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2021年国内ツアー裏話

はじめに

ご無沙汰してます。
ビーチバレーボール研究所の仲矢です。
前回の記事からかなり更新が滞ってしまいました。
約2ヶ月ぶりの記事となります😅

今回はコーチングさせてもらっている長谷川・土屋ペアの今シーズンの振り返りをしたいなと思っています。
まずは各大会の結果から

マイナビジャパンビーチバレーボールツアー2021
第2戦平塚大会 準優勝🥈
第3戦名古屋大会 3位🥉
第4戦都城大会 準優勝🥈
第5戦松山大会 準優勝🥈
ファイナル大阪大会 優勝🥇 👏👏👏

見事ファイナル大阪大会で優勝することができました。
ペアを結成して間もなく平塚大会に臨み、各大会ごとに課題を見つけ、つぶし、修正するだけに終わらず、更に新しいトライをし続けた結果だと思います。

時の運もありますが、新しいビーチバレーボールの形(ここで言う新しい形とはこれまで自分達がトライしたことがないという意味)にトライするという『変化に恐れず』取り組んだこと、ここを評価すべきだと個人的には思っています。

この新しいビーチバレーボールの形とはなんなのか?
なぜこの形にトライしようと思ったのかを共有できたらと思いますので、お付き合いいただけると幸です。

あくまで方法論の一つで、この方法が正解ではないし、誰にでも当てはまるものでもないです。
長谷川・土屋、2人の特徴、スキルを考慮した時にこの方法が『最適解』になるのではないかと思いトライしました。

それではなぜ新しい形にトライしようと思ったのか、新しい形とはどんなものなのかについて見ていきましょう。

Photo by JVA

なぜ新しい形にトライしようと思ったのか

なぜ新しい形にトライしようと思ったのか。
きっかけは6月にタイで開催されたコンチネンタルカップです。

東京オリンピック出場枠がアジアで1枠あり、その1枠をかけた試合がコンチネンタルカップです。
アジアで1枠、厳しい戦いです。
ちなみに北米、南米、ヨーロッパ、アフリカ、アジアの五大陸に一枠ずつあります。

このコンチネンタルカップでは第1フェーズ、第2フェーズ、ファイナルフェーズと3段階あり、全て勝ち抜くとオリンピック出場権を獲得できます。
日本男子は第1フェーズ(東アジア地域2位通過)は通過していました。
タイでは残りの第2フェーズとファイナルフェーズが開催されました。

男子は第2フェーズに4チーム参加していて、結果は、1回戦カザフスタン🇰🇿に勝利!
2回戦(勝てばファイナルフェーズ)でオーストラリア🇦🇺に負けてしまいました。

そのオーストラリアがファイナルフェーズでも良いパフォーマンスで戦い抜き優勝し、東京オリンピック出場権を、獲得しました👏👏👏

オーストラリアチームは何度か合宿させてもらった縁もあり、負けたことは残念でしたが、彼らの努力も見ていたので出場権を獲得したことは心から嬉しく思いました。
納得のいくパフォーマンスでした。
その後の東京オリンピックではアジアを代表して世界のトップ選手と素晴らしい試合を繰り広げていました!

少し話がそれましたが、このコンチネンタルカップでの試合を観たこと、現場での体感、それらを自分自身の中で整理している時に感じました。
このままではこの先も日本は世界、いやアジアでも勝てないと。

今いる選手がダメだとかそんな話では勿論ありません。
自分自身のビーチバレーボールに対しての理解度、試合にどうやって勝つのかというイメージの解像度が低くくこれじゃダメだと。

それまでも自分自身のビーチバレーボールに対しての理解度や、ゲーム性への解像度が十分とは勿論思っていませんし、勝ち抜くのは難しいことは分かっていましたが、日々学び続けていた自分達はどれぐらい通用するのか、自信とは違いますが、一種の期待感のようなものは持ってコンチネンタルカップには乗り込んでいました。

が、見事に打ち砕かれました。

帰国後、2週間の隔離があった為、コンチネンタルカップの試合の映像を見返したり、ワールドツアーの映像を見たり。
隔離が明けてからは東京オリンピックが開催されたのでオリンピックの試合を観て、どうすればこのレベルの選手と戦うことができるのか、勝率は低いかもしれないけど、10回やって1回勝てるのならそれをどう戦ったら引き寄せられるのか考えました。

自分の中で出た1つの答えは『相手のディフェンスを機能させない回数をいかに増やすか』です。

この説明だと分からないですよね。
これから説明していくので、お付き合いください。

新しい形とはどんなものか

新しい形とは先程書いた『相手のディフェンスを機能させない回数をいかに増やすか』です。

その説明の前に、僕が個人的に思っている、自分が選手時代も含めて触れてきたビーチバレーボールとはどういったイメージなのかを説明させてもらいます。

それは、レセプションからもディグからもパスを前に出し、そこから直上にあがるセットをもらいスパイクを打つというのが基本的な形だと思います。
(この説明で伝わりますか?汗)

打ち手の特徴や好みにより、パスを返す場所が違ったり、セットの高さや長さが異なるとは思いますが、基本的な形は変わらないと思います。

世界を見渡しても正確な割合は分かりませんが、ほとんどのチームがこの基本的な形でビーチバレーボールを、展開していきます。
あえてここではスタンダードビーチバレーボールと呼びます。

