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【manda-la】(前半)


暗闇の中に膝を抱えるようにうずくまるような形で、胎児は子宮の中で母の深い愛情を受けながらその命を育む。

光の無い羊水の中で静かに育まれるその命は、やがて光に満ちたこの世界に力強く羽ばたくための準備を着々と進め、そして満を持して太陽の光のもとに産み落とされる。

生命は不思議だ。

2つの遺伝子が出会い、そこから細胞分裂が始まり、生命は産まれ、そして育まれていく。

それはまるで万華鏡のように、流動的に目まぐるしく姿かたちを変えて、
そして次第に大きくなっていき、
心臓が脈打ち血管に赤い血が流れ、
やがて意思というものを持つようになる。

万華鏡の美しさに心惹かれるのは、きっと目まぐるしく変化する美しい模様が流動的な変化にも関わらず、常に「完全」であり、「完璧」だからなのであろう。

万華鏡は、
鏡を利用した幾何学的な模様の変化を楽しむものであるが、

対象、つまりシンメトリー的にその模様が変化していくため、安心感を覚えるものなのだ。

生命が子宮の中で目まぐるしく成長を遂げる事は、

この万華鏡を覗いて「完璧な」変化を楽しむ事によく似ているのではなかろうか。

本当に不思議なもので、生命は誰に命じられることなく、

「完璧に」プログラミングされたかのように、無駄なく着々と形作られていく。

細胞のひとつひとつが、まるで最初から分かりきっていたかのように、
自分がすべき事をちゃんと掌握して、生命を形成していく。

この変化の「完璧さ」と、生命の「完全さ」こそが、万華鏡のような美しさを感じさせるのだ。


この広い宇宙空間の中では数々の物質が生まれ、

恒星や惑星が生まれ、

その中の「地球」という惑星に無数の生命が芽吹き、

互いに輪のように関わりを持ち合いながら営みを続けていく。

植物であっても、
動物であっても、
小さな微生物や菌たちも、

全てが輪になって繋がっている。

我々人間も、決して頂点に君臨する存在などではなく、輪の中のひとつに過ぎない。

この「輪」こそが宇宙の秩序を保つ「完全な」関係性であり、生命の美しさでもある。


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