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人生会議

 誰でもいつでも、命に関わる大きな病気やケガをする可能性があります。命の危険が迫った状態になると、約7割の方が医療やケアなどについて、自分の意思や希望を伝えることが出来なくなると言われています。ですから、常日頃から自分が大切にしていることや、誰とどこでどのように暮らしたいかを考え、周囲の信頼する人たちと話し合っておくことが重要です。このように本人・家族や友人等周囲の人と繰り返し話し合い共有する取組みを、厚生労働省は「人生会議」と名付けました。
 「2025年問題」を皆さんはご存知でしょうか?今、日本で一番人口の多い団塊の世代の方たちが後期高齢者となるのが、これ以降です。それは日本の歴史上、最も死亡者が多くなる時代で、「多死社会」とも呼ばれています。「治す」ことを追求して発展してきた日本の医療ですが、今、80歳以上の高齢者の死亡数が爆発的に増えていくこの「多死社会」を迎え、皆が亡くなるまで治し続ける最期で良いのかという命題が私たちに突きつけられています。

 最期まで治療を行うということは、その人に食べる力や水分を処理する力がなくなっても点滴を続けてしまうことになります。そして体がむくみ、痰が増えて、つらい吸引が必要となり、ずっと絶食のまま亡くなります。しかし、その人の命に向き合い、体が拒否をする点滴をしない選択をすれば、吸引は必要なくなり、最期まで食べるというチャレンジや住み慣れた場所へ帰ることができるという希望も出てきます。
 死に向き合えば自分がどんな最期を迎えたいかを考えることができます。「逝き方」を考えることは、「生き方」を考えること。いつか亡くなる時に本人もご家族もいい人生だったと納得できる最期を迎えることができればいいですね。
 この「人生会議」で大切なことは日々の会話です。「決めなくてもいいからいっぱい話をしよう」ということなのです。どこで死にたいか、病気になった時どうしたいかなどの重い話ばかりしなくてもいいのです。

 あなたは何が好きですか、何を大切にしていますか。自分の思っていることを大切な人に伝えておく事が大事です。笑顔でいろんな話をしてください。結論を急ぐことはありません。何回変わっても、迷っても良いのです。そうすることで、予期しないことや自分らしさを見失いそうな時に、どのような医療やケアを望むかをみんなで納得しながら選択していくことができると思います。元気なうちから、いっぱい話をしていきましょう。それが「人生会議」です。

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