パリ五輪とロス五輪への船出

2024パリ五輪サッカー男子メンバー発表となりました。まずはメンバーを。
GK
小久保玲央ブライアン(ベンフィカ→シントトロイデン)
野澤大志ブランドン(FC東京)
佐々木雅士(柏)

DF
関根大輝(柏)
半田陸(G大阪)×ケガで離脱
大畑歩夢(浦和)
木村誠二(鳥栖)
高井幸大(川崎F)
西尾隆矢(C大阪)
鈴木海音(磐田)※
内野貴史(デュッセルドルフ)※追加招集



MF
藤田譲瑠チマ(シントトロイデン)
山本理仁(シントトロイデン)
川崎颯太(京都)
三戸舜介(スパルタ・ロッテルダム)
荒木遼太郎(FC東京)


FW
平河悠(町田→ブリストルシティ)
佐藤恵允(ブレーメン)
斉藤光毅(スパルタ・ロッテルダム)
藤尾翔太(町田)
細谷真大(柏)



以下、バックアップメンバー
レギュレーション変更により事実上のメンバー
GK佐々木雅士(柏)
DF鈴木海音(磐田)
MF山田楓喜(東京V)
MF佐野航大(NEC)
FW植中朝日(マリノス)※佐野に代わり追加招集

トレーニングメンバー
GK荒木琉偉(G大阪)
DF塩川桜道(流経大)
DF本間ジャスティン(神戸)
MF佐藤龍之介(FC東京)
FW神田奏真(川崎)


まず前提条件として大会に参加する意義が変わってきています。他の競技もそうでありますがサッカーという競技においては五輪<W杯という価値で、原則各国動いています。
 またW杯優勝経験国、あるいは準ずる国(イングランド、フランス、イタリア、ドイツなど)はA代表チームが最優先で育成年代の一大会ぐらいの考えでしょう。スペインやオランダを筆頭にポルトガル、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイなどは過去の選手選考や育成年代の動きを鑑みてもそこまで重要視こそしていないまでも軽視はしておらず比較的その世代の一番いい選手を呼んでいるという印象です。
日本代表が真の意味でW杯優勝を狙ってもブラフとは言えないようになるなら少なくともその世代のベストでなくてもメダルが最低でとれるようになるのがし目標でもいい。
松木が呼ばれていないことも驚きで03~04年の下の世代(早生まれ含む)の割合で考えてみても、96年大会ー12/18、00年大会ー6/18、04年大会ー3/18、08年大会ー4/18、12年大会ー4/18、16年大会-5/18、20年ー大会6/22、24年大会1/18という観点でも人数が少な過ぎる。個人的には中田英、本田圭の系譜の強い個性の選手だけにぜひ国際大会で日本代表としてプレーして欲しかったです。
GKの鈴木彩はパルマにステップアップとなりメンバーに残らず。予選で活躍した小久保は彼にかわりシントトロイデンに移籍しました。移籍したてでクラブに集中してもらいたいなと個人的には思いましたが、日本人が多いクラブなのでスムーズに選考されてました。佐々木も帯同。オランダで躍動している長田を呼んでほしいところでした。J組では小畑、藤田だけではなく、三井、山田大、西川幸、春名、東ジョン、田川、バーンズ、西村遥、菅沼、上田、高山、中島佳、遠藤雅、若林、谷口瑠、黒川、春名らがいる。大学生では木村凌、佐藤瑠、上林豪、ヒル袈依廉、西澤翼、前田宙、カウンゼン・マラ、ベンマムン、デューフエマニエル、藤澤芭、松原快、海本慶らも候補だったはずだが欧州組が複数人いる上、J組にも所属先で出番のある史上最強の戦力だった



