22/12/12 【感想】世界のサンドイッチ図鑑:独自の組み合わせが楽しいご当地レシピ355

先月発売されたポケットモンスター・スカーレット/バイオレットが大盛況だそうですね。この記事を読んでくださっている方の中にもプレイされている方がいらっしゃるのではないでしょうか。
念のためプレイしていない方にお教えすると、ポケットモンスター・スカーレット/バイオレットというのはサンドイッチを作るゲームです。

1人はもちろん、マルチプレイで友人と一緒にサンドイッチを作ることも可能!白熱の協力プレイが楽しめるサンドイッチ作成ゲームなのです!

ゆで卵が多すぎる

恐らくまだ見ぬ理想のサンドイッチを求めるポケモントレーナーは僕だけではないことでしょう。もうサンドイッチ道へ歩みだした方も、これから歩む方も、その道を照らす光を求めていることでしょう。

そこでおすすめしたいのが本書『世界のサンドイッチ図鑑』です!

はい、というわけで佐藤政人『世界のサンドイッチ図鑑:独自の組み合わせが楽しいご当地レシピ355』を読みました。
文字通り世界のサンドイッチを集めたレシピ集で、載っているレシピは筆者が集めた情報を元に自分でそのサンドイッチを作ったレシピです。

筆者が実作したときの写真が載ってるんですが、これがうまそうでそそられます。材料とレシピから味が想像できたりできなかったりしてそのどちらもとても楽しい。眺めていてとても楽しい本でした。

前回同様、355種類のサンドイッチから気になったものをいくつか抜粋しました。

シューターズ・サンドイッチ (イングランド)

さすがサンドイッチ発祥の地だけあってイングランドはサンドイッチが豊富。中でも惹かれたのがこれ。丸いカントリーブレッドの中をくり抜いてステーキとソテーしたマッシュルームを詰め、一晩重しをのせておく。おいしそうだし食べてみたい。
ステーキのサンドイッチって海外だと結構見ますよね。昔オーストラリアで食べたやつがとてもおいしかったです。

トースト・サンドイッチ (イングランド)

バカサンドイッチ枠。「冷めた薄いトーストを、バターを塗った2枚のパンではさむ。塩と胡椒で味付けする」という、"具がパンのサンドイッチ"。
「たかがトーストをはさんだだけのサンドイッチだと笑ってはいけない」と筆者は書いているが、多分昔のイングランド人のネタじゃないかな…。

ブラムリー&ベーコン・バティ (アイルランド)

ブラムリーは酸味が強い加熱用のリンゴの品種。これを焼いてブルーチーズ、ベーコンとサンドする。こういう甘じょっぱい系のって味が気になって食べてみたいなって思うんですよねえ。

ウィンナ・シュニッツェル (オーストラリア)

薄く叩いて伸ばした仔牛肉に衣をつけてバターで揚げ焼きにしたカツ(シュニッツェル)のサンドイッチ。つまりオーストラリアのカツサンド。

アウツマイター (オランダ)

ハム、ゴーダチーズ、トマトスライス、ピクルス、目玉焼きをライ麦パンではさんだサンドイッチ。シンプルにうまそう。
面白いのが名前で、バーで飲んだくれて放り出される前に最後に食べるサンドイッチという由来で「放り投げる」という意味のアウツマイターという名前になったそうな。

フロークタ・パーリング (オランダ)

前回紹介したスープでも何度か触れたが、この本はすべて作者が実際に作って食べた上でサンドイッチを紹介している。その中で素直に「うまい」と賛辞が書かれているものは意外と多くない。
これはその中のひとつで、ウナギの燻製を使ったサンドイッチ。この珍味、ウナギの燻製がうまいのだそう。

ラ・ミトレイエット (ベルギー)

ステーキ用肉を薄切りにしてソテーしたもの、フライドポテト、申し訳程度の野菜をギチギチに詰めたサンドイッチ。これこれ~!って感じ。
ラ・ミトレイエットとはマシンガンのことだそう。ギチギチに詰まったヘビーな具を見ると確かに重機関銃を想像できる。

スキャッチャータ (イタリア)

ここまでで一番「わ、超うまそう!」となったのがこれ。
スキャッチャータというフォカッチャに似たフラットブレッドに、茹でてソテーしたブロッコリーの乱切りと各種チーズ、ブラックオリーブのスライスなどを挟む。すげえうまそうじゃないですかこれ!?
パンがただの土台や手持ち部分じゃなくてちゃんと具材と対等に協調してそうな感じがとても完成度高し。

ピアディーナ・コン・コット・エ・カルチョフィーニ (イタリア)

