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2023 MUSIC YEAR END LIST

Introduction

2023年も終わろうとしています。今年も色々ありました(色々ない年なんてないのですが)。音楽的にはあるグループを好きになったことで、音楽の楽しみ方の幅が広がりました。そして今の自分を作ってくれたと言っても過言ではないアーティストの方々との悲しいお別れが影を落とし、その感情からなかなか立ち直れなかった1年でもありました。その辺各曲の説明でも述べてます。例年通りApple MusicとSpotifyでプレイリストを公開しますので、年末の大掃除のBGMに…なるかなぁ。厳しいかなぁ…とりあえずどうぞ。



 ※この曲順は順位ではなく、並べて聴いた雰囲気です。

 1. LEFT RIGHT - XG

自分にとって2023年の音楽はXGと(本格的に)出会った年として記憶するんじゃないかと。2022年の「Tippy Toes」での衝撃的なデビューはチェックしてましたし、その次のシングル「MASCARA」も聴いてはいたけど、そんなに強く記憶には残らないままでした。年が明け2023年1月25日「SHOOTING STAR」MVが公開。YouTubeに投下したマイクリレー動画GALZ XYPHERのヒップホップ寄り路線にフューチャリスティック&KAWAII味をプラスした同曲がまず熱狂を持って受け入れられます。その影に若干隠れて2日後の1/27に世に放たれたのが「LEFT RIGHT」の"SHOOTING STAR LIVE STAGE"。これに自分の2023年が大きく変えられました。楽曲自体はストリーミングで既に聴けたのですが、今になって振り返ると楽曲だけではピンと来てなかったんだなと。抑えたトーン、声や個性の違うメンバー7人がスリリングに入れ替わり立ち替わり歌やラップを披露し、なおかつ難易度高のダンスをバッチリ決める。そして曲が終わった後のやりきった多幸感。自分がよく聴いていた1990年代後半〜2000年代初頭のR&Bサウンドへの熱烈なオマージュ。このビデオにはその後XGの代名詞となった宇宙やエイリアン・テイストは出てきていませんが、『なんか今とてつもなくクールなものを観ている…』という衝撃で何度も見返し、YouTubeの検索窓に「LEFT RIGHT REACTION」と打ち込んでYouTuberの方々のリアクション動画を隅々まで観まくる日々が続きます。

その後、彼女達をよりグローバルに知らしめた同曲のアイコニックなオフィシャルミュージックビデオも公開されますが、「SHOOTING STAR」からの唐突(に見えた)な宇宙味やファッション含めた極彩色のヴィジュアル・アピールが自分には強烈すぎで、彼女たちの歌とダンスの魅力が隠れてしまってるように見え、当初はあまり好きになれませんでした。LIVE STAGE ver.のビデオへの思い入れが強すぎたようで、今なら落ち着いた気持ちで観られますし、なんなら「SHOOTING STAR」~「LEFT RIGHT」での宇宙(エイリアン)テイストの決定とそこへの海外含めた反応の良さがこの1年の躍進を決定づけた気がしてます。

それ以降、最新曲の「WINTER WITHOUT YOU」に至るまで、音源も映像も出てくるコンテンツに全くハズレがないのが本当に凄いです。そして圧倒的なコンテンツ供給量。ただでさえ楽曲リリース数が多かったのに(Official Music Videoだけで7本!)そのそれぞれにダンプラやBTS、感動的なドキュメンタリー・シリーズ、オフショット、ヴォーカル・ラインとラップ・ラインのソロやユニットでの楽曲、テレビ音楽番組出演動画とチッケムetc…もうついていくのがやっと。ALPHAZのFC会員の皆さんはさらにアプリでメンバー個々のブログとか動画もチェックしているんですよね?尊敬します。1年間走り続けたメンバー達も年末は少し休めてるかな…「WINTER WITHOUT YOU」MV冒頭のCHISAの「お元気ですかー」シャウト、それはこっちが聞きたいです。たぶん休みなく次の展開の仕込みをしてるんだと思います…ってこの文章書いてる時点でTHE FIRST TAKE決まりました。思いっきり仕込んでました。

NewJeansにプロデューサーのミン・ヒジンがいるように、XGにもプロデューサーのサイモン氏がいます。メンバー個々の「素」「才能」の魅力をうまーく見せながら、ファンそれぞれの推しはいても最終的にはグループ全体を好きになって追いかけてもらうためのあの手この手には脱帽しかなく…でもそれもこちらが気持ちのいい手のひらでの転がされ方なんですよね。納得度と満足度やタイミングの的確度合いがありえないほど高い。2023年のショウケースは観られなかったので、ぜひ2024年のワールドツアー日本公演で生のXGを観たいです。もちろんこの曲が2023年のベスト・ソング。XGは次点でEP『NEW DNA』収録のドリル「X-GENE」も入れたかった…。XGの事ならいくらでも書けます。2024年も楽しませてください!

