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【NPO書評】旅の勧進聖重源 (日本の名僧 6)

今まで、勧進聖46の中では、行基上人推しでした。
でも、これからは重源上人推しになります!

平安時代から鎌倉時代に移り変わる時代、平家による南都焼き討ちで焼失してしまった東大寺&大仏を再建した重源上人。
これまで、東大寺再建の勧進について、いくつか書籍を読みましたが、重源上人そのものをテーマにした本はたぶん初めてです。
本書を通じて、じっくり重源上人の足跡を知ることができました。

旅の勧進聖重源 (日本の名僧 6) 
2004/7/1
中尾 尭 (編集)

重源上人の生涯を解説した導入から始まり、山林修行、仏教思想、東大寺勧進、土木事業などの個別テーマについて、それぞれの専門家が解説しています。
重源上人を様々な角度から語っている構成は、読み進めるごとに新しい重源上人に出会って、ドキドキしてきますね。
重源上人も、奈良時代の行基上人と同様に、国寄りではなく、民間の立場で民衆の救済を願っていたところから、東大寺の再建を託されていたのはなるほどでした。大きなプロジェクトを実現するために、積極的に民間登用していく姿は面白いですね。
偉大なファンドレイザーの足跡を知ることができ、貴重な本でした。
また専門書というより、一般書のようにそれほど難しい内容ではなく、読みやすかったです。

それにしても東大寺再建の勧進は面白いですね。
この時代の勧進は単に資金調達をする役割ではなく、プロジェクト全体をマネジメントしていくための役職でした。資金を調達して、再建のための資材の調達、技術者の調達、そしてそれらを統括してプロジェクトを回していく。
すごい役割でした。
中でも、重源上人に防府の国(今の山口県)が与えられ、ここを拠点として東大寺再建を進めていきました。
山田もこれまで何度も山口にお伺いしていますが、つい最近まで、防府と重源上人のゆかりをまったく知りませんでした。惜しいことをしました。知っていれば、重源上人の遺跡巡りもしたのに。

この一冊を読めば、きっと、あなたも重源上人推しになるはずです。
寄付マニアの方には、絶賛お勧めします!


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