美しさと寂しさと言葉の無力さに
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玉虫色に光る夢から削り出した鉱石を砕いて、粉々にして飲み込んだ男の喉や腹がきらきらと光るのを見ました。
景色がすごい速度で変わっていく、今朝は食欲があまりない、複雑に絡み合う感情のほぐし方を書いた書物の数行を口に含んでしゃぶること。
やせっぽちの犬と暮らしてゐた日のことを覚へている。悪しきものは当分近寄れないよと私が云ふと、彼は安心して睡つた。
点綴する星たち、叢時雨のあとで。なにもかも美しく翳らす夏の光に少し嘘を聞いている素馨の花はあの女の泣き聲とよく似てゐる。あゝ、泣かせたくなゐと云ふのに。
跣足のまゝ、胸につけてその足の裏を、とてもふにふにでひんやりとしてゐて氣持ちの良い。
雨落石の上に腰掛け、小さな嗄れ聲で改行した夏暁。またひこばへてくるおもひを撫ぜる指先で、同じ指先で貴女をそっとなぞらう。
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