22/06/28 【感想】かぐや様は告らせたい 〜天才たちの恋愛頭脳戦〜(実写映画版)

佐藤二朗部分だけ取り除けばこの映画はだいぶ良くなるのではないか?

…そう思ってしまった実写映画版「かぐや様は告らせたい 〜天才たちの恋愛頭脳戦〜」の感想です。佐藤二朗が、というよりはその使い方が…。


毎月友人と集まって、アマプラのウォッチパーティー機能で一緒に映画を見てるんですけど、今月はこの映画でした。しかしその場の誰も原作及びアニメ版「かぐや様は告らせたい」に一切触れたことがない!
僕もそのひとりで、一番かぐや様を見たのは雀魂でした(以前コラボしたのでアバターに設定しているユーザーがいるのです)。
なのである意味とても新鮮な目線での鑑賞となったわけですが…。

Amazonはもちろんその他のレビューサイトを見ても大体評価2.5で、ヤバいんじゃあないかと思ってはいたんですね。
ただ終わってみての自分の中の評価としてはまず「星1はない」。どう評価するかは人それぞれだと思いますけど、少なくとも僕はこの映画に星1を振ることはないです。じゃあ星いくつかというと、「まあ2か3かな…3だとちょっと高いかな…」となって、やっぱり星2.5は正しかったんだと妙に納得しました。

実写続編の「ファイナル」の方はアマプラで無料になっておらず500円でレンタルだったんですが、それでも普通にレンタルして見てみたいなと思いましたね。というのも、途中から割と評価が上がっていくような感じだったので、普通に続きを見たいなと思ったのです。

印象としては…野球で例えるならば「主砲・橋本環奈(四宮かぐや役)が猛打賞の活躍も、彼女が打点を挙げるたびに継投で失点する映画」。
橋本環奈のかぐやがハマり役な上に非常に顔が良く、平野紫耀(King&Prince; 白銀御行役)も尻上がりに役とシンクロしていってイイ感じなところがあり、これは原作が普通に面白いんだろうなと感じる箇所が素直に面白くなっていたりして、見るべきところはたくさんあるんですけど…リードするたびにその分だけ中継ぎが炎上して失点していく。あの手この手で勝ちを消してくる。そんな暗黒プロ野球チームのような映画です。


どんな失点かというとまず設定のナレーションをしながら実写俳優のクソコラみたいなのをパワポみたいに動かす演出!!
冒頭など、原作やアニメでもナレーションが入りイメージ映像が流れる部分ではあるのですが、やっぱりこの演出をいきなり見せられちゃうと「あ~~~…そういう感じかぁ…」と実写化につきまとう悪いイメージみたいなものがビンビンに刺激されちゃうんですよ…。

冒頭早速ナレーションとイメージ映像をゴリゴリに見せつけられた後も、かぐやと会長が何か考えるたびに空中にやたら三角関数を多用する数式が浮かび上がったりして、そのたびに「ヤバい」雰囲気をムンムンに醸し出してきます。
一緒に映画を見ている通話グループから「まだ10分しか経ってない」と絶望の声が聞こえてきました。

ですが、次第にいいところにも目が行くようになってきます。

まずなんといっても橋本環奈の顔がめちゃくちゃに良い。
原作でも美少女という設定のキャラを、ちゃんと原作に似せているのに全く不自然でなく、しかも原作に負けないくらい美少女。これってすごいことだと思います。
30分ほどで「これは橋本環奈を見る映画だ」と思いましたからね。明らかに画面に占める橋本環奈の面積に応じて効用が生まれている。
そう思っていると原作でおもしろかったであろうエピソードがちゃんと面白かったりして、ちょっとずつ評価が上がってきます。あと考え事をするたびに数式が浮かび上がらなくなって安心します。

ただ上述したように橋本環奈が打点を挙げるたびに失点するつくりとなっておりまして…。
「あ、なんかいい映画になってきたぞ」って思うと途端にこう…浮かしかけた腰をまたソファに沈めてくるような余計な演出が入るんです。麺でも茹でてるのか? 吹きこぼれそうになるとびっくり水を入れているのか?
途中マジで「この映画は二重人格の人が作ったのか?」って心配になったよ…。面白いエピソードやちゃんと引き込まれるようなシーンがあるとその後必ずため息を誘うような演出でプラマイゼロに引き戻してくるというターン制バトルが展開されてる。裏人格の人はなんかあったん? 話聞こか?

残り1時間の時点ですごいいい感じの流れになった時、「もしかしてこのままラストシーンになって、残り1時間はNG集だったりするのでは…?」と儚い希望を抱いてしまったくらいには時間が長く感じられました。
まあ当然そんな願いは届かず、クライマックスかと思うほどいい感じになった分だけ強烈な反動が来るんですけどね…。後から反動で来た残念なギャグは映画オリジナルだということを知ってめまいがしそうになりました。

ここまで見てると「クソコラをバックにしたナレーション」と「いいシーンの直後に挟まれる映画オリジナル演出」が色々台無しにしていることに気づくんですが。
ナレーションは佐藤二朗で、映画オリジナル演出で残念なギャグを挟んでくる医者役も佐藤二朗なんですよ!! この映画の失点を佐藤二朗が一手に担ってるんですよ!! 佐藤二朗アンチの工作か?と疑ってしまうくらい残念さが佐藤二朗に集中する作りになっている。佐藤二朗が悪い実写の擬人化のような存在になっている。

ですが、映画オリジナル部分のすべてが悪いというわけではありません。
残り1時間はNG集でもなんでもなく、原作の要素を拾いつつ映画オリジナルの展開になっていきます。この展開が…良いんですよ!
ネタバレになってしまうので詳しくは書けないのですが、僕は後からこの終盤の展開が映画版オリジナルだったことを知ってびっくりしました。それくらいに自然で完成度の高いものだったのです。

…原作もアニメ版も未履修のはずなのになんでこんなに原作と照らし合わせて感想を書いているかというと、映画版を見たあと原作を気になって読んだからです。10巻まで一気読みしました。アニメ版も見始めました。面白い。
すごく原作が気になる作品で、そういう意味では良いメディア展開なのかもしれない…。実写映画の方も尻上がりに評価を上げる作品で、上にも書きましたが普通に続編を見たいと思いましたね。