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イベントメモ|2019/07/01 プロダクトをつくるとはどういうことなのか? -正しいものを正しくつくる-#DevLOVE

今やエンジニア界隈は空前の「不確実性」ブームです。仕掛け人とも言える広木さんの著作の素晴らしさもさることながら、それほどこのワードとコンセプトが、多くのエンジニアやエンジニアマネージャーの心を掴んでいる証拠だとも言えます。プロダクツ開発、プロジェクト運営、スタートアップ、アジャイル開発、エンジニア組織、人間関係...それなりの経験を積んだ業界人ならば皆、「未来」と「他人」という不確実な二大要素が絡まり発生する日々の新たな問題の数々に、悩み、時には屈し、でも何らか立ち向かってきた経験をもっているのではないかと思います。もちろん自分もその一人です。

今日は、そうした文脈を想像させる期待の著作と、あの増田さんの設計のお話が聞けるとあって、六本木に向かいました。

1)増田さん(@masuda220

【印象に残った点】
・ソフトウェア設計力とは、構造と秩序をもたらし続ける能力である
・創発的な設計活動を生むには、仮設の前の観察と実験の後の考察が鍵
→特に、広く深く調べる観察と、実験の後学んだことの概念を言語化することを怠らないことが、成長に違いを生む
・重要な20%に投資するというパレートの法則は設計にも当てはまる。
→ちなみに重要な20%を見極める方法として、「まず大切か大切でないかのの二者択一を複数回繰り返していく」という話は目からウロコだった。

2)市谷さん(@papanda)

引用:https://m.dotdev.co/the-agile-bicycle-829a83b18e7

【印象に残った点】
・早く少しづつ形にすることの真意(上の図)
・プロダクトオーナーに過剰な期待を抱かない。(仮説検証力がある人がしかもリソースが十分に空いていることなんて・・・)
・QCDのトレードオフが成立しない現実にどう向き合うか?がポイント。
・プロジェクト全体としては変化を受け止められる余白を作り、その一方で短いタイムボックスの中での確実性を高める。
→制約理論(TOC)におけるバッファ管理を思い起こさせます
・間違ったものを正しく作ることを防ぐ、つまり、正しいものを探す フェーズと正しいものを作る フェーズに分ける。
→ちなみに「正しい」という言葉に過敏に反応する人がいるが、どこかにある絶対的な正解を探す話ではない。あくまでも自分たちへの問いかけとして、常に自分たちは正しいことがやれているか?という傾きを与える問いとして、この言葉を捉えたいという説明も、あらゆる事象に当てはまる言葉。

所感

正しいものを正しく作る。このテーマは主にプロダクツ開発を想定しているテーマだと思いますが、受託開発においても耳が痛いフレーズです。

特に企業内の業務システムの場合、正しいかどうか(本当にその仕様で業務成果をあげられるかどうか)の確認に多大なコミュニケーションコストがかかったり、一部の声の大きなユーザの意向を無視できない場合が多く、プロダクツの仕様について十分な仕様検証を行えないまま、どう作るかを決める傾向が多いと思っています。動くソフトウェアやモックアップを早く作り、その感触を現場で確かめるアプローチは、一度作ったら中々アップデートが難しい社内システムでこそ、より確実に行うべきです。

また「正しく作る」という観点こそ、受託を生業とするチームはよりこだわる必要があります。自らの付加価値を示す上でも、顧客企業における実装工数の補完としてではなく、システムに構造と秩序をもたらす設計力の担保こそが、ものづくりのプロとして顧客に提供すべき付加価値であるはずです。改めて見つめ直すきっかけとなりました。

最後になりましたが、増田さん、市谷さん、会場提供頂いたmedibaさん、ありがとうございました。
市谷さんの書籍も購入したのでじっくり味わいたいと思います。



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