『オーラスー裏道の柳ー』を毎週読んでいるアラサー女子の率直な感想

先日、kindleに入れていた『ロスト失踪者たち』(原作:押川雲太朗 作画:江戸川エドガワ)を数年ぶりに読み返しました。借金まみれで失踪した主人公が、歌舞伎町の高レートフリー雀荘で偽名を使って働く物語です。殺伐としたフリー雀荘の雰囲気、ろくでもない登場人物たち、ただただ救いのないストーリーと、読む人を選ぶ作品であることは間違いありませんが、押川氏独特のセリフ回しと江戸川氏の精緻な筆致が相まって、ハマる人にはとことんハマる作品です。お前の好きな麻雀漫画を5作品挙げろと言われたら、その5作品の中に入るぐらい個人的には好きです。3作品だとたぶん入りませんけど。

で、同じ押川雲太朗さんが原作の『オーラスー裏道の柳ー』のお話です。これは週刊漫画ゴラクで連載されている麻雀漫画で、原作者の死亡により未完で終わった『天牌』の跡を継ぐような形で始まった作品です。2023年3月24日現在で第16話まで進んでおり、3月29日に単行本第1巻が発売されるようです。

この漫画が始まることを知ったときの私の期待度は相当高いものでした。『ロスト』のような名作を生み出す押川氏の原作者としての能力と、麻雀漫画の作画で長年活躍してきた嶺岸信明氏のコンビです。面白くならないわけがありません。

そして満を持して『オーラスー裏道の柳ー』の連載開始です。期待度マックスの私は当然のように第1話から欠かさずコンビニで週刊漫画ゴラクを読んでいるのですが、ここまで連載を追ってきた率直な感想を言います。

……ひょっとしてこれ、あまり面白くなくね?

いや、そんなわけないはずなんです。だって麻雀漫画界の大ベテランである押川氏と嶺岸氏の2人ですよ? そんなわけないはずなのですが、現時点での私の感想は「あまり面白くない」です。「つまらない」というほどではないです。しかし現時点では決して名作ではなく、凡作です。このまま全3巻ぐらいで打ち切り終了になっても驚きません。

どうしてこんなことになってしまっているのか、私なりに3つの要因を考えました。

1.ストーリー展開が遅い
現在の嶺岸氏は大ゴマ連発の作画が特徴なので、『天牌』の時点でストーリー展開が遅かったのは確かです。しかし、『天牌』は魅力的な登場人物たちのおかげで、多少展開が遅くても許されているところがありました。イケてる博徒たちが麻雀打っているのを読むだけで十分面白い、というわけです。

ここから先は

1,439字 / 1画像

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?