CBは個人的には少し不安なポジションかなと感じていました。既にA代表招集歴のある西尾ですが23年度に苦戦した為、絶対的な存在になれていません。冨安級のポテンシャルを持つ高井も川崎でレギュラー格ですが確保はできていません。2名とも確実にJリーグで地位を確立してきていはいますがA代表にすぐさま呼んで使えるかというと現時点でそこまでではないかもしれません。木村はようやく今季継続的に出始めたばかりで鈴木海は栃木での実績と戻ってきた磐田での活躍こそ期待できますが正直なところ過去の五輪時点に比べるとそこまで軸といえる選手がいないとみてもいいすぎではないように感じます。特大なポテンシャルを持つチェイスアンリもブンデスとはいえ2ndチームでしか実績がなく、馬場もレギュラー格でしたが所属の札幌が降格争い中という状況です。J2、J3まで活躍している選手という条件を拡げるなら田中隼、藤原優、牛澤、山田奈、尾崎らも候補だったかもしれませんが切磋琢磨しあうような競争とまではなりませんでした。OA候補に冨安、板倉、伊藤洋、谷口、町田どが噂に出ていましたがもっとリアルな候補はいなかったのでしょうか。欧州組なら渡辺剛、瀬古、藤井陽、角田などはどうでしょう。冬移籍の藤井や角田は可能性低めですがA代表の1、2番手は呼べる可能性が低い。そうなるとベルギーやスイスでコンスタントに活躍している2人はチーム力アップに貢献したはずです。監督の古巣の鹿島時代の関係を考えて昌子or植田らを招集するのはリアルだったのではないでしょうか。CBにリーダーシップを発揮したり、雰囲気をしめるような選手を1人2人いれればチーム力は更に上がったはずです。
他にも神橋、佐古、竹内諒、土肥、ヴァンイヤーデン、伊東進、二ノ宮、田中隼、波本、大和、大森慧、尾崎、諏訪間、菊地、松村晟、宝納、行徳、藤原優、工藤孝、アッパ、坂本稀、池谷、小澤、高橋櫂など挙げたらきりのないくらいの有望株の選手がいました。





日本というお国柄を考えると長身のSBは珍しく名手の酒井宏樹でも182cmでした。関根はその意味で日本人らしからぬサイズながら攻撃力も大学進学後に急成長。対人力に定評のあり世代を牽引する存在だった半田との使い分けをする案は悪くない選択肢でした。半田の離脱により内野が緊急追加招集されましたが、に強く両サイドをこなせるのは半田に似ていますしこの五輪代表では常連に近い選手ですしブンデスでの経験もかなり積んできていますので問題ないでしょう。一方左の大畑は高校時代からJでプレーする世代では早熟なタイプです。タッチライン際を駆け上がり相手の嫌がる中央にもパスを放て、インナーラップで分厚い攻撃に貢献できるタイプ。他にもバングーナ、中野伸、畑らは呼ばれて文句なし。西久保、奥田、加藤聖らがいますし、J2まで視野をひろげると石田、平瀬、中村拓、成瀬あたりまでは候補といえたでしょう。望月ヘンリーやモヨマルコムらは他国にルーツを持つポテンシャルタイプですし、使っていけば大化けした可能性もあります。西坂、入江、越道、桑原、今井、稲垣、植田悠、村井清、貫、吉村海らは経験値がなさすぎですが欧州では前田ハドーや小橋エンスリン海、西眞之介、松田隼、高橋ニコ、吉永夢などもプレーしています。
結局大岩監督はメンバーをかなり固定して競争をさせていない印象でした。A代表ならそれでもわかるんですがこの人がポスト森保なのだとしたらとても恐ろしいなと感じます。これだけの人材がいながらもOA枠に本職の選手ならまだしも伊藤洋の話があったのは何とも考えものです。今季大インパクトの濃野も呼ばれすらしませんでした。大岩氏の古巣でもあるにも関わらずです。
ボランチはなんといっても松木が呼ばれないのは不可解の極みでした。W杯より国際的価値や拘束力はないので致し方ない面もありますが、サウサンプトン(労働許可の絡みでギョズテペにレンタルする噂もある)に交渉はできたはずです。藤田、山本理のシントコンビとのトリオは攻守のバランスがとれた構成です。藤田同様にポスト遠藤航とされる川崎も出場歴こそないですがA代表経験者、松岡、田中聡らも海外でのプレー経験者ですし、この世代はボランチが充実している世代です。マリノスの天才山根陸、レンタルで成長した神戸の櫻井辰、大分の弓場などもここに入っていいプレーをしていました。その相棒の保田も印象的でロス世代で試して欲しかった(早生まれで05年生まれ)選手です。鎌田の弟の大夢も興味深いです。韓国籍のヒョンリオも日本育ちですし、楢原、下田、大関、大迫、吉田陣、西谷、植田、岡澤、小川、らレンタル先のJ2、J3で活躍している選手。成岡、松本凪、土屋巧、宇野、安斎颯、石浦、鈴木淳之介、瀬畠、船橋、熊沢、土肥、美藤、オアクマンジョン(滝沢力、メルヴィルU)、谷岡、谷村、森田、細谷、徳永、久保に並ぶ天才と期待された中井こそスペインで苦戦していますがオランダ育ちの池下、三角、オタボーケネスの帰化などはサプライズになったかもしれません。
遠藤航が候補に上がったのは代表のキャプテンで若手の手本となることからでもいいでしょうが監督交代のリヴァプールでの立場では難しいため参加できませんでした。

