が自ら「頑張ろう」と思い「頑張る」のは良いと思うんです。自分の意思ですから。しかしながら、他の人に「頑張って」と激励するとき、状況を見極める必要があると思っています。友人を激励したつもりで、実は突き放している可能性があることを心得なければならないと、自分の経験から思います。


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