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SKE4812周年公演一挙披露祭の先に見えたもの


1、ある日

9月に入ったある日、いつもの様にSNSを眺めていると、突然の生配信告知が目に入った。新型コロナウィルスの影響でささやかれていた、この月に予定していた松井珠理奈卒業コンサートの延期の正式報告だろう、、、と予想して配信ページを開くと。
 その内容もあったのだけど、それと同時に翌月入って直ぐにある12周年記念公演の概要発表だった。なんと3日間で配信限定だが13公演、土日にあたる初日2日目は1日で5公演。
 感染予防の為メンバー同士の間隔を広く保つ為AICHISKYEXPOという広いイベント会場でステージを倍に大きくして、通常通りに16人編成15曲やるというとんでもないものだった。実際すでに専用劇場では公演を再開していたが、予防の為6人で内容も半分弱という限定的だったので期待は高まった。
しかも一日5公演、かつて元祖AKB48でも1日朝昼晩の3公演がせいぜいでそれ以上は聴いた事がない。
観る側としては寝れない日々がやってくるが、その位の負荷はSKE48ではいつもの事。それ以上に通常公演が観れる喜びも勝っている自分がいた。直ぐに3日間の通し券を買ったが、コロナ禍の社会で稼げていないので総額2万円近い出費は痛かった。
しかし、このとんでもない企画どこで持ち上がりそしてGOサインが下されたのだろうか?。
 思い出したのは、昨年の11周年記念公演後の支配人斎藤真木子さんの言葉、「この公演はよかったけど、もっと1曲1曲丁寧に行きたかった」。48曲連続披露MCがほぼ無しという希にみる声援を送る観客の喉も潰れるハードな公演で、1曲をFULLで披露する事は少なくほぼ1ハーフのすこし忙しいさを感じたが、そのメンバーの努力に配慮した上でのこの言葉が自分の中で引っかかっていた。
それを実現する為に現行公演以外の歴代公演全てやるという事なのだろうか?。しかも3日間実施という厳しい条件で、例えばその前年の10周年記念公演のSKE48オリジナル公演リバイバルのように1日1公演にした方がスタッフやメンバーの負担も減るだろう。
推測でしかないが、それをしなければならない背景が運営上層部にはあったはずだ。

2、コロナ禍での痛手、

  世界が新型コロナウィルスの流行で人と人の接触が容易に出来なくなり、息のかかる距離には近づけなくなった。(ソーシャルディスタンス)この事によりあらゆる流通や交流が止まり世界の経済に打撃を与えた。
 エンターティメントの世界等はCDやカセット等の「もの」から劇場やライブ等の「こと」へと収益形態が変化していて、それは人と人との交流する時間に価値を重きにおく傾向にあったが、それが突然感染拡大予防の為停止させられてしまい、大小問わず人の集まるイベントは感染拡大の恐れから全て中止となった。その経済的損失ははかりしれないだろう。
 アイドルの世界も同様で、この半年あったコンサートやイベントや演劇は全て中止となり、ファンは日々の楽しみを次々と奪われてしまった。
しかし、ネット環境の発達によりリモート配信によりパソコンやスマホの画面を介して辛うじてファンとアイドルを繋ぐ事は出来てはいたものの、直接会う事は今もはばかれる状態だった。
 SKE48の場合、2月中旬のコンサート以降専用劇場公演はウィルスへの対抗手段の整備が出来始めてその猛威が落ち着いてきた6月まで全てのイベントが中止となりそれ以降は規模縮小した配信限定公演がなんとか行われる様になったが、以前の様に毎日とはいかず、週3回あればよい方だった。
業界全体としてそれまでのLIVE中心の産業形態に変革を迫られているようだった。