敢えて苦言を呈するなら彼らのライバルになりうる選手が台頭しきっていない点は気になるところである。決して山本理や松木はIHという視点では荒木や三戸もカウントされるがこの世代はボランチ陣に豊富な人材がおり正直不安感はかなり先人達より低い(CBやDHは少なくとも五輪の時点で多くの経験をJや欧州で経ているものが少なかった)為、攻撃的に行くときに2ボランチにしてOHをおくか、IHを1名彼らにして攻撃的にするオプションの一つに過ぎないだろう。三戸はWG、荒木はSTトップ的な役割を任されることも多い。佐野航はおそらく当初から22名呼べていたら呼べただろう。兄の海舟の問題が影響しているというのはゴシップにすぎない。ポルトガルで修行中の福井はアピールが遅い印象です。大型のアタッカーとして期待期待したい高田颯なども一度みて見たかった印象的な選手です。
アタッカーは久保健に匹敵する逸材と言われた斉藤光がオランダでの活躍を経て活躍しました。同じくスパルタで活躍する三戸と躍動しました。パワフルな佐藤恵との使いわけで相手ゴールを脅かしています。タフさもあるスピードスターの平河が負傷してしまったのは痛手だが藤尾も活躍しており大きなマイナスにはなっていません。レギュレーション変更があり山田楓や植中が起用できるようになったのですが久保健や鈴木唯の不在は影響が少なさそうに感じます。層の厚さは確実にあがりました。
ハーツの小田やいわてで修行中の西川、直近の試合でのパフォーマンスが目立つ浦和の武田英、川崎の宮城(レンタル先で成長も復帰後は苦戦)、三戸に続く欧州入りの可能性もある小見、三笘2世候補のFC東京の俵積田、磐田の古川、名古屋の倍井ら剥がせるタイプやこの世代最高のスピードスター横山(バーミンガムに移籍)などもいます。同じ鳥栖の日野や本田風は成長が足りないですがJ2など他の選択肢まで考えると長崎の笠柳、ポーランド2部でプレーする手島、1部でプレーする檜尾、今季移籍した仙台で2桁にせまる得点を奪う相良、レンタル先をかえた永長(群馬→宮崎)、甲田、安田虎、新井悠、香川を彷彿とさせるセレッソ北野とヴェルディ熊取谷、北野とセレッソの攻撃陣をけん引することが期待される大宮からステップアップの柴山、今季は群馬で修行中の樺山、新潟でのパフォーマンスからマリノスに復帰することも期待される松田(24年度はやや苦戦)長崎で活躍する松澤、鹿島の俊英松村かとテクニシャン須藤、角昴志郎、山内日、中村草、鶴野、鮎川、近藤友、永田寛、藤井皓、鵜木などまでと考えると沢山の候補がいます。大学生の山崎太、アメリカの大学に渡った山崎倫、堂安の2世の中村仁、大分の逸材屋敷、ポルトガルに挑戦した行友(早生まれ)や廣井、西堂、荒井、浅倉、中野桂、芦部、窪田、大渕、浦、高橋隆、などまで視野を拡げてほしいところでした。
他にも過去のように帰化選手を考えると二重国籍のあるレジェンドの息子ルシアン・リトバルスキー。大宮(徳島から八戸レンタル)に移籍しステップアップ感のあるオリオラサンデーとYSのオニエプロミスのナイジェリアコンビ、熊本でデビューし名古屋にステップアップしたターレス(徳島に夏に移籍)、富山のエンリケのブラジル人などは候補だったでしょう。