フライパンで焼くというフラットブレッドに、生ハム、オイル漬けのアーティチョーク、チーズ、ロメインレタスを挟む。こんなの絶対おいしいじゃんね。イタリアのサンドイッチはどれも「絶対おいしい」と読むだけで分かるレシピになっている。

ブリオッシュ・コン・ジェラート (イタリア)

ジェラートのサンドイッチ。アメリカではクッキーに挟んで食べるがシシリーではパン・ブリオッシュに挟んで食べる、と紹介されている。日本でもビスケットに挟まってるアイスが売られてるよね。
個人的に、スポンジケーキやクッキーなどの甘い生地で甘いものを挟んでいる類のスイーツはケーキやクッキーなどの部分をパンに置き換えるポテンシャルがあると思っている。フルーツサンドとか、甘すぎなくて食べやすいのよね。

サンドウィッチ・ドゥ・プーレ (フランス)

シンプルうまそう枠。ローストチキンとゆで卵と野菜、タルタルソースのサンドイッチ。

ボカディーヨ・デ・ハモン (スペイン)

半分に切ったパンに完熟トマトをこすりつけ、そこにオリーブオイルをかけてハモン・セラーノをはさんだサンドイッチ。トマト、生ハム、オリーブオイルとスペインのうまいもののシンプルなパワーを使ったシンプルうまそう枠。

フランセズィーニャ (ポルトガル)

「小さなフランス」という名前を持つこのサンドイッチは、フランスのクロックムッシュがポルトガルで再現され定着されたものだそう。
ハム、薄いステーキ、ポルトガル風ソーセージ、チーズをパンではさみ、肉や野菜をビールで煮込んで作るフランセズィーニャソースをたっぷりかける。このソースに最大の特徴があり、ぜひとも食してみたいところ。

レフセ (ノルウェー)

レフセは茹でたジャガイモをこして生地に使うパンケーキやクレープのような趣のフラットブレッド。食べ方もパンケーキやクレープのように、クレムフレッシュ(北欧のサワークリーム)とジャムを巻いて食べる。うまそう。

ホルトバジ・パラチンタ (ハンガリー)

炒めた肉や野菜をパンケーキでくるんだ、いわゆるラップサンドに分類されるもの。その上からサワークリームベースのソースをかけているので手で持って食べることはできない。ラップサンドにギリギリ分類できるから載ってはいるが、どちらかというとパスタに近い雰囲気のもの。

ランゴシュ (ハンガリー)

この本にはフラットブレッドという分類のパンがよく登場する。ナンやピタ、トルティーヤ、ピザの生地などもこの分類。
ランゴシュはハンガリー名物のフラットブレッドで、マッシュポテトと小麦粉をミルクで伸ばしてドライイーストで発酵させたものを揚げて作るそうな。そして僕はこのフラットブレッドに分類される類のパンがかなり好きなんです。

セヴァプチチ・センドウィッチ (セルビア)

ピタブレッドにラムと牛の合い挽き肉で作ったミートボール、サワークリームとナス入りのホットソースをはさんだもの。「世界でもトップクラスのおいしいストリートフードだともいわれる」のだそうで、実に気になる。

スブラキ (ギリシャ)

紀元前17世紀にはもう存在していたというギリシャのファストフード。
ピタブレッドにはさむ具はマリネ液に浸した肉を串に刺して焼いたもの。すりおろしたキュウリとギリシャヨーグルトをベースにしたいかにもギリシャなソースが良い感じ。

アタイエフ・ビル・アシュタ (レバノン)

「エキゾチックでとてもおいしいデザートである」と激賞されているのも納得できる、パンケーキでカスタードクリームをくるっとはさんだもの。
オレンジブロッサムウォーターやローズシロップなどシロップで香り付けしているのが特徴的で、文学作品などを読んでいてもアラブ圏のスイーツは花の香りのシロップが活用されていることが多く見え、どのようなものなのか実に興味がある。

バルック・エキメッキ (トルコ)

有名なイスタンブールのサバサンド。
数年前に日本でもサバサンドがブームになった頃に自分でホットサンドメーカーを使ってサバサンドを作ってみたことがあるのだが、後始末が大変な上に、しばらくそのホットサンドメーカーで作るものにいちいちサバのにおいがつく。サバサンドと心中する覚悟がないのならホットサンドメーカーは使わない方がいい。

サビーフ (イスラエル)

ユダヤ教の安息日のための作り置きをルーツにもつ、イスラエルのファストフード。揚げナス・ゆで卵をタヒニソース、ひよこ豆のペースト、マンゴーのピクルスなどとともにピタにはさむ。どんな味なんだろ、想像できないので気になる。

ムサクァハン・オン・ラファ (イラク)

