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【NPO書評】自閉症の僕が跳びはねる理由 (角川文庫)

この本のことはだいぶ前から知っていました。
いつか読もうと思いながら、なかなか読むことができませんでした。
でも、オーディオブックのAudibleにあるのを見つけて、読んでみました(聴いてみました)。

著者の東田直樹さんは重度の自閉症当事者の方です。
これまでにテレビなどでも何度も取り上げられているので、ご存じの方も多いと思います。また、山田のFacebook繋がりの福祉関係者の方々なら、本書を読んでいるかもしれませんね。
山田は、ビッグイシューで連載されていた東田さんと精神科医の山登敬之さんの往復書簡の記事をよく読んでいました。

会話をすることが難しく、パソコンや文字盤ポインティングなどのツールを使ってコミュニケーションを取っているそうです。
自閉症の方は会話というコミュニケーションは取れなくても、その内面では様々な考えや思い、感情、希望、そして他者とのコミュニケーションをとりたいと思っていることを、本書を読んでよくよく理解できました。

東田さんの本を読むと、会話という言葉にできないだけで、心の中に豊かな世界を持っていることを実感することができました。
この本、もっと前に読んでおくべきでした。

自閉症の僕が跳びはねる理由 (角川文庫)
2016/6/17
東田 直樹 (著)

本書は、会話が難しい東田さんが、心の中で思っていることをパソコンで書き下ろしたものです。東田さんの率直な思いから、他の人が疑問に思っている自閉症の方の行動やその内面世界をとてもわかりやすく解説してくれます。

その内容もとても勉強になるのですが、東田さんの文章もとてもよいです。
すごく詩的な文章で、とてもわかりやすいです。
読んでいて、本当に心地よい文章だなと思いました。
「僕が跳びはねている時、気持ちは空に向かっています。空に吸い込まれてしまいたい思いが、僕の心を揺さぶるのです」(本書より)

この本を読むと、自閉症の方の豊かな世界を知ることができます。
また、自分とは感覚が違う世界を垣間見ることができました。
そして、人は本当に多様な生物だなと実感しました。
なんだか、とても癒される本でした。

今さらですが、この本はより多くの方に読んでいただきたいですね。
NPO関係者のみなさんは、分野に関係なく、本書はぜひ読んでほしい一冊です。

昨日、紹介した牧野友香子さんの書籍「耳が聞こえなくたって 聴力0の世界で見つけた私らしい生き方」もそうですが、書籍を通じて、当事者の内面を知ることができるのは、本当に貴重な機会になりますね。


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