以前のようなアジア予選が何か月かかるリーグ式で何試合もh&aなら多くの選手を試していく面もあるのでしょう。リオ世代から期間(1か月ほど)を決めた一発勝負の予選ではそれも難しいというのは理解できます。ただ五輪は世代別の大会です。それであればクラブでまだブレイクしてない選手やJ2、J3、大学生、高校生まで視野をひろげてもいい気がします。人材が豊富になり、プレーする場面も増えた為、欧州組重視になり本来の世代別の目的である若手の国際経験という点をむしろ無視している感もあります。
CFの細谷はいつ欧州挑戦するのかというくらい国内でのプレーぶりはよくタフでオフザボールの質の良さも光ってます。藤尾も町田でパワフルさを身につけ、ウイングもこなす万能さを五輪でも発揮し活躍していました。2人は世界の舞台でしっかりとゴールを奪い日本人でも通用すると示したと思います。
ただ世代別だけに大型のFWは個人的には試して欲しかったと思っています。少なくとも継続的に呼ばれていた筑波の内野は1年生のころから13点を奪い活躍。アジア大会やU23選手権でも活躍。細谷、藤尾と違うキャラクターで五輪で貴重な高さをもたらしたのではと思います。下の03ー04世代の中には欧州で活躍しはじめている福田師、熊田、二田(浦和移籍、インスブルックのセカンドで3部ながら大暴れ)の3人はこのままの成長次第ではA代表に関われそうです。アンデルレヒトで活躍している後藤も一つ下の世代のエースですが磐田時代のパフォーマンスをみれば一度みたかったです。
東京ヴェルディの木村(9点、早生まれ)と染野(6点)のコンビは今季チームの中位進出に貢献、湘南の福田は昨年度J3で暴れステップアップしたところ今季はJ1で6点を奪っている。J2で躍動しはじめた若月、22年の7点ブレイクしきってない印象の櫻川、今季はガンバで中心になっている坂本一、SB起用で殻を剥いた感もある西野あたりまでは少なくともコアメンバーには入って1、2度は試して欲しかったです。
久保征、寺沼、小堀、南野(ガンバから)、小野関、中島(札幌から)、唐山(ガンバから)、内藤、真家、小林俊、森重、冨永虹、前澤拓、鮎川(広島から、アジア大会などは参加)、阿部要(浦安にレンタル)、今治で12点をあげたこともある千葉(藤枝にレンタル)、山口の生え抜き河野などJ2でも活躍中の選手はいました。昨年度J3であるが2桁の実績をあげたブラウンノア(徳島に移籍)や岐阜の田口裕も数字の実績があるため一度は見たかった。富山の碓井も24年のプレーをみると面白い存在だったでしょう。
前年7点を奪い可能性を感じさせる寺沼、スペイン帰りの鈴木イブラヒム、相模原での経験からステップを踏んでいきそうな栗原、セネガル人の父からのポテンシャルを感じるセリンサリウ、かつてはCBだった秋田の松本ケンチ、いわきで修行中のブワニカ、柏のオウイエなどはアフリカにルーツをもつフィジカルに恵まれたタレントですか国際舞台を代表レベルでは経験しきれませんでした。勿体なかったと後から思うのではないかと考えています。
コロナ禍で満足な10代だったとはいえない経験値の彼らがどこまで成長していくのかは次のロス・メキ・カナダ共催とその次の6ヵ国共催で答えがでるでしょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?