20/11/02 メシ漫画のたしなみ

およよ…「すいとーと!」が終わってしまった…。

メシ漫画は好きなジャンルなんですが、なかなか難しいですね…。

難しいというのは、メシ漫画って多くの場合テコ入れされてしまうんですよ。
一番多いのが新キャラの投入。次に多いのがストーリーの投入。まあほとんどの場合このふたつはセットで来るんですけど。

僕の理想はずっとキャラも増えず各話同じくらいの振れ幅で毎回違うものを食べてくれる「孤独のグルメ」なんですけど、あれを真似するのはやっぱり大変なんですねえ。

メシ漫画は自分で料理するタイプとお店に食べに行くタイプの2種類に大別できると思うのですが、僕はどっちも好きです。
ただ料理する漫画の中でも食べることに比重が寄ってるものが好きですね。調理の方に比重がある、いわゆる伝統的な料理漫画は守備範囲外です。

「くーねるまるた」は初期の頃の、マルタさんがプータロー生活しながら安アパートで節約アイデア料理してた頃が一番好きでしたね。

ポルトガルから日本に留学してきていた主人公のマルタさんが大学院を出て就職せずアパートに残って生活する様子を描く話なのですが、この設定がいいですよねえ。
昼間っから公園でザリガニ釣りしてたり、図書館で絵本やエッセイを借りてきて読んだり。出てくる文学作品もみんないい温度感で魅力的に見えるんですよね。
でもこれもテコが入って僕の好みから外れていってしまった…。

実写化もした「新米姉妹のふたりごはん」はずっと好きですね。
初期の頃のユニーク調理器具が出てくる流れも好きだったんですけど、その後も料理のワクワク感みたいなものはずっと続いていて、新キャラが増えても空気感は変わらず続けてくれています。好き。

この漫画はやっぱりあやりが料理マニアなのがいいですよね。
ユニークな調理器具も、それを使えることにキラキラしてるのがほっこりする。わかるなー、使い所が限定されるものを使えるシチュエーションがきたときって、どんなものでもワクワクしますよね。
あやりが嬉しそうに料理を作ってサチが嬉しそうに食べるという原則をずっと守っているのがこの漫画のいいところだと思います。
というか8巻出てるじゃん!気づいてなかった!早速Kindleで買いました。ありがとう日記!

一方「すいとーと!」は主にお店に食べに行くタイプですね。
福岡の実在のお店が出てきます。これは近いうちに感想記事書きたいな。(追記:書きました)

実在のお店は出てきませんがお店で食べる話だと「アイドルマスター シンデレラガールズ After20」はゲームタイトルのコミカライズでありながらここに並べてるような他の作品群と比べても全く見劣りしない、上質なメシ漫画です。

キャラクターコンテンツのコミカライズでありながら、キャラの追加がとても丁寧で上述したようなテコ入れによって軸がぶれてしまうことがない。
最初期はストーリーも軸にしようとしていたところがあるのですが、早い段階でいい意味で吹っ切れて酒と食べ物を前面に押し出すようになりました。
ストーリーも毎回あるんですけどそれが前に出すぎず、ちょうど「孤独のグルメ」のようなバランスになっています。

この作品はメインキャラクターがみんな自立した(そして芸能人で稼ぎもいい)大人の女性であるという設定を生かして、「大人が食事することのワクワク感」を出してくれるのがとてもいいですね。
飲み屋で気心知れた友人同士、値段見ないでとりあえず食べたいもん頼んで好きに食べようってするときの楽しさ。夜の帰り道に屋台に入る冒険感。夜にうまい肉を食いにいく予定が入ってるとき日中からもうテンションが上がる感じ。「食いたいもんを食う」という大人の特権の輝き!
大人の世界にある、食べ物を巡るトキメキを描き出す良作です。

ストーリーもキャラクターも主張せず実在するお店で食べることに特化したスタイルの「ゆかい食堂セレクション」も買ってよかったと思える漫画です。
食べることやメシ漫画が好きな人はもちろん、行く予定のない場所のガイドブックを読むのが好きなタイプの人なんかも楽しめます。
僕はその全部に該当していたので大変楽しめました。

この漫画は「店に入って料理が出てくるまで」がいいんですよね。料理を楽しみに心待ちにするあの時間が漫画の中に表れています。
外食系メシ漫画の中でもこの"間"を大事にしてくれるものは一気に臨場感が増します。

家が狭いからなるべく物理書籍は買わないようにしてるんですけど「だがしかし」は全巻紙で持ってたり、ほんと食べ物の漫画多いな…。
そういえば芳文社セールのときに買った「幸腹グラフィティ」をまだ読めてませんでした。楽しみ!