着こなして 細番手
長い間
冬に着るセーター
というものが
苦手だった
しかしながら
先日店頭で見かけた
セーターに
心を奪われた
いや
正確にいうと
セーターそのもの
というより
そこに添えられていた
ある一言に魅かれた
「首周りがチクチクしない」
なるほど
幼少のみぎり
無理矢理着せられたセーターに
つきまとう思い出といえば
この首の周りのチクチクだ
これが原因で
セーターが苦手になった
という方は
意外と多いのだろう
文字通り
「ネックになっている」
なんて言葉まで
思い浮かぶ
「こちらのセーターは
ハイゲージ
いわゆる
細番手の毛糸を
編んだものになります」
笑顔とともに
店員の女性が教えてくれた
少し悩んだ挙句
グレーのものを選んで
購入してみた
家に帰って
早速
袖を通してみる
細い番手の毛糸を
密度高く織り上げたセーターは
薄手でも暖かく
キチンとして見える
もちろん
ウリである
「首周りのチクチク」も
微塵も感じられない
細番手のセーターなら
着こなして付き合っていける
と確信し
なんだか新しい友人を得たような
気持ちになって
ちょっとうれしくなった
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