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水道ニュース・全国で月1万円超の値上げ?


毎日新聞の記事(2024年6月22日)で以下の報道がありました。

全国での水道料金の値上げ推計

日本では、人口減少が進行する中で全国の水道料金が値上げされる見込みが強まっています。EYジャパンと一般社団法人水の安全保障戦略機構が共同で実施した研究によると、水道事業体が2046年度までに累積赤字を回避するためには、多くの自治体で水道料金の値上げが必要とされています。対象となった1243事業体のうち、1199事業体(96.5%)が値上げを必要とし、全国平均の1カ月当たりの料金は、2021年度の3317円から48%増の4895円になると推計されています。この研究では、人口減少や節水による収益減少、設備の建設改良費の増加が前提とされています。

地域別の影響と首都圏の状況

研究によれば、特に人口減少率が高く、人口密度が低い地域では値上げ率が高くなる傾向にあります。北海道、中国地方、四国地方などでは特に値上げ率が高く、政令市では千葉市が1.75倍、堺市が1.49倍、北九州市が1.48倍の値上げ率となっています。また、東京近郊の1都2県(神奈川県を除く)でも、2倍以上の値上げとなる事業体が存在し、一部の町では月に1万7000円に達する可能性があるとされています。ただし、これは過去の建設改良費の影響を受けた結果であり、すべての事業体で同様の値上げが発生するわけではありません。

実際の値上げの可否と今後の課題

一方で、実際に大幅な値上げが行われるかについては不透明です。例えば東北地方のある町では、町の試算では今回示されたような大幅な値上げは不要とされていますが、段階的な値上げの検討は進められています。これは住民の生活に配慮する必要があるためです。研究者たちは、水道インフラの持続性が危惧されていることを強調し、経営の厳しさの中で住民に更なる負担を求めるかどうかが難しい判断であると述べています。経営のあり方について、事業者、住民、議会で活発な議論が進むことを期待しています。
出典: 毎日新聞, 2024年6月22日【谷口拓未】

過度な評価は慎重に

この研究結果は、あくまで推計に基づくものであり、実際の値上げがどの程度になるかは地域や状況によって異なる可能性があります。記事全体を通じて、1つの研究結果を過度に評価し、全国的な問題として取り上げることには慎重であるべきです。水道インフラの維持管理は重要な課題ですが、その対応策は地域ごとに異なり、一律の値上げが適切であるとは限りません。より多角的な視点からの議論が必要とされるでしょう。

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