意味などないが
意味と云ふものについて考へる。アトピーの指先は腐っているやうにぐしゃぐしゃだ。存在意義、と云ふ言葉を口の中で枕に吸い込ませた秘密のやうにもごもごする。
ガアデニングする人々、来ない予約客、トマトの光沢を備へた曲線、歯の痛みやエトセトラ……。
あなたは他者ばかりを責めていると男1に云ふ女1に、あなたはそうやって他者ばかりを責めていると云ふ男2に、あなたはそうやって他者ばかりを責めていると云ふ女2に、あなたはそうやって……。
香木に燃す夕暮れ、庭常の花が爆ぜた。
変声期特有のエンゲージメント、免税、基本周期、園芸意見書。
むくれた花朱欒の野暮な生白さがやけに蛍売りの男の癇に障るやうで、嘆息ばかりがやけに明るゐ。
パチパチと爆ぜる庭常で指先を火傷した娘の涙、闇夜を下支える叢にとろりと落ちる瞬間を見てゐた。
意味は説明しがたゐが暗示めいた雫の音。
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