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アイルランド旅行備忘録(事前準備編)

今年のGW(4月29日~5月5日)を使ってヨーロッパはアイルランドへ旅行に行ってきたので、その備忘録を記す。

まずは出立前の色々、準備諸々を書いておく。

1.航空券

アイルランド行きを決定したのは2月の頭、航空券を取得してもう引き戻せない状況にした。
日程はGWに決め打ち。どうせ行くならと休暇のほとんどを組み込んだ。問題の航空会社だが、そもそも日本(羽田)からアイルランド(ダブリン)への直行便は飛んでおらず、何処かしかで乗り継ぎをする必要がある。

当初候補に挙がったのは、英国のブリティッシュエアウェイズとドイツのルフトハンザ。行き先がアイルランドなので英国の飛行機を利用したかったが、比較見積もりをしたところルフトハンザに軍配が上がった(安い所はあるにはあるが、乗り継ぎ3回、片道24時間以上と度外視)。
筆者はかつてドイツへ10ヵ月ほど留学に行っていたのでドイツに親近感はあるのだが、正直「ヘタに知ってしまったが為に使いたくない」という思いもあった。というのも、ドイツ、意外とルーズである。交通機関はしょっちゅう遅延するしアナウンスも不親切ヘタするとしれっと該当便が消えている、なんてこともあった。オマケに調べているとルフトハンザのトラブル対応のまずさがチラホラ目に映ってしまう。
しかしトラブルなどどうせ起きる時には起きるので、久々にドイツ語を見聞きできるのも良いだろうということで今回はルフトハンザにお世話になることにした。因みに往復約40万円弱。つらい。

座席も指定するとチマチマ金を取られるので、長丁場になる羽田ーフランクフルト間のみ、通路側の席を指定した。その方がお手洗いに行きやすいし食事や飲み物の受け取りもしやすい。いつもなら窓際を取るが、ここは快適さを優先する。
前もって座席指定をしなかった場合、オンラインチェックインが可能となった時間から空き席を無料で予約できる。フランクフルトーダブリン間は2時間程度のフライトなので、ケチって当日指定とした。

ルフトハンザ航空便。フランクフルトからダブリンへ

2.宿

宿は普段世話になっているBooking.comにて予約した。検索不足なのか知識不足なのか、ヨーロッパには日本で言うビジネスホテルに近いものが無く、安い値段で泊まろうとすると中々の田舎もしくはドミトリーに泊まるしかない。ドイツ時代は主にドミトリーを使ったがハズレ客(特にいびきおじさん)を引くとどうしようもないし折角の個人旅行なので、ちゃんとしたホテルをとることとした。
最もたる優先順位は値段の安さだが、ダブリン内のホテル代は結構高め。なので次点の優先順位たる大きめのバス停と鉄道駅が近くにあるホテルを選び、一応キャンセル可能プランにして朝食付き約17万。けっこうしんどい。

現着時のホテル「ベレスフォード」。鉄道のコノリー駅とバスセンター、スーパー、加えてダブリンバイク(後日記述)のステーションも近くにあり立地はかなり良かった。

3.準備したもの

1.パスポート
これがないと始まらない。初めは5年有効タイプで考えていたが、職員さんの「5年のみでよろしかったでしょうか?」という声に何故か流され10年有効にした。赤くてカッコイイが、ノリで5千円程の余計な出費となったので期限切れ前にもう一度何処かへ出かけたい。
パスポートそのものは一週間もあれば発行できるが、前提として必要となる戸籍謄本の写しの取得が若干面倒。本来であれば本籍のある実家の役所に申請せねばならないのだが、筆者の場合はマイナンバーカードを通してコンビニの印刷機で発行できた(自治体によって発行の可否があるので注意。また可能である場合でも、印刷機の案内に従って本籍のある自治体に申請する必要があり、1,2日を要する)。

2.スペアの眼鏡
海外で眼鏡を失うのは最悪中の最悪なので、Zoffでちゃちゃっと作製。どの道スペアを持っていなかったので良しとする。佐賀時代に壊して偉い目に会ったしこの先安心。

3.変換プラグ
アイルランドのコンセントプラグはBFタイプ。地元だと珍しいのか取り扱いが無く、ヨドバシドットコムにて注文。早いしたったの2個でも送料無料。大丈夫なのか。ポイントもついてしまう。
なお変圧器については、日本の充電プラグには大抵ACアダプターがあるのであまり必要はないと思われる。ボルトは220~240V

