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【NPO書評】流言のメディア史 (岩波新書)

1938年、アメリカのラジオ番組「宇宙戦争」(朗読劇)の中で火星人来襲のエピソードが放送された時、その放送を信じてしまい、アメリカ国内でパニックが起きたという話。
山田も何かで目にしたことがあります。
今のように複数のメディアが発達していない時代、速報性のメディアとしてラジオだけだと、それを信じしてしまう人も出てくるんだと思っていました。
しかし、この火星人来襲によるパニック騒動はフェイクニュースだったそうです。
新聞記事によるちょっとしたやらせコメントがだんだんと大げさになっていって。。。

どの時代にもフェイクニュースが生まれるもんですね。
本書は、フェイクニュース、流言をとりあげたものです。

流言のメディア史 (岩波新書)
2019/3/21
佐藤 卓己 (著)

メディアが発達してから、さまざまな流言の事件があるんですね。
有名な事例を一つ一つ、丁寧に解説しています。
どのような事件があって、その当時の社会状況を踏まえつつ、なぜそれが発生したのか。複数の資料をもとに現代の視点からその原因や影響を分析し、解説しています。

目次を見るだけでも、面白そうですよね。
第1章 メディア・パニック神話――「火星人来襲」から始まった?
第2章 活字的理性の限界――関東大震災と災害デモクラシー
第3章 怪文書の効果論――「キャッスル事件」の呪縛
第4章 擬史の民主主義――二・二六事件の流言蜚語と太古秘史
第5章 言論統制の民意――造言飛語と防諜戦
第6章 記憶紙の誤報――「歴史のメディア化」に抗して
第7章 戦後の半体制メディア――情報闇市の「真相」
第8章 汚染情報のフレーミング――「原子マグロ」の風評被害
第9章 情報過剰社会の歴史改変――「ヒトラー神話」の戦後史から

今のSNS活況の時代だからこそ、過去の歴史を振り返って、フェイクニュース、流言の歴史を学ぶことは大切ですね。
NPOの広報の担当者のみなさん、機会があればぜひ読んでみてください。
過去にこんな事件があったんだあという、読み物としても大変面白い本でした。

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