骨付き鶏肉のローストを豪快に使って作る。写真がうまそう。
スマックという香辛料を使うことで独特のフレーバーがあらわれるそうなのだが、説明を読んでもよくわからない。
そこでWikipediaを見てみると、「赤じそのふりかけ」…いわゆるゆかりに似た風味なのだという。そう思って写真を見るとめっちゃゆかりである。

バギラ・ビル・ディアヒン (イラク)

その国ならではの朝食に興味があるというのは前回も書いた通り。
ピタパンの上に煮豆(オニオン・パプリカ・トマトと煮る)、オムレツを無造作に載せた朝食って感じの朝食で実に惹かれる。

ニザミ・ロール (パキスタン)

「世界でももっともおいしいフラットブレッドのひとつだと私は思っている」というラチャパラータでフライドポテトとスパイシーな鶏肉を巻き、ソースに甘いタマリンド・チャツネとスパイシーなグリーン・チャツネを使うことが味の決め手になるという。これもオンリーワンな感じで現地に行って食べてみたいなあ。
ちなみに本文の、

ラチャパラータと呼ばれるフラットブレッドは、ペーストリーのように層になっていて、外側がサクサクとしている。ただペーストリーは層が無数にあるのと違って、ラチャパラータは層が少なく、渦巻状になっている。

という説明であまりにも目が滑ってちょっと笑いました。

プルド・ポーク・サンドイッチ (アメリカ合衆国)

バーベキューした豚肩ロースを煮たタマネギ、びちゃびちゃのソースと共にはさんでびちゃびちゃになりながら食べる。これぞバーベキュー。
ハンバーガーとホットドッグの国・アメリカは流石のサンドイッチ量。ハワイを除くアメリカだけでなんと60種類も収録されている。

フレンチ・ディップ (アメリカ合衆国)

この名前だがフランスとは全く関係ない。
薄くスライスしたローストビーフをフランスパンにはさみ、そしてそれをローストビーフを作るときに出た肉汁とビーフブロスで作ったディップにつけて食べる。これまたアメリカって感じ。こういう食欲を雑に殴りつけるようなアメリカン・フードを無性に食べたくなるときがある。

チャウ・メイン・サンドイッチ (アメリカ合衆国)

なぜ選んだかというと、写真がぶっちぎりでおいしそうじゃないからです。
揚げた麺のサンドイッチなんですけど、焼きそばパンのようなものと言われてもちょっとホントにマジで麺の塊なんですよ。パンいらないってこれ絶対!
ポケモンSVのサンドイッチの具にも麺があるらしくマルチプレイで持ち込まれたことがあるのですが、非難轟々でした。

ジ・エルビス (アメリカ合衆国)

エルビス・プレスリーが愛したという食パンにピーナッツバターとマッシュしたバナナを塗り、焼いたベーコンを載せたホットサンド。途中まで分かるのだがベーコンで一気に走り出す。アメリカ~って感じのサンドイッチ。アメリカ人にはエルビス・プレスリーがおかしいだけだと言われるかもしれないけど。

ラックス (アメリカ合衆国)

ベーグルに、スモークサーモンとクリームチーズ、刻んだチャイブとディル、ケッパーをはさむ。完全に味が想像できて、そこに一切過不足を覚えない。ハーブのひとつひとつに至るまで洗練された完成度の高さ。本書で最も「完成形」に近いサンドイッチだと思う。材料が手に入らず代用することはあれど、全て手に入る環境ならば人類はここに何も足しも引きもせず作り続けるだろう。

パストラミ・サンドイッチ (アメリカ合衆国)

最も好きなサンドイッチの具のひとつがパストラミ。だけど日本だとあまりないのよね。スタバは手軽にパストラミサンドが食べられる貴重な場所として重宝している。

バーモンター・サンドイッチ (アメリカ合衆国)

レーズンパンを使うのが珍しいサンドイッチ。ターキーとチェダーチーズ、そしてメープルシロップをはさむ。アメリカ人ほんと肉やチーズと甘いもん合わせるの好きね。特にターキーにいたってはスイーツの一部だと勘違いしているフシがある。

グリルド・ハワイアン・テリヤキ・バーガー (ハワイ)

ハワイのテリヤキバーガー。輪切りの焼きパイナップルをはさんでいるところがいかにもハワイアン。まあ1回は食べてもいいかなという選出。

タコス・デ・ポイヨ (メキシコ)

タコスはうまい。これだけはなんとしても言いたかったので選出。日本でももっと流行っていいと思うんだけどなあ。柔らかい皮のものが好き。
ハワイ含むアメリカでは結構値の張るレストランが言うほどおいしくないような土地でも現地人がよく食べるタコスは安定しておいしかったりする。

パンバソ (メキシコ)