BFタイプのコンセント

4.現金
アイルランドはクレカ大国である。なので現金はさほど必要ないしATMからのキャッシュでも良いのだけれど、入国時検査で手持ち現金があまりにも少ないと不法就労を疑われると読んだので事前に両替をした(今回お世話になったサイトはGPA)。
ただ、140円台後半時点で両替しておけば良かったものを欲張った結果どんどんレートが悪くなって、最終的にはほぼ160円で両替する羽目に。株とか向いてないなと痛感した。3万円を両替する。

5.スマホの海外利用申し込み
レンタルWi-fiも検討したが、料金や手間を考えると契約先の海外利用プランに申し込んだ方が特段お得だった。ワイモバイルなので「海外あんしん定額」を申請。
因みにアイルランドはWi-fiが非常に多い。公共施設はもちろん、バスや電車にも備えられているので気軽にネットに繋げることができる。信号待ちをしている隣のバスのを拾ってしまえることもしばしば。筆者は通信代をケチって滞在前半は専らWi-fiで食い繋いでいた。

申し込んだプランは72時間で9GB使用できるもの。画像は出国寸前時だが、どうあがいても使い切れる量ではない。ソシャゲの大型アプデも耐えられる。快適に過ごせたのは確かだけれども。

6.薬
長期移動に加え気候もかなり変わるので、風邪薬と花粉症の薬を用意。本当は葛根湯も持っていきたかったのだが、バラの袋の粉薬は「勘違い」される可能性があったので錠剤のみ持って行った。

7.各書類印刷
ホテルの予約表や飛行機の旅程、その他予約したチケットを印刷しておく。前者は入国審査時の説明用に、後者はスマホが使えなくなった場合用に。パスポートのコピーも忘れずに。また、訪れる予定の場所へのバスもしくは電車の時刻表も印刷しておくとオススメ。

8.スペアの靴
アイルランドは非常に雨が多い。一日中晴れているのが珍しいくらいなので、濡らしてしまった時用にスペアを持っていく。ぐずぐずの靴をずっと履いてるのはしんどいし。乾かす用の新聞紙を持っていくのを忘れてしまったのだけれど、フランクフルト空港で無料配布されていたものを頂戴した。

9.ワクチン接種証明
渡航計画当時はまだコロナに係る入出国の制限が厳しく、3回目のワクチン接種証明が必要だった。証明書を表示するアプリを入れたほか、念のため紙でも印刷しておく(コンビニでマイナンバーカードを通じて「海外用」を印刷)。
執筆時の6月4日現在は不要となっているが、今後も注視しておくべき項目。厚生労働省の水際対策ページおよび、訪問国と乗り継ぎ国の大使館からの情報はお気に入り登録しておくのをお勧めする。

10.アプリ(交通、辞書、ルフトハンザ)
ぶっちゃけ交通アプリはほとんど使わなかったのだけれど、辞書にはしばしば助けられた。アプリであればオフラインでも使用でき便利。筆者は博物館等の展示をじっくり読むせいで非常に時間を使ってしまうタイプなので、理解の補助にはもちろん時短にもなる。
また、ルフトハンザ航空も独自のアプリを有しており、これを通じてチェックインが楽になる上、運航に関するアナウンスも早めに届く。加えて嬉しかったのが、自分の荷物がどの便に積まれているかを表示してくれる機能。兎にも角にもバゲージロストが一番嫌なので、完璧ではないだろうけれど安心できる素材として優秀。


英和/和英辞典。写真やスクショを通じて翻訳してくれる機能が特に便利


ルフトハンザ航空用アプリ

11.単語帳、メモ帳、本
使う場面が多いであろう言い回しや、中々覚えられないものは単語帳に記しておく(特に入国審査時のやり取り)。加えてアイルランドには土着の言語であるゲール語という言語があり、そちらの会話集も作っておく。アイルランドに限らず、海外へ行く際は英語+挨拶程度なら現地の言葉を覚えておきたいと考えている。
メモ帳には後述する事前学習の内容(アイルランド議会や政党、年表、人物表等)を記し、各地に赴いた際のガイドとしたほか、いち物書きとしてネタにできるものがあれば記録しておく貴重な一冊となる。
本は岩波文庫の「イェイツ詩集(対訳)」と集英社文庫の「若い藝術家の肖像 」を持って行った。イェイツゆかりの地で詩を読みたかった(これが後日思わぬ効果を上げる)のと、後者は読書中だったので機内のお供とした。ジョイスは読んでいてワケが分からないので幾らでも時間を使えるし良い睡眠導入剤にもなる。

