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川井選手の移籍について思うこと

三菱電機コアラーズの川井選手がトヨタ自動車アンテロープスに移籍しました。
そこで私なりに感じた事を書こうと思います。
要約すると「チームを離れた方がいいと思っていたら、本当に移籍した」です。

1、川井選手のインタビューより

アンテ公式YouTube、川井選手のインタビューより
【移籍を決めた理由】
もっとバスケットを色んな方面から学びたい。
もっと自分を高めていきたい。
【トヨタに入団した理由】
昨シーズン対戦していて、来ると思っていても止められない。(アンテの)バスケットが面白いと思っていた。
競争率は高いチームだが、その中で自分がどんどん強くなれる、成長できる環境だと感じた。

成長意欲を強く感じるコメントです。
特に「強くなれる」の言葉が好きです。

個人的な価値観として、アスリートに「強さ」を求めています。
上手さや速さといった相対的な物差しよりも、個としての絶対値でみる物差しと言えるでしょうか。
言葉の表現は難しいですが、「強さ」を身にまとった選手は好きです。

だからこそ、川井選手が「強さ」に言及してくれた事は嬉しかったです。

2、コアラーズではダメなんですか?

※昔流行った「2位じゃダメなんですか」から引用しています。

川井選手が今後成長するために、コアラーズではダメなんですか?
という問いに対して。

結論としてはダメだと思います。
その理由は「ポジションが確約され過ぎている」からです。

具体例をアンテで見たいと思います。
スタメンのPGは安間選手。サブのPGは山本選手。
サブとはいえ山本選手、名門桜花学園の出身であり、3X3の世界大会で優勝もしており十分な実績があります。
安間選手はスタメンといえど、その地位が安泰とは外から見ていて思えません。
そのため、激しいポジション争いがチーム内であったと予想されます。
だからこそ、安間選手の今季のプレーには「力強さ」が宿っていた、と感じました。
結果、安間選手は山本選手の追随を許さないPGへと成長したのだと思います。

もう一人、エネオスの宮崎選手。
こちらも絶対女王のエネオスにおいて、日本代表として長年君臨した吉田選手と、同じく代表として活躍した藤岡選手が退団した後のスタメンPGとして今季を迎えました。
「負けられないプレッシャー」がある中で、偉大な先輩たちから引き継いだPGの重圧はどれ程のものだったでしょうか。
圧倒的プレッシャーの中でのプレーは、宮崎選手を一段と成長させたと思います。

3、レギュラー固定化の弊害

川井選手は2年目で開幕スタメンを掴みました。
3年目からは不動のスタメンPGとなりました。
若くしてポジションを掴み、試合に出場を続けた事で成長を続けたことは確かだと思います。
チームをファイナルに導いたPGとして代表に呼ばれたし、オールスターにも出場した事がそれを証明しています。

しかしここで弊害が出てきます。
川井選手が絶対的なPGになってしまったこと。
他の追随を許さない選手になってしまった事。
「試合に出ること(出続けること)が約束されたチーム」において、練習に意味は見出せるのでしょうか。

高校時代のような、時間の限られた世界では「自分の時代」としていいかもしれませんが、プロとして何年もキャリアを積む中で、ポジションが約束されてしまったチームに留まるのは、自身の成長を妨げる要因になってしまうのではないか。
私はそう思うのです。

実際、シーズン中にも前述の安間選手の「力強さ」を感じる度に、「川井選手はチームを離れた方がいいのでは」と思うようになっていました。

4、挑戦

そんなわけで川井選手のコアラーズ退団の情報がリリースされた時、そんなに驚かなかったですし「そうするべきだろうな」と思いました。

移籍したアンテには安間選手や山本選手といった強力なライバルがいます。
アンテのルーカスHCはかなり柔軟な選手起用をするので、川井選手の起用法が楽しみです。
主たるPGになり得るのか。SGやF起用もあるのか。タイムシェアの中で上手くチームとして機能するのか等、考えるだけで楽しいです。

川井選手のバスケキャリア第2章、新たな挑戦も応援し続けたいと思います。

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