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やっぱり川が好き

この夏最後になるであろう川遊び。
やっぱり川は好きだ。泳いだり釣りしたり、あっという間に過ぎる時間。冷たい水にガタガタ震えながらも、楽しそうに遊んでいる子供たち。現実を忘れて僕も楽しんでいた。
ちなみに釣れた魚はハヤ。

僕の小学5年、6年の夏休みの半分は、母方の実家で過ごしていた。
母の実家は人口2、3千人の田舎の村で、綺麗な渓流のある山の中。そんなところで、祖父とよく自然豊かな誰もいない綺麗な川で、山女魚釣りをしていたのを今でも良い想い出として記憶している。

釣りも昔ながらの1本竿でのミャク釣り。エサは水中の石や岩をひっくり返すと姿を現すカワムシだ。
その頃よくエサとして重宝していたのはクロカワムシ。見た目は紫っぽいイモムシのような、一見グロテスクなムシ。でも、これがよく釣れる。

だから、今日の釣りのエサも現地調達。先日はエサ用のイクラを持参してはみたが、全くダメだった。やっぱり魚も自然のモノが好きなのだろう。

ただ、子供を連れて行くところは、昔の僕が祖父と行っていたような山の中ではなく、それより下流で比較的安全な場所。と言っても、その少し下流に行けば鮎釣りをしている人がたくさんいるような急流になっているところなので、まだまだ上流と言われるところ。そんな場所なので、ポイント的に流れが穏やかになっていて、そこまで深さもない安全な場所に行ってきたというところだ。
楽しいけれど、自然は怖い。僕は祖父のように山や川を知り尽くしているわけではない。だから、子供達にとって比較的安全で、もし何かあっても助けられる場所を選んでいる。もちろん、ライフジャケットも装着させて。

そんなところだから、やっぱり山女魚はいないのかもしれない。

それに、ずいぶん川釣りもしていなかったのでエサ探しも下手になっていて、クロカワムシもあまり見つけられず、他のカワムシをエサにして釣りをしていた。

ハヤ釣りでも子供達と一緒なら十分楽しいですけどね。

でも、よく川を見ていると、10数メートル上流にピピッと僕のセンサーが反応するポイントが目に入ってきた。

あそこ山女魚いそうだ。ほんの僅かしか捕まえられなかったクロカワムシを釣り針に刺し、子供達に水に入るなと言い聞かせ、そのポイントに向かう。
どこか勝負を仕掛ける気分。

そして、一投目、良いところに着水。少し深みになっているポイントだったが透き通るような水のため魚影が僅かに目に入った。次の瞬間、ググッと当たりがあった。それまでのハヤより引きがよい。何だろう、心を少し躍らせながら引き寄せる。そして水面に姿を現した。綺麗なパーマーク、間違いなく山女魚だ。数年ぶりの山女魚、その時の山女魚も10年以上振りだったので、テンションが上がる。子供も、それまでより大きな魚影に声を上げる。
そして、子供の名を呼び、山女魚が釣れたぞと言った瞬間、逃げられた。
ショックだった。それから数時間経った今でも思い出すと悔しい。

でも、川の女王と言われるだけあって綺麗だった。姿を見られただけでも良かったことにしよう。

山女魚釣りも楽しい。やっぱり川が好き。




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