日本人は人種的にも背が高い選手が海外の選と比較しても少ないです。
ビーチバレーボールは無差別級なので、背が高い選手が有利なスポーツであることは間違いありません。

これまではその身長差、体格差をビーチバレーボールのスキルで上回ることに目を向けてきたと思います。
(あくまで、個人的な意見です。)

パスの精度、トスの精度、サーブの精度、スパイクの精度、ショットの精度を磨いてきました。
勿論、これらのスキルは必須事項です。
スキルの精度がないとそもそも戦えません。
高さとパワーの前にケチョンケチョンにやられます。
スキルのクォリティーは世界戦では最低限必要です。

同じぐらいのスキルを持った背の低い選手と背の高い選手が試合をしたら。
背の高い選手が勝つんです。
世界のビーチバレーボールも進化し続けているので、背が高くても動けない、背が高いけどパス、トスできないという選手はもういません。
なんならスキルも高いです。

体格のハンデがあるのに同じスタンダードビーチバレーボールの戦い方をしていては勝てないのです。

体格の差は埋められない。
(この先背の高い選手が増えてくるといいですね)

スキルも圧倒的な差をつけることができない。
(世界のビーチバレーボールのスキルが伸び続けているから)

では何で優位性を生み出し勝ちに繋げるのか。
戦うシステムを変えようと思ったわけです。

『相手のディフェンスを機能させない回数をいかに増やすか』は試合をするうえでのシステムの話です。

ビーチバレーボールはラリーポイント制なので各プレー毎に点数が入ります。
サイドアウトを両チームが切り続けることができれば点差はつきません。
どちらかのチームがサーブ権を持った時に得点(ブレイク)しなければ勝敗が決まりません。

サイドアウト率が高く、サーブからのブレイク率が高ければ勝てる確率が高いと言えます。
自分の感覚ではサイドアウト率が50〜55%、ブレイク率が35%、もしくはそれ以上だとかなり良い数字だと思います。
勿論、数字なので試合の内容によっては大きく異なりますが、海外のチームと試合をして日本チームがこの数字を出せたらほぼ勝つと思います。

あくまで数字ですが、自分達のサイドアウト率、ブレイク率をどれだけ下げずに戦うことができるか、『相手のディフェンスを機能させない回数をいかに増やすか』というシステムを持ち込んだ挑戦が始まりました。

国内ツアーのYouTube配信を見ていただいた方はご存じだと思いますが、長谷川・土屋ペアはある程度速さのあるセットをアンテナまで伸ばして攻撃をしていました。
インドアバレーボールのサイドからの攻撃と似た形です。
このコンビをすることで、相手のディフェンスを機能させない回数を増やしていくことにトライしたわけです。

この攻撃のメリットは相手ブロックの位置取りが難しくブロックの位置がズレる確率が高かくなることと、相手ブロックが高さを失い手を前に出しにくくなるので被ブロック率が下がり、攻撃の決定率が上がることです。(当研究所比)

他にもメリットはありますがこれ以上は企業秘密というとで😉

デメリットはスタンダードビーチバレーボールよりもパス、セットの精度が求められるのでミスのリスクが高くなること、スパイカーも打つスキルが求められるのでミスのリスクがこちらもつきまといます。
(こちらも当研究所比。笑)

スタンダードビーチバレーボールで試合をしても長谷川・土屋ペアであれば戦えたと思います。
ビーチバレーボールのキャリアもあり、スキルも高い、ペアとしての相性(仲が良いとかそんな話ではなく選手としての噛み合わせのようなもの)もいいので。
でも、あえて言います、国内大会ではです。

コンチネンタルカップの経験からビーチバレーボールの基準はあくまで国際戦。
スタンダードビーチバレーボールでの限界はコンチネンタルカップ、オリンピックで見ました。

選手にも伝えました。
国内ツアーでなんとなく勝てる方法(慣れ親しんだビーチバレーボール)を取るのか、あえてリスクを背負って世界で勝つ為のトライを今からするのか。
選択肢はあるようでありませんでした。笑
やるか、やるか、やるか。
よくぞトライしてくれました👏👏👏
(トライしたのはこのシステムだけではありませんが)

『相手のディフェンスを機能させない回数をいかに増やすか』システムはまだまだ未熟だし、完成などしていません。(事実、国内最高身長のペアには勝てていない)

でも、チャレンジあるのみです。

6月にコンチネンタルカップでタイに乗り込み、5ヶ月後再びアジアチャンピオンシップでタイに🇹🇭
勝負事なのでやってみるまで分かりませんが、待ちに待った世界戦への挑戦権。

やらない後悔より、やった経験。
見逃し三振ではなく、空振り三振。
やるか、やるか、やるか。
最高の準備をして戦いたいと思います。

男女3チームずつ参加します。
日本チームの応援よろしくお願いいたします🇯🇵

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、長谷川・土屋ペアでの出場はアジアチャンピオンシップが最後となります。
ペアとして、チームとしてのラストダンス!

アジアチャンピオンシップでの『相手のディフェンスを機能させない回数をいかに増やすか』システムがどう機能したのか、課題はなんなのかをまた共有できたらと思っています。(リクエストあれば。笑)

最後までお付き合いくださりありがとうございます😊
今回のビーチバレーボール研究所は以上です。

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