J3長野・横山雄次監督の退任について

2021シーズンのJ3リーグは24節を終えた時点で6月13日から東京五輪に伴う中断期間を挟んで12戦無敗を継続中の熊本が勝ち点46で首位に立ち、2位には仮に昇格圏内でシーズンを終えてもライセンスの関係でJ2への昇格が無い宮崎が勝ち点3差で追うという上位争い。一方、我らがAC長野パルセイロは五輪中断期間以降でまだ1勝しか挙げていない。特に9月以降に挙げた勝ち点は引き分け3つによるわずか3で24日のアウェイFC岐阜戦で2-3と敗戦を喫したことにより残り5試合の段階で勝ち点27に留まる長野は昇格の可能性が消滅した。

そして今日、地元有力紙の信濃毎日新聞が昼間にウェブ版で横山雄次監督の退任と後任に吉澤ヘッドコーチが昇格すると報じ、夕方6時にクラブ公式でも監督退任のリリースが出された。

横山雄次監督が長野に就任したのは2018年の暮れのこと。この年はJ3参入以降では最低順位となる二桁順位の10位で、失点も参入以降最多と守備の再建が目下の課題となる中での就任となった。

個人的に一番印象に残っているのは新生横山パルセイロの初陣となる2019年シーズンの開幕戦、J2からの降格組であるロアッソ熊本とのアウェイゲーム。この日は火の国熊本のイメージとはかけ離れた早春の冷たい雨が打ち付ける中で行われたデーゲームだったが、開幕直前に獲得した新卒DFの浦上仁騎(現甲府)や山田陸(現甲府)といった新戦力を開幕スタメンに抜擢して、若返ったチームが見せたのは雨のピッチをものともしない思い切りのいいパスワークで主導権を握る今まで見た事のない長野の姿だった。試合は2度先行するもPKとクリアミスから失点し2-2のドロー決着。とはいえ「今までの俺たちとは違う」というメッセージをサポーターに伝えるのには十分だった。

初年度は9位、昨年度は最終節まで昇格を争って惜しくも3位。若さと運動量に活路を見出したチームはとても魅力があったが、年数を重ねるごとに課題の方が色濃く目立っていき、昇格の望みが途絶えた段階で指揮官と袂を分かつことになった。

今は自信を失ってしまっているチームだが、横山監督が描き、若きチームが確かに鮮烈に見せつけてくれた「俺たちだってやればできるんだ」という姿勢やマインドを思い出して、まだ見ぬ2022シーズンの長野を託される新指揮官とともに駆け上がっていくことを期待している。

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「やればできる!!!」

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