無包装のお店が幸せをくれた理由

ヨーロッパでは環境意識が高いとはよく聞きますが、ドイツに住んでみてそれを本当に実感しました。もちろん人によって程度は異なるものの、インテリな人たちほど環境意識が高いようです。スーパーに並ぶ少し高価なビオ商品が人気だったり、話していてこの人頭がいいなぁと感じる人はベジタリアンだったりします。ちなみにビオとベジタリアン共に、大事な目的は環境保護であり、自身の健康だけを考えているのではないそうです。そんなヨーロッパで最近流行しているという「無包装のお店」が、気づけばここデュッセルドルフにもできていました。気になりつつもハードルが高く、二の足を踏むこと半年、、、つい先日勇気を出して行ってみたら、とっても幸せな体験ができたのでそのレポートをしたいと思います。

「無包装のお店」って!?

無包装に全く詳しくなかったワタシ、ママ友から最初に「新しくできた無包装のお店だよ」と聞いたときは完全に???でした。何が売っているの?!そんな名前の店に来る人いるの?!と。。店名には確かにunverpackt (無包装)と書いてあるのです。包装ゴミを出したくない人が、タッパーや瓶の入れ物を持って買いにくる量り売りのお店です。

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でも何を売っているのかがよく見えない。。ウィンドウに目を凝らしてみると、どうやら粉やパスタ、お茶などの乾物があるようです。

いざ、入店!お買い物の方法は?

通るたびにウィンドウをのぞき込むこと数ヶ月、ついに今日こそはと決意した金曜日のお昼すぎ。空き瓶をいくつかリュックに入れ、いざ入店してみます!ここまで入るのにハードルの高い店もなかなか無い。

ドアを開けて入ると静かな店内に店員さんが一人。ドアを支えて迎えてくれました。サービス砂漠、ドイツの店らしからぬ親切な接客を受けて、すでに来て良かった感。。泣

店員さんは私が初めての来店かどうかを確認すると、丁寧に手順を説明してくれました。さぁ早速買い物してみます!

①空き容器の重さを測る。

自分で持ってきた容器を秤に乗せ、重さを紙に書いてテープで容器に貼り付けます。自分の容器を持っていない場合には、他のお客さんが寄付した空き瓶を貰ったり、容器を買うことも出来ます。

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②欲しいものを容器につめる。

大きな瓶からジャラジャラ出てくるのが子供心にはたまらない!漏斗を用意してくれているのでこぼさず詰められます。

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④お会計

買いたいものを全て容器に入れたら後はレジに持っていくだけ。全ての重さから空の容器の重さを差し引いて、値段を計算してくれます。これだけ買って、全部で35ユーロ。オートミールの瓶は店舗で購入したのでその値段を差し引くと23ユーロなり。

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⑤全てをリュックに入れて帰る。

もちろん手提げ袋なんてもらえないので、リュックに入れて帰ります。

店内は意外に奥まで長く、三つのゾーンで構成されています。手前のゾーンにお菓子、コーヒー、紅茶、スパイス、パスタ、卵など。中間のゾーンに粉、オートミール、オイル系。奥のゾーンに石鹸、シャンプー、歯ブラシ、トイレットペーパーまで置いてありました。

小さいですが子供用のプレイスペースもあって本やおもちゃで時間を潰せるようになっていました。我が子は夢中で量り売りのお買い物を楽しんでいたので使いませんでしたが、子供ウェルカムというその気持ちが嬉しいですね。

買い物をした後、なぜかとても幸せな感じに包まれました。帰る途中に子供と公園で遊び、大満足で眠りにつくことができました。普通の食料品を買っただけなのに何故なのか、理由を挙げてみます。

幸せを感じた三つの理由

一つ目は、新しい体験をしたことで、自分の前向きな成長を感じたこと。ゴミを出さないという美しい志を持つ新しい店を知ることができ、量り買いという新鮮な体験ができたことで好奇心と満足感が満たされました。温かくて親切な店員さんに会えたことも、とても嬉しいことでした。生活の前向きな変化量は幸せ感につながります。

二つ目は、これから続けられる希望を持てたこと。正直、無包装には興味はあるけど大変そうだから続けるのは難しいんじゃないか、一回行ったらそれで終わりになるだろうと思っていました。でもやってみたら意外にも、大変さはほとんど感じなかったのです。買いに行く前に空き瓶を持っていき、帰ってきたら瓶を棚に置くだけ。移動途中で瓶が途中で割れたりすることもなく、それほど重たくもありませんでした。詰め替えの手間も、ゴミを捨てる手間も、リサイクルの手間もなくなりました。空き瓶も出ないので、いつも重たい瓶に悩まされていた旦那も嬉しそう。「魅力−負担=継続性」の計算の結果、続けていける手応えを感じたのでした。未来を良くできると希望を持てた時は、幸せを感じます。 (「人生の幸せの半分は何かを楽しみにすること」赤毛のアンより)

三つ目は、選択肢が少なかったこと。この無包装のお店には、基本的に一味一商品しか存在しません。例えばスパゲッティならコレ、コーヒーのノーマルタイプならコレと決まっています。普通のスーパーなら、パスタはどのブランドが美味しいかなとか、コーヒー今日はこのブランドを試してみようかなとか考えますね。選択肢は一見、沢山あった方が豊かな生活ができるように思えます。でもその逆に選択肢が沢山あるほど満足感が下がるという考え方もあります(「選択のパラドックス」 バリーシュバルツ)。簡単に言うと選択肢が少なければ「本当はもっといい選択ができたんじゃないか?」という後悔や自責に駆られずに済むという考え方。この無包装のお店で私はそれを実感したのでした。お店を出たときに心から「あぁいい買い物をした!」と思えたのです。

気になる品質は?

今回私はコーヒーやオートミール、ナッツ類、メープルシロップを購入しました。味にはあまり期待していなかったのですが、驚くほどに全て新鮮で美味しかったです。掃き立てのコーヒーにはお湯を注ぐとふっくらとドームが立ち上がり、買った穀類で作ったホームメイドグラノーラはサクサク歯応え抜群、感動の美味しさでした。

この鮮度をいかに保てるかは、商品の入れ替わる頻度=このお店をどれくらいの人が利用するか、にかかっているはず。お店の営業時間は短いのですが、きっと結構な人に利用されているのだということが想像できます。見えないお客さんがこの新鮮な味を支えているのです。消費者の選択が、住む街を変えていくのですね。

以上、「無包装」という、一見価値の低い業態のお店がこんなに幸せ感をくれるなんて、という驚きをお伝えしました。未来へのヒントを感じた感動体験が伝われば幸いです。お時間をとって最後まで読んでいただき、ありがとうございました(*^ ^*)

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