日本経済新聞

トランプ氏、公約実現へ「禁じ手」 壁建設強行

トランプ米大統領が、議会の承認を経ずにメキシコとの国境の壁を建設するため「非常事態」を宣言する方針を決めた。議会の権限を無視する「禁じ手」に野党・民主党は反発を強めており、上下両院で多数派が異なる「ねじれ議会」での政策協議の停滞は必至だ。3月初旬に期限が切れる米債務上限問題にも影響は避けられず、米国債の債務不履行のリスクが浮上しかねない。「非常事態宣言は不法行為で、大統領権限の乱用だ」。民主の上下両院トップのペロシ下院議長とシューマー上院院内総務は14日、声明でトランプ氏の方針を激しく非難した。トランプ氏が宣言に踏み切れば、ペロシ氏は法廷闘争に持ち込む構えを示した。

非常事態宣言は「国家非常事態法」に基づくもので、国家の緊急事態に際して大統領の権限に自由裁量を与える別の法律を活用できる。これまで第2次世界大戦の開始直後や2001年の米同時テロの際などに出されたことがある。トランプ政権下では、中米ニカラグアの政変など3回にわたって宣言された。延長しなければ180日後に失効する。

かねてトランプ氏はメキシコから不法移民や違法薬物、犯罪が米国に流入していると主張。1月の国民向けテレビ演説では「人道的な危機」だとあおり、宣言への地ならしを進めてきた。


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