23/03/01 タイム・ハズ・パースト

「映画大好きマズルカちゃん」を読みました。
やっぱり創作という営みにまつわる事柄の言語化がうまくて読んでいて気持ちがいい。

ビビとマズルカという全くタイプの異なる2人の駆け出しが、それぞれの分野で自分を実現し、この2人が軸となる作品を作ろうとする。この全く異なる人種、普通なら出会うことのないような2人が映画界という車軸でつながって両輪で走る展開は第1作「映画大好きポンポさん」におけるジーンとナタリーを思わせ、この作品における王道の構成だと改めて思いました。

個人的にはこれまでの作品の凄まじいパンチ力と比べるとパンチの点では少しおとなしかったかな。でも整った作品でしたね!

その後ごちうさの新刊を読み始めました。
で、読みはじめてすぐ自分の中でピンときたことがあったので、うまくまとまっていないのですが話していいですか?

きららマンガの単行本の恒例行事として巻頭には登場人物紹介のために全員が順番にお披露目されるような話が置かれるんですけど、その中でナツメとエルの双子の姉妹が登場するシーンがあるんですね。

Koi「ご注文はうさぎですか?(11)」芳文社

自然な流れで名前を呼ばれて、お手本のような紹介シーンなんですが、この二人なぜか手を繋いでるんですよ。双子の姉妹が散歩の途中に知り合いに会って突然向かい合わせで手を繋ぐという不思議な現象に「らしさ」を感じて微笑ましく受け取った…のですが。
その瞬間にピンときたんですよ。
「これはミュージカルにおける歌なんじゃないか?」と。

ミュージカルにおいて突然歌いだす人は、当然現実ではありえないようなことをしているわけです。しかしそこには舞台という空間において作中世界の奥行きを補足し観客に情報を伝えるという機能があるわけじゃないですか。
この手繋ぎもそれと同じことなのではないか。
つまり、知り合いに会った双子の姉妹が突然向かい合わせで手を繋ぎだすというのは突然歌いだす人のように現実では突飛に思えることなのですが、この4コマ漫画の巻頭という限られたスペースの中で2人の関係性をわざわざ言葉で説明することなく読者に伝えるという機能を持っているのではないかと。

この「ミュージカルという歌」という解釈が自分の中でピタッとハマって気持ちよかったので、こうしてテンションが上がって日記を書いているというわけです。ご清聴ありがとうございました。