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【地面師たち】エクスタシーなドラマ【ドラマ感想・分析】

あなたも地面師を見ませんか?

話題の(話題だった)ネトフリドラマ「地面士たち」を2日間で一気見しました。グロくて怖いけど、息もつかせないスピード感で見るのをやめられなかった…。以下感想

■評価
4.5/5.0!すごいドラマだった。

■面白かったところ
・1話単体の中でも起承転結、手に汗握る展開が入っている
・「100億地面師詐欺が成功するか?」が表の主題だが、裏拓海の感情の変化も裏の主題としてある
・いつの間にか地面師側を応援している自分に気づいて怖くなった。それだけ「地面師詐欺が成功するか?」というCQが強い。
・役者の皆さんの演技力がすごすぎる
・間とかテンポとかカメラワークとか、演出もすごい。空気感が張り詰めすぎている。石野卓球のBGMよい。
・真似したくなるセリフありすぎ
・内容がシリアスすぎて「シリアスな笑い」が発生する。ハリソンで何回か笑った
・キャラクターが全員推せる。僕の推しは情報屋の久保田。

■一行要約
1.地面師たちが大手デベロッパーを相手に不動産詐欺を仕掛ける話
2.地面師に人生を狂わされた男が、復讐のために地面師になる話

1.が表の話だが、裏で2.があることで単純な地面師詐欺の話になっていない。2.がないとクライマックスも難しそう(石洋騙した!終わり!だと話としてダメ)この二つをうまく組み合わせたなぁ、という感想。

■起承転結(全体)
起:(1話)物語の主役は地面師。10億の土地の詐欺に成功し、次のターゲットとして高輪の寺の土地を狙う。
承:(2〜7話前半)石洋を詐欺にかける。
転:拓海の家族が死んだ理由がハリソンと発覚
結:拓海はハリソンを殺そうとするが失敗

メインは2〜7話の「石洋ハウスを詐欺にかけられるか?」をCQとし、詐欺を成功させるために地面士たちがいろいろな努力をする様に主眼が置かれている印象。明らかに地面師チームは悪者だが、詐欺成功のために綿密に準備を積み重ねていくのを見て詐欺失敗か!?みたいな場面で応援したくなってしまう(そしてそれに自分で驚く)

このドラマが面白いのは上述の「承」がスリリングに進んでいくところ。各話ごとに内容を見ていきたい。

■各話ごと
<1話>
「起」の部分。1話が濃密でガッと心を掴まれた。続きが見たくなるとても良い第1話。登場人物の背景描写がされ、地面師詐欺の説明のためチュートリアルとして10億詐欺が行われる

・ハンティングのシーン
ハリソンの人間描写のためのシーン。クマに襲われても動じないし、むしろ殺せるような人間であることを示唆。

・ホテルでハリソンと拓海が話すシーン
拓海の背景描写のためのシーン。過去地面師に騙され、ハリソンに誘われ地面師になった。

(新橋白骨死体シーン)
警察側、辰さんがメインとなることの示唆。

・なりすまし練習/偽造書類確認シーン
地面師サイド努力パート。練習があることで「本番でうまくいくのか?」という気持ちを視聴者に植える。地面師チームの関係性やキャラクターの個性も示唆。(後藤の感じとか)

(警察二課のシーン)
地面師がチームであること、なりすましだけ性格が違うこと、警察はメンバーを把握しているが不起訴になっていることなどを提示。

・vsマイクホームズ 準備
物件選定、情報リリース、ターゲット接触、なりすまし手配、下見、偽造書類準備の流れを説明。

・vsマイクホームズ 対面
第一話のヤマ。ササキさんがボロを出さずに騙し切れるか?最大の難関として最寄りのコンビニの質問。視聴者ここですでにハラハラしながら行く末を見届けさせられる。

・勝利後の宴会→高輪の下見(?)
コンビニの質問について、拓海とハリソンが裏で機転を効かせていたことの種明かし。次のデカいターゲットの決定、概要の説明、仕込みの開始。
ハリソンが拓海以外を信用していない旨の吐露。拓海の過去に火事が関係することの示唆。ハリソンがなりすましを消していて、撮影までしていることの示唆。

メインの100億詐欺事件に繋がる、美しいとまでいえる1話だと思います!

<2話>
・事件その後の描写で地面師たちの強さを強調。
・拓海の過去〜拓海とハリソンの出会いを説明。
・石洋が早急に土地が必要な理由を描写
・尼ちゃんの弱みを握るための張り込み、備考
→地面師サイド努力パート2。2話の山場はカードキーの解除か。潜入がうまくいくかと思いきやアントニー突撃でダメになったり、視聴者の心を掴むのが上手い。


<3話>
・「これルイヴィトン!!!!」で竹下がやばいのを示唆
・ホスト潜入→担当ホストの弱みゲット
→地面師サイド努力パート3。尼ちゃんをどうにかするためにまずホストを落とすという、いい具合の遠回りが良い。楓がクソ野郎なので脅迫されることに納得感はある。1話で潜入から恫喝まで行くのすごいなぁ...。ただ、拓海くんは尼ちゃんとなんやかんなする必要はあったのか?
・林死亡
・デベ側も進捗。

<4話>
・山場は辰さんの死亡。地面師たちが追い詰められそう!?からの、ハリソンによる大逆転...
・手配師もがんばってる

<5話>
・山場は石洋の社内決裁か?特にスリリングな部分なしの印象。
・警察サイドが進捗

<6話> 37分しかないのにイベントが多くてすごい
・なりすましがダメになる→レイコがなりすましになる(この時のハリソンが怖すぎる)
・ホストが殺され、尼ちゃんが東京に向かう
・竹下がプリミティブされる
・本人確認→創建年を答えられない!が、なんとか突破

<7話>
・寺案内、騙し切れるか?
・尼ちゃんが帰ってくる前に終わらせられるか?
→詐欺成功、契約成立
→石洋のエピローグ
・拓海の仇がハリソンと発覚
→拓海vsハリソン、勝負の行方は!?
→ハリソン逃亡、完。


書き出してみると、以下が一貫している気がする

・詐欺完遂に対する努力、障害、解決(応援したくなる)
・ハリソンはやべーやつ(最後に繋がる)
・拓海の過去精算に繋げるための警察の動き(最後に繋がる)

後藤、レイコ、拓海は一貫して視聴者が嫌いになれないような振る舞い・演出がされている。レイコは最後なりすましの人にお金包んであげてたり、後藤も家族と過ごしてたり....

■名台詞たち
・あなたも地面師になりませんか?
・ライフの方が安いので
・もっと大きなヤマを狙いませんか
・これルイヴィトン
・最もフィジカルで、最もプリミティブで、そして最もフェティッシュなやりかたで、いかせていただきます

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