3、打ち上げ花火
 
自分が運営ならばこの情勢下でこう考えるだろう。
何らかの形でそれを取り返さなければならない。生き延びる為に。感染予防の為に仕事を止められたが、ゆえに人材も場所も資材も浮いている状態。しかし、それを維持する為にはどんな形であれ収益を上げなければならない。
これまで、SKE48は2つのコンサートを中止や延期に追い込まれている。当然そのライブを行う為の人的物的契約をしているはずで中止という事でキャンセルという選択肢もあるががキャンセル料が掛かったあげくそれらは無駄となってしまう。それならばその宙に浮いたものを何らかの形で転用して収益つなげたい、幸な事にどこの会場も空いていて使い放題だ。
 SKE48は割と所得のあるファンが多い、彼らを繋ぎ止め満足させるイベントが出来れば収益に繋がるだろう。近いうちにある12周年という記念日を名目にイベントが出来る。但し感染防止の為に配信限定になってしまうが。
8月の終わりに行われた、SKE48の派生ユニットカミングフレーバーの配信限定ライブで配信でも収益が得られる事が実証済みだった。周年ライブではコンサート並みの料金設定をしたが、SKE48のファンは普段DMMで専用劇場配信を観ているユーザーが多い。1本約800円で観れるのだが、同じ様な内容なら普段配信を見ているファンから見向きもされないだろう。それなりのクオリティとボリュームが必要だ。歴代劇場公演全てやろう12周年に因んで12公演+記念特別公演1公演。
そして1日5公演やることに。
それはメンバーにとって大きな壁となって現れたが、それに関わった運営や業界としては生き残りをかけた大きな打ち上げ花火になったに違いない。

4、窓の中のエネルギー

複数ある配信会社から以前使った事のあるストリーミングプラスを選択。これが、セキュリティーの問題もあってだろうけど、通し券だと一括手続きが無く個別の手続きするという面倒な作業の後に、やっと特設配信ページを開いていよいよ視聴スタート。
 OVERTURE中にファンのMIXの声が響くこれは事前にファンが録音した声を集めて合成したものだが、なんとなく様になっていて感動。投稿しなかった事を後悔。
闇の中に現れたのは、劇場の倍はあるセリの無い低いステージ、セットそのものは簡素ではあるがコンサート並みの照明設備。
カメラ撮影が主で観客がいないのだから、ステージが高い必要はない、しかもステージ下まで階段3段しかないので、メンバーは容易にステージ下に降りる事が出来、降りての演出もあった。
多くのカメラと派手な照明、高くないステージ、この構成は歌番組特番と同じだということを思い出した。
歌番組で見たことあるような演出がある。いいなと思ったのが全体曲3曲目か4曲目くらいでハンディカメラによるワンショットタイムがある事。その数秒間カメラ前のメンバーはカメラ目線でほぼ静止でアピール、その他のメンバーは普通どおりにパフォーマンスを続けている。
そのお陰で推しメンを見れないで公演が終わってしまうという事はないだろう。
 ネット上でも綺麗な照明も効果的でとても評判がよかった。
後から現地で見ていたファンやメンバーの公演後の話からするとこれらの設備はイベント会場3ホール借りた中の1のホールで行われていて
隣のホールがメンバーの着替え部屋と楽屋、そのさらに隣のホールに衣装などの膨大な小道具部屋になっており
照明の為にほとんどの部屋が暗くなっていてステージ前はカメラの移動スペースでその後ろがPA席でその更に後ろに関係者席や今回特別に招待されたファン30名の席があったそうだ。
 そして2公演目0STAART(リスタート)公演の冒頭3曲目上着を脱いだ下から出てきた衣装に違和感、劇場公演の時と違うみたいだが、遜色がない。ネット上情報だと過去に何かの番組で使った衣装だという。感染予防の為衣装の使い回しは出来ないし、期日までに届かなかったものもあるのかもしれない。それらも倉庫からそれらしい衣装をどうやら見つけて当て込んでくれているみたいだ。
一番すごいと思ったのは12公演それぞれに組み込まれてる全てのユニットが、適材適所だったこと。メンバーの技量や特徴が解っていないとこんな事はできない。
まず、12公演を実現する為に全メンバー70名をこのイベントだけの12チームを編成、しかも演者の負担を減らす為に連続出演はないようにして、正規メンバーは特別公演を覗いて3公演まで、研究生は2公演まで、という条件をクリアした上でユニットのイメージに合うメンバーに配役していたとすると驚嘆でしかない。
そして、メンバー達をこの特別な感染防止対策の為の専用劇場の倍寸のステージ用でパフォーマンスさせるのにそれ様にフォーメーションや動線や変えてメンバー同士に触りあう振り付けの変更等ダンスの先生の苦労も測りしれない。実際現地でのリハーサルはこの複雑な動線確認が主だったとメンバーからの配信で聴いた。
 これらステージを支える人達とメンバーのエネルギーのステージに終始釘付けになってしまい。この本配信以外にはSHOWROOMというスマホ配信で裏話配信や、初日だけの東海地方のTV局の配信サイトでの似たような裏話ライブ配信などを、ほとんど見てる余裕がなかった。
 普段と違う公演ならばメンバーの新しい魅力を発見したり、成長を実感したり、、中々の情報量がありいつもの事だが、それが間1時間弱の休憩を挟んで5公演、5倍の情報量でパンクしそうだった上に外配信まである飽和状態になった。
 この嬉しいキツさは48グループでは久しぶりだ。かつてグーグルプラスが始まった時、LIVE配信アプリSHOWROOMが始まった時、周年前の前夜祭と称して劇場の入っているサンシャインサカエのテナントにメンバーが出没した時とか、
色々あったがそれ以来だ。それがあと3日間もあるなんて天国でしかない。但し、自宅のパソコンの前だけども、、


