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「内向型」も悪くない。そう思える日を目指して

「もう内向型は組織で働かなくてもいい」感想

まずはこの本に出合う機会をくれたnoteの企画と世界文化社に感謝します。

この本を読もうと決めたのは、本の紹介文にある「雑談や会議が苦手」「質問の答えをすぐにまとめられない」「人の声が気になって仕事に集中できない」という例すべてが当てはまり、Amazonの試し読みで著者の経験に共感したからだ。自己啓発の類であれば、本から伝わる「やる気」に圧倒され、かえって気が滅入ってしまったりするが、この本は入り口から読者に寄り添う雰囲気があり、気軽に読み進めることが出来た。

本書の特徴は、「内向型」の人間が自身をどう理解し、どのように「適職」を目指していくかという点で書かれていること。「内向型」であることや、それがために組織で上手く働けないことに劣等感を抱いている人の既成概念を破ってくれる。
各章とも「内向型」の視点に立ったアドバイスがあり、「内向型」だからこそ陥りやすい点なども挙げられ、非常に丁寧だ。何より各所で読者へのエールが込められており、つい「内向型」で考えすぎてしまう心を解きほぐしてくれる。

私自身、子供の頃から内向的で、授業中に手を挙げて発言できないのは日常、友達と遊んでもストレスを感じるような子どもだった。
本書にもあるが、義務教育の頃から「積極性」「社交性」は良いことで、その逆は改善すべき点と刷り込まれていたため、随分と劣等感に苛まれ、成人してからは自分は変人なのだと開き直ったりした。

社会人になってからも、相変わらず「積極性」「社交性」「即応性」を求められ、自身の内向的性質を「改善」する努力をしたが、徐々に心が蝕まれたようで、いつしかまともに仕事が出来なくなり、著者と同じく「適応障害」と診断されるに至ったりもした。

幸いにも(偶然ではあるが)、時間的に裁量のある異業種に転職することが出来、コロナ禍を契機に会社が完全テレワークに移行したことにより、以前より「内向型」でも働ける環境を得たが、本書を読んでみて、再び自分が収入アップのために「外向型」になるような努力に向かってしまっていることに気付かされた。

何も現職の中で無理をしなくても、副業などで収入を得ても良いわけで、第4章で内向型らしさを発揮できる仕事例の紹介があるのだが、どれもやってみたいと思えたことと、あまりにもドンピシャで当てはまることとに思わず笑みがこぼれてしまったのは、収穫だった。

また自戒という点での気づきは、「内向型」の特徴として考えすぎてしまう傾向があり、それがために行動が遅れたり、消極的になってしまうこと。それどころか、考えすぎるが故に頑固になったり、自分の考えを凌駕する意見が無いと他人のアドバイスを聞かなくなったりする自覚があることだ。

最終的なゴールは「自分に合った働き方」と、とても大きなもののようだが、積み重ねる一歩は出来るだけ小さく柔軟にし、「内向型も悪くない。」そう思える日を目指してみたいと前向き思える一冊だった。

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