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臆病な女子にライセンスを! 第23話 Tさんの携帯番号

教習のインターバル
Oさんが佐藤さんに、Iさんが矢倉さんに面会に来てくれた
それぞれに、今日取得した免許証を見せて、楽しげに会話をしている

私は、作り笑顔でその様子を見ていた

少し待っていたら、無線教習でお世話になったUさんが、私の方に来てくれた

(U)「こんばんは、藤原さん」
(藤原)「覚えてくださってたんですか?」
(U)「覚えてるよ、運転免許は取れたの?」
(藤原)「はい、おかげさまで取れました」
(U)「それは良かった、おめでとうございます
ところで、Tさんのことは、聞いてるかな?」
(藤原)「C自動車学校に配属になった、と今知りました」
(U)「そう、突然決まって、そしたらTさんから頼まれたの、藤原さんに渡して欲しいって」
(藤原)「あ、有難うございます」

Uさんが、名刺を1枚差し出した
何気なく受け取る
Tさんの名刺だ!

裏になにか書いてある

『9を8に変えてください』

これって、携帯番号のことだ!
何で間違った番号を教えたの?
Tさんの意地悪…

(U)「じゃあ、渡したから私は仕事に戻るね」

佐藤さんと矢倉さんが戻ってきた

(佐藤)「Oさんに訊いたら、Tさんの携帯番号は間違ってました」
(矢倉)「Iさんも間違ってるって、言ってた」
(藤原)「9を8にする…」
(矢倉)「知ってたの?」

さっき、Uさんから渡された名刺の裏を見せる
佐藤さん、矢倉さん、二人とも不思議そうな顔つきになってる

Tさんの意図が読み取れない

(佐藤)「Oさんが言うには、Tさんは携帯番号を安易に、教えない主義の人だって」
(矢倉)「Iさんは、一緒に働き始めて半年くらい経ってから、Tさんの携帯番号を教えてもらったって」
(藤原)「何か理由があるのかな」
(佐藤)「番号がわかったら、携帯電話をかけようよ」
(佐藤)「うん、そうだね...」

080-2886-※※※※

コールが流れる
5コール目で留守番電話サービスに切り替わった

(藤原)「担当していただいた藤原です、今日、運転免許が取れました
お時間のあるときに、携帯にかけてきてください」

伝言を残して、通話を切った
Tさんの声が聴きたかったな…

連絡方法が不確かなことが、私には悲しく辛い

本来は、会って運転免許証を見せて、Tさんの反応が知りたかった…
1ヶ月の成果が実ったことを、どう評価してくれるかしら

所詮、単なる担当した教習生として
そんなふうに、見られてるのかな…

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