5、それぞれの成長物語

各公演スタッフさんの尽力により素晴らしいステージが出来上がっていたが、やはりメンバーのパフォーマンスが素晴らしいかった。
コロナ禍の中でチームでもメンバー同士出会う事も希で、先輩後輩でならば更に話しをする機会もないらしい。そんな状況の中、
実際どの公演もそれまで同じチームであったようにまとまり高品質なパフォーマンスを見せてくれた。
特に斎藤真木子と江籠裕奈のベテラン二人と10期生+9期生という構成の会いたかった公演、パフォーマンスの差等で悪目立ちしそうな二人ではあるが、綺麗な容姿と歌とどんな曲にも対応できる表現力若手メンバーには目指して欲しいと思える程全身でアイドルのお手本を見せる江籠裕奈さんと流石のキャプテンシーの斎藤真木子さんの二人を中心に違和感なくまとまっていた。
始めの頃は交流不足があったようだが、レッスン場でメンバー同士でダンスを教えあいながら埋めていったようで、メンバー間の壁が溶けて絆が強くなった事は公演が終わった後メンバーの口々から寂しいと言葉が漏れていた事から解った。
毎日あるような公演も1回1回その時だけの掛け替えの無いものである事を実感したかもしれない。
実際3日間で13公演という厳しい公演日程で、正規メンバーは一人1か月で3公演分研究生は2公演分の振り入れ或いは振り起しを強いられ、少なくとも9月中旬にあったリハーサルで全体で合わせる為に最低でも覚えねばならず、メンバーの特に若手メンバーの大変さなどは彼女達の配信やブログから聴こえてきてた。
ダンスは言葉を覚えるのと似ていて経験値がものをいう。過去に似たようなダンスの経験があればその部分のフリはすんなり覚えらる、未経験の新規に覚える程大抵の場合時間がかかる。だから、ベテランメンバー程フリ覚えが早いし昔の公演の覚えなおしなら尚更である。
新人であればあるほど大変な作業で、入団半年の10期生や入団1年の9期生は苦労しただろう。だが本番の公演ではその苦労も微塵に見せずに輝いてみえた。
10期生は静岡県のエコパアリーナのコンサートで初歌唱だったがあの時のまだ残る素人臭さは消えて団結し公演をして見せた。SKE48随一のビジュアルメンバーの多い世代なだけに今後研鑽を積みSKE48の大きな戦力になる期待が膨らむ。
9期生は先に昇格したメンバーはそうでもないが、公演をやっても先輩の影に隠れてしまう様な、出しきれてない雰囲気だったが、
今回は各公演でまだユニットの脇に甘んじているが随所に輝いて見えた。衝撃敵だったのが、パジャマドライブ公演の「鏡の中のジャンヌダルク」9期生だけで任されたユニットの迫力は正に9期革命を思わせた。そしてラムネの飲み方公演の「孤独なバレリーナ」プリマドンナ役の石川花音さんの息をのむ美しさ。新人のひよっこというイメージをか完全に改めなければならない。
そして主役の場に踊り出始めた8期生達、RESET公演でのユニット曲「明日の為にキスを」で独自の世界観を展開するセンター井上瑠夏さんや制服の芽公演でのソロユニット曲「枯葉のステーション」でミステリアスに歌う佐藤佳穂さん。もはや、SKE48の中核になりつつある。
確かに光り輝く若い期のメンバーが多数出てきたといってベテランメンバーの影が薄くなるかというかとそうでもなく。
江籠裕奈さんの完璧なアイドル性、古畑奈和さんの「虫のバラード」の表現力の高さ、出演公演で響く野島華乃さんの歌声。
それまで観たことのなかった、青木詩織さんや日高優月さんのセクシー路線への挑戦。支配人である斎藤真木子さんのダンスのキレがこの公演にきても増しているように見えた。上げればキリが無い。
象徴的だったのは、専用劇場の公演では少しでも必ず目を奪われる程ギラギラ光るパフォーマンスをする須田亜香里さん、制服の芽公演でもセンターを務めていつも通りだったのだが、彼女の周りのメンバーがギラギラ輝いているお陰でいつも通りであるにも係らず目立って見えないという珍しい事が起った。正にベテランにとってはサバイバル公演のようだった。
 このように世代やチームの垣根を越えてメンバー1丸となって難局を乗り切るのはSKE48らしさといえるだろう。
過去にSKE48版ミュージカルAKB49と同時に行われた専用劇場公演の時、本番と稽古の為半分近くの正規メンバーが劇場公演を離脱する中で、全SKE48メンバーで個々の公演を支えた「シャッフル公演」の時期があった。あの時によく出演していたまだ研究生も多かった6期生やドラフト1期生そしてリーダーシップを発揮していた斎藤真木子さん、今や彼女達はSKE48の中心になっている。そんな時の事を思い出した。
 このイベントでそのパフォーマンスがメキメキと上がった9期生、まだ研究生のメンバーには昇格しても良いのではという声がちらほらネット上でささやき始められた頃、最後の12周年記念特別LIVEの終わりに、残りの9期生全員昇格は自然な流れであったと思う。昇格してからが正念場なので頑張って欲しい。
こういう希望が見える温かい流れで今回のイベントは無事に幕を閉じた。