茹でジャガイモとチョリソーの炒めもの、グリーントマトとチリペッパーで作ったグリーンソースが具、そしてそれをはさむパンはチリペッパーとニンニクで作るディッピングソースに漬けて油で揚げる。とうがらしマークが3つ付いているような、メキシコ無双!って感じの一品。

トリプレッタ (プエルトリコ)

牛ステーキ、ローストポーク、ハムやリングイッサと3種の肉をはさむからトリプレッタ。それとフライドポテト、チーズをはさんでグリルする。ファストフード!って感じ。日本のチーズ牛丼みたいなポジションなのかしらん。

ヒバロ (プエルトリコ)

牛肉ソテーのスライス、チーズ、レタス、トマトをはさんだサンドイッチ。というだけだと普通そうなのだが、はさむのがパンではなく揚げたマッシュバナナなのである。

ジャマイカン・ジャークチキン・サンドイッチ (ジャマイカ)

就職して一人暮らしをはじめたとき、近所にジャマイカ料理の店があった。数度しか行けなかったのだが、そこでメニューにこのサンドイッチを見た覚えがある。気になっていたのだが、残念ながら食べる前につぶれてしまった。そういう意味で因縁の一品。

アレグラド (コスタリカ)

ペーストリーで豆や牛肉、チーズや野菜をはさむミートパイをサンドイッチにしたような食べ物。うまそう。

ベイク&シャーク・サンドイッチ (トリニダード・トバゴ)

トリニダード・トバゴのビーチでよく売られているというサンドイッチ。
シャークというだけあって、サメのフライがはさまれている。
それだけでも興味深いのだが、ベイクというのは揚げパンのことだそうで、つまり揚げパンでサメのフライをはさんだサンドイッチ。サメに目を奪われがちだが、揚げ物で揚げ物をはさむ静かな狂気が潜んでいる。

チヴィート (ウルグアイ)

フレンチロールに牛肉のソテー、ハムや焼いたベーコン、モッツァレラチーズと野菜、オリーブなどをのせ、最後に半熟の目玉焼きを載せる。その黄身がマヨネーズと共にソースになるというサンドイッチ。絶対おいしいじゃん!
ちなみにチヴィートとは小さなヤギという意味だが、ヤギの肉は使われていない。その理由はぜひ本書を読んでいただきたい。

ハワウシ (エジプト)

ピタパンの上に生のひき肉や野菜、香辛料を混ぜたものをのせ、もう1枚ピタパンをかぶせてふちを閉じてからオーブンで焼く。カルツォーネピザや餃子のようなイメージかな。

エジプシアン・パレス・ブレッド (エジプト)

まさか食パンで食パンをはさむサンドイッチが世界にもうひとつ存在していたとは…。
耳を切り落とした食パンをハチミツにひたし、3枚重ねてオーブンで焼いてからホイップクリームをのせる。実態の割に名前がノーブルすぎないか?

猪排包 (中国)

早い話がポークチョップ・サンドイッチなのだが、様々なスパイスと共に漬け込まれた豚肉は外側がカリッとしつつ中は柔らかく、肉汁があふれるのだという。読んでいるだけでも涎が出そう。

アイティム・カノム・パン (タイ)

アイスクリームのサンドイッチはこの本の中でもいくつか紹介されているのだが、このアイティム・カノム・パンはココナッツのアイスクリームを使うことと甘いおかゆ(いわゆるライスプディング)も一緒にはさまれていることが特徴的。米をパンにはさむ異形のサンドイッチである。

ロティ・ジョン (マレーシア)

オムレツサンドなのだが、溶き卵をパンの断面にかけてそれをグリルで焼くという製法が独特。これによってパンに張り付く形でオムレツが焼き上がる。部分的なフレンチトーストともいえるかもしれない。
言われてみればなるほどな食べ物で、食パンに生卵を載せてトーストしてラピュタパンにするというのは見たことがあるがそれをオムレツにするという発想はなかったな。

カヤ・トースト (シンガポール)

ココナッツで作るジャム、カヤをトーストにはさんだサンドイッチ。しかしその食べ方が個性的で、半熟卵に醤油を垂らしたものにこのサンドを浸して食べるのだという。非常に興味深い。
このカヤ自体も材料に卵を使っているそうだが、それに加えて更に卵の二度漬け。卵をスイーツに使うのは世界中でやられているが、組み立てからどこか黄身餡のような中華料理の思想を感じる。

ダベリ (インド)

「舌で感じられるすべての味覚がミックスされたサンドイッチ」という見出しがとにかく目を引く。インドならではって感じ。
マッシュポテトとローストしたピーナッツをはさんだサンドイッチなのだが、そこに種々のスパイスミックスをふりかけ、全ての味覚がミックスされるのだそう。