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舞台『スロウハイツの神様』(キャラメルボックスの)の感想

キャラメルボックスの「スロウハイツの神様」を観た。

□「スロウハイツの神様」公演ページ
http://www.caramelbox.com/stage/slowheights-no-kamisama/

辻村深月さんの原作だが、すごく良かった。

原作は読んでないが、かなり長いものをぎゅっとまとめていたのは分かった。

演劇における「情報圧縮」というのはまさに腕が問われるところだと思うが、まさにプロの技だった。

終盤になると、なるほどこの一連のシーンがやりたかったのかあと、余計に序盤の飛ばし方が勝負の分け目だったことが分かる。

「スロウハイツの神様」は、ラブストーリーでもあるが、主体がどちらということでもなく少し不思議な構成になっている。

すれ違いが明らかになるように、前半と後半で主体が入れ替わっていくのが、気持ちよさに繋がるというか、そこは原作の鮮やかなところなのだろう。

辻村深月さんは、10代の頃からキャラメルボックスのファンだったということで、ある意味では、物語の中での「コウちゃんと環」の関係が、巧妙にひっくりかえされて「成井豊さんと辻村深月」さんの関係にも重なる。

キャラメルボックスに影響されたと公言する辻村深月さんからのラブレターと言ってもいいのかもしれない。

終盤は涙が止まらない。やはり、「誰かの一途な思いが報われる」それから「気づかないところでずっと思っていてくれた人がいる」というのは、とても美しい物語なのだろう。

そういうものに触れると人は感動せざるをえないのだ。

とても素晴らしい公演でした。千秋楽に観れて感謝。

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