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月食

会報が届いた
ほぼ一年ぶりの会報
ファンクラブの規約には
1年に3冊発行予定の文字
発送のメール、謝罪文等は一切無し
会報の内容はコンセプトがよく分からない写真と
ぴあアリーナで行われたライブとファンミの写真
そしてフリーライブの写真
のみ。
ライブについての彼からの言葉は何一つなかった
もうひとつ、私が参加した神戸公演は写真どころか存在すら触れてもらえなかった。

会報が私にとって最後の砦だった。
きっとビジュのいい彼を見れば気持ちが少しはもどるだろうと期待していた。
無理だった。悔しさと苛立ちしかなかった。

ここ2年ほどは正直冷めていた。
でも去年はライブに行けば歌を歌っている大好きな彼に会うことが出来る。そこで再熱していた。
彼のことが大好きな自分に一瞬で戻ることが出来た。

初めての遠征。
昼と夜2公演。
アリーナ最前。
再熱しない理由が何一つなかった。

当時は安田さんに夢中だったが、どうせ彼に心奪われ、安田さんなんて忘れちゃうんだろうと。
心からそう思っていた。

昼公演が終わり、何故かなんとも言えない気持ちに。
夜公演までの時間、友人と色々お話した。セトリを考察した。告知を予想した。
楽しかった。
そして夜公演。
予想していたことが全て的中。
セトリも告知も私たちの話聞いていたんじゃないかと疑うほど。
つまらなかった。
予想の範疇を全く超えることなく、毎回同じようなセトリ、同じような曲調のものばかり。
新しい試みも中途半端。
楽しくなかった。
ライブというものはなんだかんだ言って楽しいものだと思っていた。
違った。
ステージに立っているのは私が好きな彼ではなかった。

大好きだった力強い歌声は声が出ないのか、裏声を使った弱々しい声に。

楽しいはずのMCはコロナの話や身内の不幸話ばかりで暗かった。

失ったものばかりで新たに好きになれるような部分は何一つなく、新しい試みも歌を捨ててまでして欲しいことではなかった。

泣きながら帰った。
決して安いとは言えないお金をかけて、1人で神戸まで飛んだ。
当日のお金だけでは無い。
参戦服、メイク道具、ネイルチップ、その日のためにお金をかけた。
まぁ自分が好きでしたことだ。
私が文句を言える筋合いはきっとない。
だけど、
お金よりも、
何ヶ月も楽しみにして仕事を頑張って来た結果、悔し泣きをしながら安田くんの歌声に包まれて帰ったあの時間。
とてつもなく悔しくて、裏切られた訳では無いのに裏切られた気分になった。悲しかった。

ただあの頃はまだ会いに行く気持ちはあった。

でも
4年半待ち望んでいたアルバムを買わなかった。
連番相手も決まっていたのに冬ツアーを蹴った。
あの頃、手を震わせながら買ったグッズを売った。

思っていたよりダメージはなかった。
ああ、この人は私の中でこんなに小さな存在になってしまったんだと思った。

一時期彼が私の全てだった。
何をするにも彼中心だった。
遊びに行くのも彼に関係したイベントがあるから。
洋服も彼のメンカラのものばかり。
カラオケに行っても彼の歌ばかり。
そんな彼をこんなに雑な扱いをしてもなんとも思わなくなった自分に驚いた。
むしろスッキリしていた。

でもきっとここに昼休みを潰してまでこの文章を書いているということは未練しかないのだろう。

思い返せばオタクがしたいと思えることほぼ全て体験することが出来た。
ライブにはたくさん行かせてもらった。
グッズも沢山買わせてもらった。
コラボカフェにも行かせてもらった。
1:1で会話もした。
直筆サインも貰った。
最前には3回も入らせて貰えた。
これ以上のことがあるだろうかという程の強運。

それなのに満足していない自分に腹が立つ。

早く離れろよって。

嫌いになりたくなかった。

無関心になりたかった。

あんなに好きだった彼の悪口を言っているのが信じられない。

昔の彼に戻って欲しいなんて言わない。

ただ1秒でも早く私の中から消えて欲しい。

でも6年かけて染まった赤はどんなに青を上から塗ろうが赤がいたことを消すのはかなりの時間がかかる。
どんなに混ぜても紫になってしまうだろう。
そしてきっとこれからどんなに沢山の青を混ぜようが、完璧な青になることはきっとない。
赤みが残ってしまうんだろう。
悔しくて悔しくて仕方がない。

担降りはとても疲れるし、とても辛いものなんだと知った。
きっと大好きだった期間と同じくらいの時間がなければ降りることはできないのだろう。

オタクという生き物はとても面倒なようだ。

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