 2. Steppa Pig - JPEGMAFIA & Danny Brown

アルバム含めてこの2人の才能のカップリングが好きでした。この曲じゃないですが、北海道のTV CM(のおそらくYouTube音源)からもサンプリングする貪欲さは驚き。この時代、ヒップホップで聴いた事ない感じを出すのは相当難しくなっていると思いますが、いやいやまだまだできると可能性を再認識させられた1曲です。

 3. Stereo Colour Cloud(shaman's Dream) - Sampha

Sampha待望の新作から。こちらも聴いたことないビートのつるべ打ちでした。どんなビートに乗っても彼の歌声の深みでホッと落ち着くようなところがあります。ツアーまわっているようなので来日希望です。

 4. Do Your Worst - Vagabon

前の2作からなんか雰囲気が変わった気が。アルバムのジャケットがお洒落。ブランドのコレクションとかファッション・ショーの写真みたい。

パンクバンドと思っていたので、ここまでドラムンベースを下敷きにした曲が来るとは全く思ってなかったです。前2作も聴き直してみたら打ち込みの曲はいくつもありましたね。先入観は怖いです 笑

 5. Sprinter - Dave & Central Cee

最近はイギリスのヒップホップを好んで聴いています。アメリカのヒップホップでハマれる曲を自分は最近なかなか見つけられず…。「勢いのある2人のラッパーのコラボ」なんて、アメリカでも頻繁に行われてるんでしょうけど。そしてこれがめちゃくちゃ支持されて再生されてます。MVはYouTubeで1億再生超え、Spotifyでは5億再生超え。TikTokではオフィシャル音源だけでも65万本の動画に使用。楽しいですね。歌詞の中で堂々とNetflixのアカウント共有の話してて、問題になってるのに大胆だなと。歌詞がヤバいので見てほしいです(こちらに和訳あり。ありがてぇ)。こんな名言をいただきました。全男性に通じるかどうかは不明です。

男は女の尻のために生き女の尻のために死ぬ

migihidariさんの"Sprinter"歌詞翻訳より

 6. Ditto - NewJeans

厳密に言えば2022年12月19日配信の曲ですが、年末から年始、「OMG」に至るまでの快進撃を記録しておかないわけにはいきません。怒涛のコンテンツ投下とそれに歓喜するバニーズの皆さんを側から見てるだけで幸せな期間でした。思えば「Ditto」のMV公開時にSide AとSide Bの2種類のMVがあることを知らず、Side Bから観始めてしまい全く意味が分からなかったという苦い経験があり、そのおかげで2023年夏の「Cool With You」はSide Bから観るような失態にはならなかったわけですが。「Ditto」MVは謎が謎を呼びまくり、考察がはかどったのも懐かしい思い出です。ビデオを撮影していた映画『はちどり』の子のYouTubeアカウントってまだあるのかな?この曲の登場からジャージークラブのアレンジを取り入れる楽曲が飛躍的に増えたなと。5つ打ちのバスドラム。このジャンルを狙ってた人達は『やられた!』って感じあったでしょうし、Ditto後「Dittoみたいなビートで」という曲の発注も増えたことでしょう。

今でも寒い冬の朝に聴くとめちゃくちゃ良い曲ですよね。イントロのファルセットをヘインが歌ってると知った時は衝撃でした。

NewJeansに関しては「Ditto」の直後に出たプロデューサー250による「Hurt」の名古屋撮影Remix、

そして前述した「Cool With You & Get Up」はSide AとSide B、そしてコンテンポラリー・ダンス全開のパフォーマンス・ビデオの3本を合わせて文句なしの今年のベスト・ミュージックビデオ。ナチュラル・ビューティーなホヨン、そしてトニー・レオン登場シーン、何度繰り返し観たか!パフォーマンス・ビデオのラストの下から撮るアングルも新鮮。ミン・ヒジンのトータル・プロデュース力とそれに応える5人のメンバー恐るべし、でした。自分の中では一時期のフィーヴァーは若干冷めつつはあるものの、2024年も結局リリースタイミングには熱狂するのが見えているので、適度な距離で楽しみにしていたいと思います。この前久しぶりにAsia Artist Awardsでのパフォーマンスを観たら、全員が少し大人になってて驚きました。特にハニとヘインの伸長がどんどん高くなってます。

 7. Boy's a liar - PinkPantheress

2022~2023年のジャージークラブと言えばこの曲を外せません。本来なら世界的にヒットしたpt.2の方を選ぶのが自然かと思いますが、ICE SPICEのラップがなくてもこの曲の良さは損なわれないので。

