ゆるめる犬
ジャスへ
白熱したプロレスごっこでジャスは私の首をガブっ!
っといったときがあった。1秒以下のできごと。
ガブっといった瞬間、私の体にあった力がすべて抜け落ちた。
抵抗なんてできない。力が消えたのだから。
ジャスは野生的な勘で獲物が苦痛を感じず、弱るスポットを
私の首にも見つけたんだと思った。
うっすら穴ができてたけど血はでてなかった。
瞬間の連続で最後に記憶にあるのはジャスの力のこもった歯先が
ふっとゆるんだこと。
「やべっ」ってジャスは思ったの?
本気だったら私はきっとやられてた。
でもゆるめたその瞬間に私を大事に思ってくれている優しさを感じたよ。
「結構本気でやっちまった」って後味悪くプロレスごっこは終わったね。
私は今でもあの経験が忘れられない。
ジャスって強いんだねって思ったし、
私も人間である前に動物なんだってことを思い出した。
だからどんな動物も尊敬する。人間が素晴らしいなんて横暴なこと思わない。
そして、本来、生き物は優しいということを知ったよ。
優しいジャスが私をひっかいちゃったときも、噛んじゃったときも
優しいジャスのことだから、これはハプニング!
私がイラっとさせることやっちゃったのねと思った。
ごめんね、ジャス。
「ゆるめる」ができなかったぐらいの喧嘩はしたことないけど
それはジャスがいつも許してくれてたからかな。
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