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「内村さまぁ~ず」に心からの感謝を

「内村さまぁ~ず」最終回の衝撃

2022年10月27日木曜日―、それは突如として発表された。

さぁ最後ですが、約16年続いてきました「内村さまぁ~ず」、今日で最終回

#404「なぜ絡みづらいと言われるのか教えて欲しい男達!!」 ウッチャンの言葉

「それではまた次回で~す」といったウッチャンの言葉とともに終わるのが通例だったこの番組。この日もいつも通りゆるく終わるのかと思いきや、ウッチャンが特に声を張ることも無くサラッと重大な発表をした。
あまりに突然の言葉に、思わず巻き戻して聞き直してしまったほどだった。

こうして「内村プロデュース」(2000年~2005年)の後継番組として始まった「内村さまぁ~ず」はあっさりと16年の歴史に幕を閉じた。思えば「新人内さまライブ」の終了(#282)や300回記念などをサラッと報告してきた制作陣らしい発表ではあったわけだが、ヘビーウオッチャーである私からしたら、青天の霹靂であった。

予兆らしきことはあった

ゆるい企画でダラダラと続いている印象もあった番組で初めて「終了」の可能性について触れられたのは、#368でのこと。

岡田(ますだおかだ):最近この番組では芸人以外も出てるという噂を聞い
           たんで
大竹:だから終わるんじゃねえかなと思った
   方針を変えてきた時って大体終わる時じゃん
岡田:リアルなトーンで本番前その話してましたもんね
   内村さんがそっと「終わるんじゃないの?」みたいな

「おじさん達もまだまだ若い子には負けないぞ!打倒!日向坂46 恒例の体に優しいスポーツ対決!!」での会話

この回あたりまで15年近く、阿藤快・和希沙也・大和田獏など出ることはあったが、ほぼ芸人だけのゲストで進行していた番組が、突如、滝沢カレン・DJ松永・日向坂46・ももクロなどをゲストに迎えるようになったため、視聴者としても違和感を感じ始めてはいた。
もちろんゲストが変わっても面白さは変わらないのだが、その後最終シーズンとなったシーズン7は配信開始が月曜から木曜へと変更されたり、#396・#397「内さま東京大喜利バスツアー!!」のようなお金のかかってそうな「テレビ的な」企画が増えた印象はあった。
これらが前述の出演者が言うところの「本気のテコ入れ」だったかどうかは分からないが、結果的にこの変容から1年半で番組終了となった。

「内村さまぁ~ず」の魅力

以上のような流れでサラッと終了してしまった「内村さまぁ~ず」(以下「内さま」)だが、この番組ならではの数々の魅力があった。ここでは、その魅力の一端を紹介したいと思う。

元祖芸人YouTube~自然体の三人

YouTubeが流行る以前からインターネットでの配信番組(ミランカ→内さま.com→ひかりTV→Amazonプライム)として展開され、「三人で定期的に飲みに行きたいための口実」として始まった(とされる)だけに、TVよりもゆるい企画で肩ひじ張らないウッチャンとさまぁ~ずの仲の良さを感じられ、2020年前後から大流行りした芸人によるYouTubeの元祖とも言える面白さがある。
事実、ウッチャンが「これ(内さま)は俺のYouTube」(#351)と発言したり、「内村光良さんの好きなバラエティ番組は?ランキング」で「内さま」が1位(#381)になったりと、特に大御所の域に達したウッチャンの素の人柄が垣間見れる珍しい番組となっている。

ゆかりの芸人との絡み

ダチョウ倶楽部・出川哲朗・イジリー岡田・よゐこ・キャイ~ン・TIM・ふかわりょう・つぶやきシローなど、三人とゆかりのある芸人たちとの絡みが見られるのも、この番組ならではである。
90年代、2000年代とお互いに切磋琢磨し、共に番組を作ってきた芸人同士が絡む姿は、かつての番組ファンには懐かしいものであるし、ゆるい番組だけに関係性や歴史を振り返ることも多く、内さまのファンにとっては嬉しいものである。

16年の芸人史

16年の間には様々な歴史があり、復活前の有吉弘行、売れ始めたバナナマン・サンドウィッチマン・オードリー、徐々にMCが上手くなっていくアンガールズ田中狩野英孝、復帰前や復帰したてのアンタッチャブル柴田、今は揃って見ることのないTKO・アンジャッシュ・キングオブコメディなど、番組自体が様々な芸人の栄枯盛衰を物語っている。若手芸人企画で名も知れず消えていった芸人を含め、「芸人史」として楽しむことも出来る。
特にダチョウ倶楽部・上島竜兵は、つい最近までフィーチャー回として企画されており、面白さと哀愁に涙してしまいそうになる。

数々の恒例企画

番組では恒例企画が複数シリーズ化しており、これもまた長期で見る上での楽しみとなっている。いくつか代表的なものを紹介したい。

大自然クイズ(2007年~2022年)