6、おすすめの公演について
 
ここで披露された各公演について甲乙つけ難いですが、自分の好みでお勧めランキング形式で一言づつ。

1位  RESET公演  
今のSKE48を知りたかったらこの公演、このユニットにはこの公演の概念を変える位驚かされた。
2位  制服の芽公演
ザSKE48な公演、頭4曲の疾走感は秀逸で国宝級な公演
3位  シアターの女神公演
令和のチームC誕生。とにかく全てが濃くて面白い。
4位  ラムネの飲み方公演
SKE48を代表する公演高柳明音さんによって始まった公演これが最後かも?
5位  会いたかった公演
SKE48の未来をが知りたかったらこの公演。
6位  0START公演
RESET公演をチームK2が演るとこれだけバラエティ色が強くなるという。
7位  手をつなぎながら公演
来春卒業する松井珠理奈さんが唯一出演している公演珠理奈好きな人はこの公演だね。
8位  僕の太陽公演
9位  逆上がり公演
名曲揃いの公演だが、古畑奈和さんが好きならまずこの虫のバラードを観て、
10位 パジャマドライブ公演
9期革命が始まった、これから躍進する9期をみるならこの公演
11位 青春ガールズ公演
コロナが無ければ半年前観れていたであろう研究生公演、忘れ物を見つけた気持ちになれる。
12位 PARTYが始まるよ公演
7D2が好きならこの公演、あの時のあの娘達が、懐かしい気分になれる公演。

7、これから、、、、

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