 8. Standing Next to You - Jung Kook

全世界のポップ・ミュージックの最高峰、少し前まではThe Weekndだったと思うのですが、今は完全にジョングクですね。日曜から土曜まで1週間の歌でお馴染み(じゃない)「Seven (feat. Latto)」の2ステップも良かったなー。この曲は2023年のマイケル・ジャクソンです。歌も上手い、ダンスも出来る。魅力の塊。向かうところ敵なしのポップスターです。曲の途中、2:38あたりで彼が見せるマイクを床に置くところ、

山口百恵がファイナルコンサートでマイクを置くシーン以来、このパフォーマンスを久々に観て感無量でした。

彼の場合、マイクを置いてさらにカッコいいダンスブレイクに続くんですけどね。トップのまま兵役へ行ってしまうのは残念ですが、兵役終了後の2025年?、さらに力を蓄えたBTSでのカムバックを楽しみに待ちたいと思います…って締めようと思ったらこんなものが公開されてる!音源出たのは知ってたけどMVまで作ってたのか!

アッシャー、余裕のパフォーマンス。さすがスーパーボウルのハーフタイムショーやる貫禄。兵役行ってなければその当日のゲストにジョングク、なんてのもあり得た未来だったかも…。ラストはJ-HOPEとJ-COLEの「on the street」での競演を思い浮かべたりしました。

 9. 2 Wheel Drive - Magdalena Bay

わー変わったMV…。なんか曲が好きなので選びました。特に理由は無し。自分は途中でビートスウィッチすれば何でも好きになる気がしてきました。タイトルの2 Wheel Driveって自転車の話だったのか。知らなかった~。

10. Limbo - Jessy Lanza

これも超変なMV…Jessy Lanzaは2020年のリストにも入れました。Amoebaの好例企画What's in my BagでYMO好きが分かってより好感度アップ。矢野顕子『いろはにこんぺいとう』をチョイスしてました。彼女の「Limbo」にYMO「Limbo」もつなげてDJでプレイできそう。

11. Mnike feat. DJ Maphorisa, Nandipha808, Ceeka RSA & Tyron Dee - Tyler ICU & Tumelo.za

アマピアノが何なのかいまだによく分かりません…この曲はBoiler Roomで二人組の女性DJがプレイしていて『うわ、この曲めちゃくちゃ中毒性あるじゃん!』と思ってすぐShazamして情報をゲットしたのですが、フルで聴いてその印象はより強くなりました。ヘッドフォンで聴くとキックがとにかく強い。「ニーカ、ニーカァァ」(って言ってるのかも分かりませんが)のフレーズがどんどん刷り込まれて、しまいには歌詞も分からないのに口ずさんでしまってます。Tyler ICUは南アフリカのミュージシャン/DJ/プロデューサーだそう。この曲自体もおそらくめちゃくちゃクラブバンガー的な曲なんだと思いますが、情報が無く…まぁ情報無くても良い曲は良い曲ということで。

12. Girls' Capitalism - TripleS LOVElution

とにかく曲の持つポジティヴさ、謎の高揚感に惹かれました。tripleSは「Generation」から気にしてるのですが、なんかタイミングが悪いのか派生プロジェクトが多くてグループとしての印象が根付かないのか、なかなか突き抜けないので引き続き経過観察案件です。

13. Party O'clock - NMIXX

NMIXXはこれか「Love Me Like This」かどちらか迷った末、新しい曲の方を。ジャージクラブと並ぶ今年のトレンド、2ステップ~UKガラージを取り入れつつ、大好きなビートチェンジも入れてくれる親切設計。生バンドをバックに歌うIt's Liveでのパフォーマンスでは普段より1.5倍増しの生歌強者な彼女たちの魅力が伝わってきます。とにかくヴォーカル・ラインの3人の涼しい顔してバチバチの競演が強力!

14. Electric Fish - Ana Frango Elétrico

まずアルバム『Me Chama De Gato Que Eu Sou Sua』のジャケットが好きです。今年のジャケット大賞決定。

とにかくトラが可愛い

ブラジルの音楽を1曲は選びたいなと毎年思っていて、今年は特に悩むことなくこの曲にしました。

15. That's Life (A Swamp) - Genesis Owusu

この人もよく知らない…曲が好きなので選びました。前のアルバム『Smiling With No Teeth』(変なタイトル)もジャケット見たら『あー、あれね。聴いてたわ。』と記憶が蘇ってくるアーティストでした。