全18回(#25~#402)。番組初期から始まったクイズ企画。三人が回答者になり、「日没まで」をリミットに野外で平易なクイズにひたすら答えていくというもの。
当初は冬や春など不定期に開催されていたが、第4回(#46)から夏恒例の企画となり、海外や沖縄に遠征して開催されたこともある番組随一の人気企画となった。
自分の得意なジャンルから出題され、回答出来れば10点もらえる「マニア10(テン)」や、事情を知らない芸人にいきなり電話をして回答させる「テレフォン」、終盤に大逆転できる「大逆転システム」、奥さんに激怒されたこともあるお色気クイズなど、回を増すごとに内容も充実し、番組を盛り上げた。

はしご旅(2007年~2020年)

全16回(#23~#354)。ビビる大木をゲストに、都内の様々なお店をはしごして、勝手に星で評価するという企画。
「喫茶店」「蕎麦屋」「銭湯」「雑居ビル」などジャンルは様々で、事前に内さまに取った「理想の○○」というアンケートを元に、そこから外れたお店であった場合、店主の前で大木がそれをチクる「チクり芸」が見どころの一つ。
元々は天候不順の「雨ロケ用企画」から始まったため、初回の喫茶店は「クソみたいな企画」としていたが、後から再評価が進んだ。
そのことを表した「後の評価」、各店の評価の際に忖度を見せる三人を表した「優しいミシュラン」、毎回チクる大木に対しての「評判悪い」など名言も多数生まれた。
毎年恒例となり、16年で最も古い企画、大木は「内さま」最多出演ゲストであったが、コロナ禍で飲食店を中心にロケが難しくなり、2020年に中断されそのまま番組が終了した。

人間ドック(2008年~2022年)

全14回(#52~#383)。中年になった三人が、番組にかこつけて「体の不安を解消したい」として始まった企画。
毎回深刻な病名(疑い)をクイズ形式のフリップや美女からポップに伝えられ、そのリアクションを笑いにした尖った内容。深刻な病名を知った時のショックや、年々病名発表に慣れていく内さまとゲストMCとの落差も見どころの一つ。
三村の二度にわたる禁煙宣言とその失敗や、つぶやきシローの結核発覚と完治もこの企画から発生した。

東MAXランド(2008年~2022年)

全11回(#31~#395)。東貴博をゲストに、東のポケットマネーで揃えた豪華景品をかけて様々なアトラクション(東との対決)を行う企画。
全編に渡って東の姑息なズルと、それに翻弄される三人が見どころ。
互いの頭に付けた紙風船を割り合う「風船割りゲーム」は恒例となり、数々の名勝負を見せた。
コロナ禍ではリモートで対決したり、宮下草薙による類似の企画「宮下パーク」(#362)に派生したり広がりを見せた。

他にもよゐこ有野の究極の秋の味覚を楽しむ企画、鳥居みゆきのロケ企画、岡田圭右の競技会、空気の読めない芸人のイライラ企画、トリオの悩み相談企画など、複数回行われた企画はいくつもある。

番組で生まれた名言

16年の歴史の中では、内さまだからこそ生まれた名言も多いので、紹介したいと思う。

「夢の回」「谷の回」

後々どんな企画をしたか思い出せない出来の良くない回を総称した言葉。
初出は#2「ぶらりタクシー途中下車の旅」。DVD1本に収録されている3回の内、1つは「そうでもない回」と言われたこともあった。カンニング竹山の回が「谷の回」とされることが多い。

「先生!」

上述の人間ドック企画で、思いもよらない病名を告げられた時、進行の美人女医・福澤先生に向けて発せられる言葉。元ネタはゆーとぴあ

「そんなつもりで家から出て来てない」

#328「内さまと一緒にものまね大喜利を繰り出したいものまね芸人逹!!」初出。ものまね芸人のネタを内さまが考えなければならず、その負担の大きさからさまぁ~ずが発した言葉。
三人が「内さま」の収録を、「休み」「飲みに行くのが目的」としていることを象徴する言葉で、この後しばらく負担の大きい企画の際は多用された。

私と「内村さまぁ~ず」

私は2015年のAmazonプライム配信からヘビーウォッチャーとなったため、歴としてはそれほど長いわけではない。
しかし、その後二度うつ病となって休職した際に私を救ってくれたのはこの番組だったので、その思い入れは強い。

#152でドランクドラゴン塚地は「入院した際に、TVのバラエティのスピードが気持ち悪くなってしまい「内さま」のDVDだけを楽しみに暮らしていた」というエピソードを披露したが、まさに同じ状態を私も経験している。

内さまが醸し出すゆるい雰囲気は、仮に企画に勝ち負けや罰ゲームがあっても決して強いられることのない優しい世界であり、塞ぎがちだった私の気持ちを明るくしてくれた番組であった。
一時期は一日中(入眠時も)流しっぱなしで、回によっては10周以上し、ヘビーウォッチャーとなった。

そのおかげかは分からないが、今は無事に社会復帰することが出来たので、「内村さまぁ~ず」という番組には、本当に心から感謝申し上げたい

番組が唐突に終了したことには驚いたが、後継番組の存在も仄めかされた。逆にサラッと終わったことで、今後も続く可能性が大いに期待できるので、今後も過去回を視聴しながら、新番組を楽しみに待ちたいと思う。

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