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矢野顕子×上原ひろみ 2006.12.8 昭和女子大学人見記念講堂 (2006.12.12)

2006年12月8日金曜日 昭和女子大 人見記念講堂

見えない縁に導かれるようにして
親切な方から正規料金でチケットを譲っていただき、
指折り数えて待っていたライブ。

大好きな矢野さんと上原ひろみという僕にとっては気絶しそうな組み合わせ。
これが僕にとっての上原ひろみ初ライブになりました。

静かな興奮に包まれたホールの客電が落ちると
ステージにはスルスルとスクリーンが下りてきて
NYで収録した矢野さんとひろみさんのインタビューや
練習風景、日常スナップが映し出される。


その後、2人の偉大なる主役ご登場。
簡単なトークの後、まず最初はひろみさんのステージ。
初めて生で彼女のピアノを聴く。

ひろみさんは、目を閉じ、体でリズムを取りながら
気持ちを集中していた様子。

そして、澄み切った音と共に「Desert on the moon」が始まる。
ピアノソロで聴くのも初めてだし、当然、CDとも違うので
モチーフが出て来るまでは曲名がわからなかったけど、
凄まじい吸引力で、すっかり彼女の世界に引き込まれる。

2曲目は「My One and Only Love」
これも曲目はわからなかったが、どこかで聴いたことあるなーと思ったら
コルトレーンと、マーティン・テイラーの演奏を持ってました。
しかし、ジャズのスタンダードというよりか、彼女のオリジナル曲のよう。

曲に負けないくらいの音量で「うぉー」とか「アアア」とか叫びまくり、
足でガンガンリズムを取りながらの全身全霊の演奏は、これぞ魂の叫び!!
ひろみさんのソロの中で、自分的にはこの曲が白眉でした。

3曲目は、矢野さんの「ひとりぼっちはやめた」を
さわやか~に、かろやか~に演奏し、かわいい一面を披露(?)
んで、最後は「トムとジェリー」で怒濤のごとく締める。

もう、この4曲だけでもお腹イッパイ。

しかし、まだまだこれからが本番。
次は”ボス”矢野さんのお目見えです。

ひろみさんの演奏を聴いて
「ふぅぅぅ、スゴい!! ピアノ調律しなくて大丈夫ですか?」と
言っていたお茶目な矢野さん。
いーなー、矢野さん!

矢野さんは、いつものようにピアノの弾き語り。

中央線、きよしちゃん、ばらの花、ごはんができたよ、の4曲を
毎度ながらの楽しいトークと共にご披露。
「他人の曲、矢野が歌えば矢野の曲」という有名な格言(?)通り。
そして、聴く度に新鮮なアレンジ。

「きよしちゃん」は、闘病中の忌野清志郎さんを歌った曲だそうな。
なんと会場にいらしていたそうですよ。(残念だったね、ほにゃら君)

今年は、毎年恒例の「さとがえるコンサート」に行けず、
自分の中では「矢野さん不足」気味だったので、も~~大満足でした!

矢野さんは、吟遊詩人です。
言葉の力は偉大です。
矢野さんの歌う言葉ひとつひとつが、心に温かく染み込みます。

と、これで第2の胃袋まで満腹状態。

でもでも、メインディッシュは別腹。


矢野顕子&上原ひろみの共演は、
せいぜい3曲くらいかな、と思っていたら、
なんと7曲もやってくれました!!


矢野さんの曲から
 Children in Summer、Living with You、はこ、ラーメン食べたい、
童謡「あんたがたどこさ」が華麗なる変身を遂げた「あんたがたアフロ」、
ビル・エヴァンスの "めちゃ速" こと Very Early、
上原ひろみの曲から Deja vu


ピアノ2台の迫力とスピード感は、僕の想像をはるかに超えてました。
こんなにも凄い世界が広がるんだ~~、と圧倒されっぱなし。
しかも、選曲のセンスのカッコ良いこと。

特に「あんたがたアフロ」は、
数々の童謡を自分のモノにしてきた矢野さんらしい選曲。
フレーズの出だしが弱拍になったり強拍になったりするアレンジが
ひじょーにスリリングで楽しいです。

演奏については、Deja vu が忘れられません。
矢野さんお得意のハミングが曲の世界観とマッチしてました。


もう本当に満腹だったけど、第4の胃袋がデザートを待っていました。
アンコールは、そこのアイロンに告ぐ、Green Tea Farm。
絶対にやって欲しいと思っていたし、やるだろうなと思っていた2曲。

Green Tea Farmは、ひろみさんが故郷の茶畑を思いながら書いた詩を元に
曲を付けて作ったそうで、なんと矢野さんが歌っているイメージで作ったんだとか。
矢野さんはご自分のコンサートで何度か歌ってましたが、
矢野さんの歌&ひろみさんのピアノという本来あるべき姿が実現したのは今回が初めて。
感動的な瞬間でした。

とにかく、二人の世界を思う存分堪能させてもらって、
顔が自然とニコニコしてしまうのに涙も出そう、
感動で涙が出そうなのに笑顔が止められない、みたいな
初めての感情を体験しました。

憧れの矢野さんと一緒に演奏できる喜びを
全身で表現してくれたひろみさん。

上原ひろみというアーティストを年齢やキャリア関係なくリスペクトし、
それを自分流にアレンジして自らへ取り込んで行く矢野さん。

この2人の中に、ホンモノの厳しさと素晴らしさ、
それを伝える音楽の力を見た思いです。

お二人が、お互いのことを尊敬しあう気持ちが
この日のライブからは満ち溢れていました。
この幸福感が味わえたことが何よりの宝です。
一生忘れられないライブになりました。

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