朝日新聞

急速な進化を遂げるICT(情報通信技術)の波は、高校野球の世界にも確実に押し寄せている。

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 「おーいいね。113キロ、1700回転!」。札幌藻岩(札幌市)のブルペンで、石山智也部長は投球練習をする投手とスマートフォンの画面を交互に見つめ、声をかけた。「この回転数だと、低めに集めてゴロで打ち取るタイプだよね。配球もそれに合わせて考えて」

 同校では4月から、投球の球速や回転数、回転軸の傾きなどを測定できるセンサーが内蔵された特殊なボールを練習に取り入れた。価格は3万円ほど。見た目は普通の硬式球だが、スマホのアプリと連動し、一球一球の内容を分析できる。投手がリリースするまでのボールの軌道も追えるので、フォームの解析も一目瞭然だ。

 「今までは自分の感覚で『ナイスボール』と声をかけていたが、本人の感覚とずれることもあった。客観的なデータとして示すことで説得力が増す」と石山部長。1分間の回転数2千回以上を目標とし、回転数が少ない投手は低めのボールでゴロを打たせる投球を目指す。「回転数が上がると選手も喜ぶ。選手が『どうすればスピンがかかるのか』と試行錯誤して学ぶ過程が大切」という。


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