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山形県・2022年度の県議の政務活動費【棄却】

以下の4点について、約1,810万円について不適切な支出があったとして請求がされました。①顔写真やプロフィールなど政務活動と直接関係ない内容が掲載された広報誌の発行、②ホームページ維持に関わる費用、③意見交換を目的としない新年会への参加費、④個人の立場で加入している町内会費

以下、住民の主張、監査対象部局の意見、事実認定、監査委員の意見を要約すると下記のとおりです。

住民の請求内容

住民オンブズマン山形県会議の代表者たちは、山形県知事が2022年度に交付された政務活動費の一部について返還請求を行わないことが財産管理の怠慢であるとして、知事に対し返還を求めるよう勧告することを請求しました。請求人は、政務活動費が地方自治法に基づき議員の調査研究活動に限定されるべきものであるにもかかわらず、違法な使途が確認されたと主張しました。具体的には、広報紙の発行やホームページの維持にかかる費用が政務活動と無関係な内容を含み、その2分の1を超える支出が違法であるとしています。また、新年会や賀詞交換会などの参加費、個人的な資格に基づく団体への会費なども政務活動費の不適切な使途とされました。これらの支出は仙台高等裁判所などの判決でも違法と判断された事例を引用し、知事が適切に返還請求を行うよう求めました。

監査対象部局(議会事務局)の意見

議会事務局は、政務活動費の使途について議員の責任に基づき適正に運用されていると説明しました。具体的には、政務活動費の支出は条例や手引に従って適正に行われているとされ、特に広報紙や新年会などの参加費用については、意見交換や調査研究活動としての実態があるかどうかが判断基準となりました。議会事務局は、広報紙やホームページの維持費について、政務活動に関する情報提供と意見聴取のために必要であり、手引で示された基準に従って按分が行われていることを強調しました。また、新年会や賀詞交換会への参加費用についても、実際に意見交換が行われている場合は適正な支出とされました。さらに、議会事務局は、政務活動費の支出に関する手続きやチェック体制についても説明し、収支報告書や領収書などの添付書類を基に適正に支出が行われていることを示しました。

監査委員の事実認定

監査委員は、請求人の主張に基づき、具体的な支出内容を詳細に検証しました。広報紙の発行費用や新年会などの参加費用について、収支報告書や添付書類を基に確認し、議会事務局や各議員からの確認結果を加えて検討しました。広報紙やホームページの費用については、政務活動の一環として正当化され、政務活動費の使途として適切であると判断されました。新年会や賀詞交換会などの参加費用についても、実際に意見交換が行われたものであり、適正な支出と見なされました。また、個人的な資格に基づく団体への会費なども、県政課題に関する調査研究を目的とした活動の一環として適正な支出とされました。これにより、請求人が指摘した支出はすべて適正なものであり、違法な公金支出には該当しないと結論づけられました。

監査委員の意見

監査委員は、監査結果として政務活動費に違法な支出がなかったことを確認し、知事が財産管理を怠った事実も認められないため、請求は棄却しました。しかし、政務活動費の透明性と信頼性の確保が必要であるとし、議会の活性化と県民への説明責任を果たすために、より厳格な運用と報告内容の点検強化を求めました。また、公開された領収書の解像度が低く情報が読み取れない問題についても改善を求めました。監査委員は、議会事務局が今後、公開画像の解像度を向上させるなどの対策を取ることを期待しています。政務活動費は公金であるため、その使途には厳格な制約と透明性が求められ、議員の自律的な判断に基づく適正な運用が必要です。監査委員は、議員が適切な活動を行い、県民に対してわかりやすく報告することで、信頼性の向上と疑念を持たれないような運用を期待しています。

山形県の監査結果は、下記のとおりです。

政務活動費については、以下の図書が参考となります。