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戦略と戦術に関する一考察

仕事とMBAの両面で最近よく考える、戦略と戦術に関して自分の思うところを書いておこうと思う。


戦略と戦術

  • 戦略とは、全体の戦略を立て、長期的な目標に向かってリソースを配分し、全体の方針を決定することである

  • 戦術とは、その戦略を現場で実行することである。目の前の戦いで勝利を収めるために具体的な戦術を駆使して戦闘を指揮する。

  • 戦略は「何を達成するか」を決めるものであり、戦術は「どのように達成するか」を具体的に計画し実行するものであると考える。

戦略と計画は異なる

  • 戦略には、その戦略を実行する方法について記載されているべきであるが、それを事細かに書いてしまうと、戦略に対する運用になってしまう。

  • 何を達成するかを決めるときに、どのように達成するかを考慮する場合、その過程におけるリソースの制限を考慮してしまい、より高いゴールを設定することが困難になってしまう。

  • その場合、達成可能なボラティリティの戦略になると思うが、そもそもそれは戦略を描く前にもはや戦術をもって実行するだけといったことになってしまう。

ビジョンは戦略の重要な構成要素

戦略そのものに目的が必要であり、それが戦略家の描くビジョンであると考える。何を達成したいか、どこへ行きたいかを最初に示さないと、そこに対してどのようにリソースを配分するかを描くことが出来ない。方針を合意するときに、業績ではなくビジョンであることが重要だと考える。単に売り上げなどの成果ではなく、それが戦略の影響を受ける様々な人たちにとってどのような影響があるのか、それをいかに解像度高く描けるのかが重要だと個人的には思う。

戦略・戦術の失敗の考え方

戦略を実行している局面でうまくいかないとき、どちがに原因があるかという議論になりがちだが、私なりの考えをここで整理しておきたい。

戦略の失敗とは

戦略の失敗は、設定された目標や計画がそもそも適切でなかった場合に発生する。全体の方向性や長期的な目標が現実的でなかったり、効果的でなかったりするため、その戦略に基づく行動全てが失敗する可能性がある。

戦略の失敗の特徴

  • 長期的な目標が非現実的または不適切

  • リソースの配分が間違っている

  • 全体の方向性が誤っている

戦術の失敗とは

戦術の失敗は、適切な戦略が存在するにもかかわらず、その実行方法が誤っていた場合に発生する。この場合、全体の方向性や目標は正しいが、具体的な作戦や行動の実行が不適切であったために失敗という。

なお後述するが、戦略的失敗のもとで起こる戦術の失敗は、戦略の失敗に包含されるべきだと考えている。

戦術の失敗の特徴

  • 適切な戦略が存在する(=戦略の失敗は、戦術の失敗を意味しない)

  • 実行段階での判断ミスや計画ミス

  • 部隊の動きや具体的な作戦が効果を発揮しない

戦略的失敗と戦術的失敗の関係性

  • 戦略的失敗が原因の場合
    戦略そのものが不適切であり、その結果として戦術的な失敗が生じた場合、責任は戦略にあるといってよいだろう。全体の方向性や目標が間違っているため、どんなに優れた戦術を用いても成功しないと考えるべき。

  • 戦術的失敗が原因の場合
    適切な戦略が存在し、それに基づいて具体的な行動計画が立てられたが、その実行段階でミスが発生した場合、責任は戦術にあるとすべきである。この場合、戦略そのものは適切であり、その運用が問題だったため、戦略の失敗とみなすべきではない。

戦略的失敗と戦術的失敗の取り扱い方

  • 戦略的失敗は、長期的な目標や計画の欠陥によるものです。戦術的勝利が一時的に得られても、根本的な戦略の欠陥は解決されず、最終的には全体の失敗に繋がる。

  • 戦術的失敗は、適切な戦略が存在する中での具体的な行動計画や実行のミスです。戦略自体が正しい場合、戦術的失敗は修正可能であり、戦略の成功に向けた再チャレンジが可能

日常的なプラクティスへの示唆

基本的にはプロジェクトはうまくいかないものと考えるべきである。したがって、戦略や戦術の失敗を疑う場面は日常的に発生するが、以下のことが重要であると考える。

  1. 戦略の適切性を確保する:
    戦略は現実的かつ達成可能であることや、環境の変化や新しい情報に基づいて見直すことが重要

  2. 戦術の精密な計画と実行:
    詳細な計画に基づいて実行されるべきだが、現場の状況を正確に把握し、迅速に対応する能力が求められ、常に最新の情報を収集し、それに基づいて行動することが重要

  3. 透明性を重視したコミュニケーションや協力:
    全ての階層で明確な指示と情報共有が行われることが必要です。全員が共通の理解を持ち、連携して行動することが成功の鍵。とりわけ、最新の情報とは外部からだけでなく、オペレーションの中から見えてくる情報も重要であり、フィードバックが回ることが重要

  4. リスク管理およびプランB:
    戦略戦術の両面でのリスクと管理策を持っておくこと、また万が一の失敗に備えて、予備計画や代替案を用意し、迅速に対応できることが重要。失敗しても迅速に動ければ、戦略的に何ら問題がない場合も多いだろう

最後に

冒頭で述べた「業務とMBA」から得られた示唆以上に、私に戦略と戦術的な考察の機会を与えてくれているのは、小説やアニメーション作品である「銀河英雄伝説」である。小説なら12巻、Amazon Primeで25分×100話以上の超大作であるが、ぜひご一読いただければ、私の考えのソースを確認することもできる。

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