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どう使う?マーケターが知りたい行動経済学のあれこれ

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マーケティングの大家、コトラー教授は「行動経済学はマーケティングの別称である」と言ってます。専門用語が多くてとっつきにく印象のある行動経済学の理論を取り上げてマーケティング施策へ…
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2023年9月の記事一覧

フット・イン・ザ・ドアとは何か?-行動経済学の理解と実践60

小さなお願いから承諾してもらう交渉テクニックとなるものがフット・イン・ザ・ドアです。 玄関ドアに足先だけを入れた状態のことをいいます。いきなり中に入り込むのではなくて、まず足だけ入れさせてもらいましょう、って感じですね。押し売りが玄関ドアに足突っ込んで閉めさせないようにしているのとは違います。 フット・イン・ザ・ドアについてフリードマン(Freedman. J. L)とフレイザー(Fraser. S.C)という人が詳細な研究をしています。 ある大きな依頼をするために、以

ブーメラン効果とは-行動経済学の理解と実践59

もう30年くらい前に流行った歌謡曲にこんな歌詞がありました。 反抗期の中高生は、親に「勉強しなさい」ってやかましく言われるてやる気なくしてしまったって経験ある人もいるのでないでしょうか? 今回は、こんな反抗期や恋愛の時の微妙な心理の状態の説明にもつながるブーメラン効果についてです。 ブーメラン効果とは? ある人が他者の説得をしようとして失敗してしまった時の反動としておこるもので、相手がますます頑なになってしまい拒絶の態度をとってしまうことをブーメラン効果といいます。

果報は寝て待て スリーパー効果-行動経済学の理解と実践58

スリーパー効果とは? スリーパー効果とは、信頼度の低い情報源からの情報であっても時間の経過ともに情報の内容だけが記憶に残り信頼性が向上することをいいます。また、逆に信頼度の高い情報源の情報に対しては、最初は高い信頼を抱きますが、時間が経過すると情報源の記憶が薄れて情報への信頼性も薄れてしまいます。 スリーパー効果は、20世紀で最も影響力のある心理学者の一人であるといわれるイェール大学のカール・ホブランド氏とワルター・ワイス氏によって提唱された理論です。人を説得する上でどの

真実性の錯覚とは-行動経済学の理解と実践57

それが正しいのか間違っているのかは抜きにして、何度も同じ情報を聞いているうちに信じ込んでしまったり支持してしまうようになることを真実性の錯覚(Illusion Truth Effect)といいます。認知バイアスの一種です。 何度も接点を持っているうちに好意をいだく単純接触効果とも関連が深いです。 昔から権威主義的な国家の独裁者によって用いられていた手法です。 ナポレオンも反復法といって「同じ主張を何度も何度も繰り返すことで、民衆に真実である受け入れられる」と述べています