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読書会のメモ「ナラティヴ・セラピー・ワークショップ BookⅡ」 第8回

昨年(2022年)12月に出版された国重浩一さんの「ナラティヴ・セラピー・ワークショップ BookⅡ」。
毎月1回1章ずつを目安に進めていく仲間内での読書会(2時間)のふりかえりと備忘メモとして残していく。
先月(8月)は担当者の急用で延期となったため、第8回の今回は、第6章「外在化の要領」(後)について、2023年9月3日(日)に実施。

第7回「第6章」(前)⇦                            ⇨第9回



1.はじめに

 第6章では、外在化の要領が示され、最後に「外在化の質問をリアルタイムである程度言えるようになっておく」ために、「外在化のリフティング」という練習が示されている。

 しかし、外在化の要領を扱ったのが2カ月前。記憶もあいまいな中で、いきなり「外在化のリフティング」に取り組むのはハードルが高い。
 そこで、今月の担当者は第6章各節のポイントを簡単にまとめたスライドを用意くださっていて、ふりかえりを行うところから入った。

2.今回の取り組み

1)外在化についてのフリートークより

 外在化の質問をすると「えっ?」「はっ?」と反応されて、通じなかったり外してしまったと感じるケースも少なくない。その場では会話が続かなくても、クライアントの中では問い(クサビ)として残っていて、その後にプロセスが起こる場合もあるので、その場だけで判断しなくてもいいのかもしれない。「( カウンセリングの) 時間枠の中で結果を出さないといけない」というディスコースが働いているのかもしれない。

 外在化の質問が湧いてこない時もある。湧いてきた時に使えばいいという意見もあるが、湧いてこないのはどういう状態なのか、を考えた方がいい。
 外在化の質問が湧いてこない時は、こちらも「問題」に飲まれてしまって、どっぷりとはまり込んでいることがある。
 外在化の質問を使うことにすら意識が向かない状況だとすれば、意識的に外在化の質問を使おうとすることは、はまり込んだ「沼」から抜け出すきっかけになるかもしれない。

 漢字の熟語は、概念的で抽象度が高い言葉が多いので、質問にあたっては、ヤマト言葉を使った方がイメージしてもらいやすい面があるようだ。

 クライアントの心理ゲームに巻き込まれてしまうこともよく起こる。
「俺はこんなに頑張って来たのに解決できない。とても困難な問題なんだ。さあ、解決できるかやってみろ!」という心の声が聞こえてきそうな感覚。
 「こんなにがんばってきた」という話しを繰り返し話しても、しっかり受け止めてもらった感覚がないと、何度も繰り返して話をすることになる。
 そして、繰り返し話をすることで、より強固にディスコースが固まっていく面もある。
 限られた時間の中で、どこまで聴けるか、という面もあるが、それゆえにしっかり聴かなかった積み重ねが、より問題をこじらせているのかもしれない。

2)第8節 主語を描写するための述語の検討

 こうした外在化のメタファーを実施に使うとなると、なかなかイメージしにくいという声もあり、なかなか活用イメージが湧きにくい感覚だった。「<問題を>てなずける」(p117)は、第5章の「黒い犬」のイメージにつながる気もした。

「ナラティヴ実践地図」(マイケル・ホワイト)に示されている外在化のメタファーは、本書の記述よりもっと多い、と書籍を見ながら話してくださる方もいらっしゃった。
 マイケルは、問題を征服する、全滅させるといった闘争や戦争などの敵対的な比喩は使わないとコメントしている(ナラティブ実践地図 p31-33)。問題であっても責めない。
 問題の「解決」は、問題がなくなること・征服することがゴールという立ち位置にいると、「チャレンジした&失敗した→どんなに努力してもダメだった」という流れは起きやすい。戦いと敗北のメタファーの中にある。
 うつやADHDなども、なくすのではなく、どう付き合っていくか、その中でどう自分らしく生きていけるかを探っていく。

3)「外在化のリフティング」の練習

 紹介されていたウォーリー・マッケンジー(p118)の例を参考に、質問を書き出すことで「外在化のリフティング」の練習をすることになった。
 一人の方に、小さな悩み事を語ってもらい、それを受けてそれぞれがチャット欄に外在化した質問を書き込んでいく。それを見て、また語りを続けてもらって、さらに質問を書き込むという流れで、20分足らずの流れの中で20以上の質問が書き込まれた。
 今度はそれをリスト化して、外在化の要領のどれにあたるかを検討する作業を行った。
 時間切れで、完全にはできなかったが、文字化して検討する作業は、外在化のクセや傾向を感じ取るいい機会になった。

3.ふりかえって

「ニックネームをつけるということは、その問題を擬人化することでもあります」

本書p106

 「外在化のリフティング」のワークを行っている時は気づかなかったが、第2節「ニックネーム」と第3節「擬人化」は同じことを表現している。どうして節を分けて別のもののように記述されているのだろうと疑問が湧いてきた。

 また、第4節「主語を置き換える」と第5節「動詞を名詞に変えて主語とする」もとても近い。第4節の例では、クライアントの「I am A.」という発言からAを主語として置き換えることが示されており、第5節では「I do ~」のdoをdoingにして主語に置くことが示されている。日本語の場合、Aに動名詞的な言葉が置かれることもあり、区別しにくい印象を持った。

 第8節では、外在化した表現を使って質問する際に、どのように表現するか、という観点から、述語に焦点を当てて取り扱っている。こうしてふりかえってみて、読書会の中では、7節までの様々な要領とp117に示されたマイケル・ホワイトの外在化のメタファーのつながりをうまくとらえきれずにいたことに気づいた。

 「外在化のリフティング」の練習では、どの外在化のパターンか考えるよりも、とにかくやってみることが大事、という声もあったが、基本が出来ていない状態で繰り返しやると、おかしな癖がつくこともある。ディスコースが強化されるのと同じように。
 基本を押さえた上で、繰り返し数をこなしていくことを意識することも大切かもしれない。

最後まで読んでくださって、ありがとうございました\(^^)/ もしよろければシェア、感想などを教えていただけたら嬉しいです。 またぜひ読みにきてくださいね!