16. S-Class - Stray Kids

今年JYPから2曲も選んでる…なんならTWICE「Moonlight Sunrise」も選びたかった。最初に聴いた時に大爆笑(すみません)してしまったこの曲。「ここはSeoul特別市」って歌詞から始まる曲ってどんなよ?途中でビート変わってどヒップホップになるし、振付変だし…という「なんじゃこれ」展開はずっと聴き続けると大好きになる魔法。「俺」の凄さ(気持ちいいセルフ・ボースティング)とテンションのブチ上がり加減が最後の1秒まで継続する曲。後にレコーディングのビハインドを観て、メンバー制作曲ならではの彼らの細かなこだわりも伝わってきたのがさらにプラスになりました。今年のK-POPを代表する楽曲の1つ(で良いですよね?)。スキズはヒット曲ありすぎてこの押しの強い曲でもかすむほど。

17. Sky at Night - Laura Groves

これもたまたま聴いた曲で、ファルセット好きにはもうたまりません。アーティストについてはあまりよく調べず好きな曲をお気に入りに入れ、年末のリストに入れる時に改めて検索したりするのが定例になっているので、この人がイギリスの人だというのもこのタイミングで知りました。ドリーミー。なんかケイト・ブッシュを想起するのは自分だけ?この曲以外はKEXPがやってるYouTubeのスタジオライブっぽい音源(聴こえ方が、という意味で。本作はライブじゃないです)。音数が少なく、彼女の個性的な歌を聴かせる内容になってます。

18. Hideaway - Joy Denalane

何故この作品を聴くに至ったのか、全く記憶がなくて恐縮です(多分Album of the yearのサイトで見つけたのかな?)。ドイツのシンガーソングライターに出逢う機会があるのもストリーミングならでは。アルバム『WILLPOWER』収録曲では「Fly By」も良かったです。このタイミングで調べて、自分と年齢近い事が分かり俄然共感度アップ。クラシックなR&Bで好きです。

19. drive ME crazy! - Lil Yachty

「意欲作」という言葉は今年のリル・ヨッティのアルバム『Let's Start Here.』のためにあるのでは?これまでとは全く違う路線で、聴いてて面白かったです。ペギーとダニー・ブラウンのコラボと並び、今年好きだったアルバムでした。アウトキャスト無き今、ジャンルを横断しつつもヒップホップが根底にある作品を沢山聴きたいです。そういえばアンドレ3000も今年はジャンル横断してフルート吹きながらどこかへ渡っていってしまったなぁ…。

20. 千のナイフ - Yellow Magic Orchestra

ラストのこちらは特別枠。2023年は自分の幼少期に音楽好きにしてくれたグループ、Yellow Magic Orchestra(以下YMO)の高橋幸宏さん、坂本龍一さんをともに失った年になりました。半年くらいはYMOや各ソロの曲を聴く気持ちになれず…今も幸宏さんのヴォーカルの入った曲は積極的には聴けません。だから、というわけではないですが、名盤『BGM』から今年Thundercatもトリビュートでカバーした坂本教授作のインスト曲を。YMOの好きな曲ベスト3に入る楽曲です。最初のドラムフィル、DJの時どうやって前の曲から繋いだらいいんだろうなぁ、ハンドクラップの入る場所が気持ちいいなぁ、これ以上の過激なシンセのギターソロには未だ出会ってないなぁ…などと思い続けて42年。いまだにいつ聴いても発見があります。タイムレスな音楽を数多く生み出してくれたお二人に感謝。あなたたがたがいてくれて、今の私があると確実に言えます。ご冥福をお祈りいたします。


以上20曲、2023年を締めくくる音楽のBest Listでした。

K-POP(とX-POP)年々増殖中のYear End List。よしよし。

■ ベスト・アルバム

これが一番困る部門。アルバム単位で作品を楽しむことがほとんど無くなってしまいました。アルバムを一通り聴く~好きな曲をピックアップする、で終了。結果としてアルバム全体への思い入れを持つのが難しくなってます。4曲以上収録されている作品を通しで一番多く聴いたのは…もしかしてこれ?にしても単曲の集約という印象です(その単曲の完成度がいずれも高かった)。特典含めたパッケージングやヴィジュアルなど、K-POPのフィジカル作品は高いお金を払うだけの価値があります(自分は払ってないです…家にもう置く場所が無いので)。


■ ベスト・ライヴ

ライヴ自体にほとんど行ってない中で、チケット争奪戦を勝ち抜いて?行ったのが5/12のドミ&JDベックのブルーノート東京公演でした。娘と2人での初ブルーノートだったのもあって印象に残ってます。美味しい食事と、YouTubeでは色々と観ていた超絶演奏をステージ真横の席から満喫。終演後はポスターを買ってメンバー2人とのサイン会に参加したりして、いつものお仕事とは逆の立場で楽しみました。

お2人とも来日プロモーション忙しすぎの寝不足気味でしたがナイスな人達でした!
なんじゃこりゃな2人

2024年も元気で素晴らしい音楽にたくさん出逢えますように。ではまた1年後に!

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