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【NPO書評】「働き手不足1100万人」の衝撃

2023年3月にリクルートワークス研究所が発表した未来予測シミュレーション「未来予測2040 労働供給制約社会がやってくる」をもとにした本です。
ちなみに、この調査報告書は、NHKスペシャルにも取り上げられ、大変話題になったそうです。
著者はリクルートワークス研究所主任研究員の方で、この未来予測シミュレーションを担当されていた方です。

「2040年には働き手が1100万人足りなくなる」ということで、日本における人手不足の問題について、解説したものです。
そして、人手不足は単に企業の雇用の問題ではなく、日本という国を支えていくことができるかという、大きな問題になっていきます。人が支えているインフラ、生活基盤が成り立たないという問題が発生するそうです。

「働き手不足1100万人」の衝撃
2024/1/30
古屋星斗 (著), リクルートワークス研究所 (著)

本書は、前半は未来予測シミュレーションに基づく、日本社会の現状分析から未来予測について詳しく解説されています。何が問題になっているのか、そしてこれからどういった問題が怒ろうとしているのか。この分野に関して、書籍でしっかり読むのは初めてでしたので、あらためて衝撃的ですね。働き手不足を切実に感じます。
「労働供給制約」というキーワードがインパクトありますね。
これからの日本の状況を考える時に、「労働供給制約」という前提条件をもって考えていかないといけないわけです。

そして、本書の後半は、この現状をどのように対応していくべきか、働き手不足の問題を解消するための打ち手に関する提案となっています。
徹底的な機械化・自動化、ワーキッシュアクトという選択肢、シニアの小さな活動、企業のムダ改革とサポートという4つの提案になっています。すでに実践されている事例なども豊富に紹介されています。
特に、後半部分は、NPO活動に関連するものも出てきます。
ワーキッシュアクトやシニアの活躍はボランティアに関連するものです。
特に、ワーキッシュアクト(Workish act)という言葉は初めて知りました。
本業の労働以外に、何らかの報酬(やりがいも含む)を得るために、誰か他の人の仕事を担うような労働っぽい活動のことだそうです。町内会の活動なども入っています。
この辺は、ボランティア活動の中にも含まれているようなものです。
シニアの活躍も含めて、今のNPO活動に隣接しているものです。

日本の労働問題、人手不足の課題などを知るということでも、かつ、その問題を解決するために、今のNPO活動が求められている状況について、あらためて学ぶことができる本です。
NPOのみなさんも、ぜひ押さえておきたい一冊です。
事例豊富なので、その事例を読むだけでも、面白いです。

あっ、今回もオーディオブックのAudibleで読みました。


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