2023年5月 U20W杯を終えたファンの勝手な感想⑤SBのこと


SBは左右分けて語りたい。
 左はなんといっても中野伸哉(03年・176cm)だろう。高2でJリーグデビュー。当然この世代では現時点で最もj1での経験値を持ち、唯一のU17W杯経験者。上の世代のU20予選 (2019)にも参加、その勢いで東京世代の合宿にも大会直前(2021年の3月)にも参加していた。とにかくスピードがあると鳥栖のチームメイトたちは口をそろえる。初速が早く、ステップも細かい。 守るのも、攻めるのも、それだけでアドバンテージだ。クラブでは3バックの一角として右でもプレーしており、左利きだが右でも試されたことがある。
 後述でも話すが西久保や岡本、越道らが仮に今大会のように呼べなかったのなら世代のトップランナーである中野の招集だけは絶対に死守しなくてはいけなかった。(3月のアジア予選は負傷で呼べなかったが5月の鳥栖での出場はできていた)
 彼(中野)が何らかの理由で呼べないのなら次点の高橋ニコと松田隼を呼んだのは理解できる。
 
バルセロナのU18でレギュラーでプレーしている彼は父の母国のアルゼンチンとすでに招集経験のあるスペイン代表と3か国どこで代表のキャリアを突き進めるかを思案しているはずである。早期に外堀を埋めておく案は悪くはない。松田は1年目の22年に10試合以上のリーグ出場をしており、中野以外の選択肢となるとこの2名の存在は外せない。むしろ逆に彼らが呼べれば中野を右に回すことも一案となる。
 
プロに進んだ中では西坂や溝口、植田などがこの世代の候補ではあるが出番がほとんどない状況で少なくとも上記の2名を脅かすほどとは言えない。大学進学した市原未、入江、保田、多久島(CBだが左利き)も候補となっただろう。ロス世代の選手に候補者が乱立しているのは興味深いので高橋ニコ以外にも選んでも面白かったかもしれない。(田辺幸、尾野、柴田、内川、吉永、藤井葉ら)

 
右は今大会は本職CBの高井とSHの屋敷を起用した。
 高井は空中戦が強く、小柄な選手にも対応でき、対人も強い。SBにパスをつけた後のパスコースつけ直しは経験不足から気になるところもあるがJリーグレベルで穴になるとは思えず。指導次第で冨安のようにSBもできるようになるだろう。
 屋敷は本来はFW・アタッカーの選手で所属先の大分でようやく数10試合程度しか出ていない。それもSBではない。このタイミングで国際大会で使うにはリスキーである。器用貧乏であるのが気になる面もあり、164cm身長は守備の穴になる恐れもある。2選手ともSBへのコンバートが成功する素養はある。
 しかしながら他にSBの候補はいるし(J2ではあるが出場経験がまずまずある)最上位カテゴリーのA代表でSBが不足しているならまだしも、育成の側面もあるU20でのコンバートは最優先の案ではない。  そもそもそういった諸事情を慮って、選手の起用と育成をできる監督は日本では少ない。(監督1名に全てを託すのも責任の一か所集中となり現代にはあっていないかもしれない)
 千葉の西久保、群馬の岡本はJ2ではあるが所属先で試合に出ている。今大会で選ばれた2名よりは本職としての信頼はできるはずである。 加えて西久保は3バック時にはその一角を担うこともある。空中戦や対人の強さなど守備面に強みを持っている。
 一方の岡本も攻守において1対1は絶対に誰にも負けない自信があると語っている通り、 ストロングポイントとして、対人守備の強さを買われて高卒新人だった22年の後半から頭角を表している。
 
大会後の結果論にはなってしまうが守備面にもっと信頼のおける選手がいると前述の 中盤やFWのメンバーの攻撃に力を注ぐ時間も増えていて点がとれる(チャンスが増える)可能性はあったはずだ。
 特に群馬にとっては全カテゴリー通じて初めての代表選手かつ国際大会の参加選手になることもあり興行面のプラスともなったはずでなぜ参加できなかったのか(させなかったのか)は大いに疑問である。
 また仮に岡本や西久保が呼べなかったとしても大学生や高校生の候補は招集ハ ードルはそこまで高くないはずである。大宮の貫や広島の越道(まだまだ所属先で出番が少ない)らや安藤寿や光廣、本間温、足立などを選んでもよかったのではないかと考えられる。
 他にも前田ハドー、稲垣(サポートメンバーだったが本職であり選んでもよかったのではないか)、桒原、手塚なども候補だった。



実際の選考メンバー
松田隼風  03年/173cm  水戸
髙橋仁胡  05年/173cm  バルセロナフベニールA

仮想の変更後メンバー
松田隼風  03年/173cm  水戸
髙橋仁胡  05年/173cm  バルセロナフベニールA
中野伸哉  03年/173cm  鳥栖
西久保駿介 03年/178cm  千葉




考えられた他の候補
右SB
小林慶太    03年早・173cm・立教大
飯田晃明    03年早・180cm・駒沢大
安藤寿岐    03年・174cm・筑波大
本間温士    03年・172cm・桐蔭横浜大
貫真郷     03年・184cm・大宮
西村昴     03年・177cm・バウムベルク(ブンデス6部)
前田ハドー    04年・179cm・ブラックバーン
柴田将伍         04年・182cm・大阪学院大
足立凱     04年・172cm・東海大
今井啓太    05年早・181cm・順天大
手塚樹     05年早・175cm・明治大
桒原陸人    05年早・177cm・明治大



左SB
石塚心     03年・174cm・立教大
大迫蒼人    03年・173cm・法政大
市原未藍    03年・183cm・専修大
多久島良紀   04年・180cm・明治大
西坂斗和    04年・177cm・徳島
溝口修平    04年早・174cm・鹿島
入江羚介    04年・181cm・順天大
保田成琉         04年・180cm・法政大
稲垣篤志    05年早・177cm・明治大


下の世代の候補
小橋エン海    05年・182cm・チャールトン
舩木大輔    05年・173cm・マリノスY
本間ジャス    05年・181cm・神戸Y
松本果成    06年・182cm・流経大柏
柴田翔太郎   06年・167cm・川崎Y

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