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バーチャルリアリティにおけるシナスタジアと感情移入の進化

  1. まとめ
    バーチャルリアリティ(VR)は、シナスタジア(異感覚)や感情移入の体験を通じて、ユーザーの感覚的および感情的な没入を向上させる可能性を秘めています.特に映画や音楽などの創作活動においてVRは,視覚と聴覚の境界を超えた新しい体験を提供することが可能です.本稿では,シナスタジアを活用したVRコンテンツの開発事例や,感情移入を促進するための技術的アプローチについて概説します.

  2. 本文
    VR技術は、リアルな体験をシミュレーションするだけでなく、通常では体験できない感覚を刺激する手段としても注目されています.特にシナスタジアを体験することができるコンテンツは、ユーザーにとって非常にユニークな体験を提供します.
    シナスタジアは、ある感覚刺激が異なる感覚の知覚を引き起こす現象であり、たとえば音が色として知覚される「音色視覚シナスタジア」があります.「A Framework For Presence Maintenance: Evoking Synesthesia and Empathy in Cinematic Virtual Reality」では、VR映画制作においてシナスタジアをどのように利用して視聴者の没入感を高めるかに焦点を当てています[1].
    また、「Using immersive virtual reality to recreate the synaesthetic experience」という研究では、VRを用いてシナスタジアの体験を再現し、それが実際のシナスタジア体験とどの程度類似しているかを検証しています[2].この研究は、VRがシナスタジア体験の再現に有効であることを示唆しており、将来的にはさまざまな感覚統合の障害を持つ人々への治療ツールとしての可能性も考えられます.
    さらに、VRは感情移入の促進にも利用されています.「The Midnight Rendezvous」というVR映画では、視聴者が主人公の感情に同調しやすいように、物語性と技術的な没入感を高めるためのフレームワークが用いられています[1].このように、VRを通じてユーザーがキャラクターの立場に立って物語を体験することで、より深い感情的な結びつきを生み出すことができます.
    これらの研究からは、VRが提供する独特の感覚体験が、今後のエンターテインメントや教育、さらには治療において重要な役割を果たすことが期待されます.

  3. 参考文献

  1. A Framework For Presence Maintenance: Evoking Synesthesia and Empathy in Cinematic Virtual Reality

  2. Using immersive virtual reality to recreate the synaesthetic experience


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