12.オンライン予約
観光地の入場チケットや電車、バスの予約も前もって行っておく。予約枠の確保はもちろん、アイルランドにはアーリーバード(『早起きは三文の徳』に近い)という仕組みがあり、早めに取っておくことで若干の費用の節約にも繋がる。また、こうすることで旅行プランをパズルのピースのように組み立てていくことが可能だから、個人的には重宝する。

カラレース場のオンラインチケット。通常より25%オフ

4.事前学習

チケットと宿を抑えたら後はひたすら事前学習に時間を費やす。いかんせん半ば衝動的に始めた旅行計画なので時間はいくらあっても足りない。青い鳥のアプリなんぞは時間泥棒なのでブロックリストにぶち込んでおき、参考文献を読み漁った。やはり前提知識があれば現地での新たな発見は格段に増えるし、ひとつひとつを理解するペースも早くなり、結果多くの所を見学できるだろう。それに何より、分かるということはとても楽しいことなのだ。これが一番大事だ。

まずアイルランド現在の情勢(面積や人口、議会や首相等)を外務省のホームページにて調べ、本を通じて歴史をなぞっていく。次いで好きな詩人、作家であり今回の旅行の目的でもあるイェイツやジョイスに関する解説本を読み進めた。無論著作集は先に抑えておく(惜しむらくはユリシーズが手付かずだったこと。これは今後必ず読む)。
各々の本で取り上げられる中心人物こそ違えど、同じアイルランドでの話なので当然被ってくる話題や人物がある。その重複が繰り返されることで理解の進みへの助けになったことは間違いない。

ただ、文学者達の頭の中を覗いていると多大な精神的疲労を伴う為、エッセイや旅行ガイドもお口直しとして忍ばせておく。エッセイは「ここに行ったらこの文を思い出そう」、「あそこではあんな妄想が捗りそうだ」等と創作意欲が刺激され、とても良いものだと感じた。
旅行ガイドは当然観光スポット候補探しになるし、特に食事の予定を決められるのが大きい。
ゲール語ことアイルランド語は、非常に難解な文法ゆえ挨拶程度の学習に留まってしまった。また現状としてゲール語が馴染んでいる地域(ゲールタハトと言う)は実は限られており(主に西端部)、通じない可能性が高い。

今回特に役立った参考文献たち。やはり歴史に強い中公新書。左上「イェイツとジョイスの時代のダブリン」は歴史書だが難解な言い回しが多く読み込みに苦労したが、非常に多くの人物が現れるのでアイルランド訪問中はそこかしこで「あの本で読んだ人だ!」となった。

右上「20世紀英米文学案内 〈9〉 ジョイス」はジョイスの各著作を解説しつつ略歴も追っていく。90年代頭の絶版本ではあり文体も古いが、丁寧な解説で非常に理解に役立った。特にジョイスは難解なので、何かしらの解説本はあると心強い。

また、実はアイルランドに関するアニメもある。「ブレンダンとケルズの秘密」「ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」というアニメ映画だ。前者は9世紀頃に作成された「世界一美しい書」と呼ばれる福音書の写本である「ケルズの書」に関する話で、後者はセルキーと呼ばれる妖精と人間との関わりを描く神話を基にした作品である。
アニメならば気軽に見れるし話も理解しやすい。特に「ケルズの秘密」は美術品に係る話だけあって映像が美しかった。dアニメストアで視聴した。


5.終わりに

衝動に駆られたチケット取得からおよそ3ヵ月間の準備期間を経て、いよいよ出発。この時期の勉強時間と集中力はかつての受験勉強を思い出したし、実際かなり楽しい時期だったと振り返る。
次回は日本からドイツ、そしてアイルランド上陸までを書き記します。

(追記)次回分できました

ダブリン到着時、ホテルまでの道中で遭遇したジェイムズ・ジョイス像

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