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webtoonからの映像化を応援したい件

私も関わらせてもらっているGIGATOON Studioの作品がドラマ化されます。

『夫を社会的に抹殺する5つの方法』(テレビ東京)
https://www.tv-tokyo.co.jp/otosatsu/

私は「共同プロデューサー」とクレジットされていますが、内容には多少意見を言わせてもらっている程度で、主にテレビ東京とGIGATOON Studioの間に入り、映像化のきっかけを作らせてもらいました。

しかし、スマホ向け縦読み漫画からの映像化というのは、私にとっては大きな目標だったので、その思いを残しておきたいと思います。

ちなみに世間一般ではスマホ向け縦読み漫画のことをwebtoonと言ったりしますが、厳密にはwebtoonは登録商標で、いわゆる「マンガ」と並列にある言葉ではありません(同じような例としては「ウォシュレット」「バンドエイド」「ホチキス」などが登録商標が普通名詞化した例です)。
なのでGIGATOON StudioではwebtoonではなくGIGATOONと呼んでいますが、この後は便宜上webtoonと呼ばせてもらいます。

webtoonに注目した理由

webtoonの存在を知ったのがいつかは覚えていないのですが、はっきりと意識したのはNetflixで『梨泰院クラス』がヒットした時だと思います。

韓国ではwebtoonが人気で、webtoonで人気な作品がNetflixで映像化されたりするケースが増えている、と言うことを聞いて直感的にピンと来ました。

さらに話を聞けば、ライトノベルやチャットノベルといった小説メディアがあって、その中で面白いものがwebtoonになり、さらに人気なものが映像化されるという流れができていると聞き、とても理にかなっていると思ったのです。

似たような話で言えば、韓国では演劇業界でも、通常の舞台公演をやる前に、リーディング公演という朗読劇をやり、その反応を見て脚本をブラッシュアップしたり、マーケティングしたりすることがあると聞いて、なるほど!と思ったのを覚えています。

つまり、まずはお金をかけずに小さく形にして、世の中の反応を見ながら、いけると思ったら大きく勝負に出るということです。

これはある意味当然の仕組みと言えますが、映像業界において、こういった仕組みはあるようでありません。

映像業界におけるエコシステムを目指して

代わりに、その役目を果たしているのが、マンガや小説だと思うのですが、私がwebtoonに注目したのは、作るプロセスがドラマや映画に近いからです。

マンガなどが作家一人の才能に寄るところが大きいのに比べ、webtoonは分業制で作ることが通常なので、自分がストーリー作りに特化しつつ、作画をしてくれるスタジオと分業することが可能です。

また横読みのマンガに比べて、縦スクロールマンガは、スクロールしていくことが時間的な演出に近いというか、絵の並べ方や構成が映像の感覚に近いと感じます。

そして何よりヒットした時の利益がとても大きいことが挙げられます。

スマホのソーシャルゲームの黎明期に例えられることも多いですが、今はまだ制作費に比べてヒットした時の利益が大きく(今後、制作コストが上がっていき、いつかはレッドオーシャンになってしまうかもしれませんが)、市場としての魅力に注目している人も多いです。

異業種からのwebtoon参入

実際、今のwebtoonは、マンガ業界だけじゃなくて、アニメ業界やゲーム業界など、他の業界からの参入も増えています。その辺りの事情は下記のような記事を読むとわかるかと思います。

Webtoonって最近よく聞くけど、なんでこんなに話題なの?
https://natalie.mu/comic/column/480891

そして映像業界の目線で言えば、いきなりお金をかけてオリジナルで映像作品を作るのではなく、まずはwebtoonで形にして世の中の反応を見て、いけそうだと思ったら映像化するというやり方で、リスクが低くなるだけではなく、しかも映像化によって原作が売れればマネタイズもできます。

実際、テレビ局がwebtoon会社を作るなんて動きも出てきました。

TBSが「NAVER WEBTOON」と縦読み電子マンガwebtoon制作会社を韓国に設立
https://topics.tbs.co.jp/article/detail/?id=15780

つまり、ビジネスとしての可能性があるプラス、企画開発の場としても活用できるということなのです。

webtoonは日本の映像業界にとってチャンス

私は、このwebtoonをうまく活用することが、ひいては日本の映像業界にとって韓国に追いつけるラストチャンスなのではないかとすら思っています。

先ほどまで書いたように、映像業界と相性がいい上に、マンガ業界の才能は世界に届くレベルですから、組み方次第でグローバルに通用するものが作れるはずです。

もちろん、課題はあります。

ジャンルも含め、分かりやすい展開のものが好まれたり、1話1話の尺が短いので、あまり深い人間ドラマを描くには向いてないと言われたりもします。

しかし、今後ヒットする作品の傾向など含めて、変わっていくと思いますし、現に韓国ではwebtoonからのドラマ化が数多く存在します。

先ほどあげたビジネス的なポテンシャルを含めて、非常に可能性あるメディアだと思っているのです。

そんな思いを持っているときに、GIGATOON Studioの設立から関わることができ、とてもラッキーでした。今も継続的に企画を考えたり作品を作ったりしています。

GIGATOON Studioは、DMMという企業カルチャー的に、意思決定も早く、またアニメやゲームなど様々なジャンルを自分達で手がけており、業界の台風の目になる可能性があると思っています。

日本にはLINEマンガやピッコマのような韓国発のメディアが先行者として君臨していますが、現在のように、韓国で作られたwebtoonが日本でヒットするだけでなく、その逆というか日本のものがもっと多く韓国でヒットするように自分も挑戦したいです。

横読みマンガに比べてwebtoonの方がグローバルに流通しやすいことも、今後はきっと大きなメリットになっていくでしょう。北米やヨーロッパでwebtoonがどう盛り上がっていくのかにも期待したいです。

私自身、ストーリーを作るということを軸に、いろいろなジャンルを横断したいという姿勢でいますが(今年は、ドラマだけでなく、ドキュメンタリー、ゲーム、舞台、webtoonと幅広く関わることができました)、webtoonはとても魅力的に感じる世界です。

来年は、今年以上にwebtoon作品に関わり、またそこからの映像化などに関わっていくべく頑張っていきたいと思います。(終)


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