21/05/25 【感想】ウィッチリングマイスター

サークル「犬と猫」さん制作のクラフト経営シミュレーションゲーム「ウィッチリングマイスター」をプレイしました。

一言でいうと「めちゃくちゃストイックなシミュレーションゲーム」です。
感想とは言っていますが、本記事ではその「ストイックさ」について書いていきます。

このゲームは指輪職人になりたい主人公が父親を認めさせるために指輪コンテストで優勝することを目指すというものです。やることはひたすら指輪を作って売って、その売上を元手に制作環境や販売環境へ投資したり主人公の能力を上げたりしながらちょっとずつ作る指輪の質を上げていくというもの。

シミュレーションゲームによくあることとして「終盤はひたすら単調な作業になってしまう」ということが良くも悪くもあると思うんですが、このゲームは序盤からずっとそれです。
なので有り体に言うと「シミュレーション終盤の作業になった部分だけを遊べるゲーム」。ストイックでしょう? こう書くと悪く言っているように見えてしまいそうですがそうではなく、シミュレーション好きにはあの状態が一番楽しいという人がいるのです。僕もその気持はかなり分かります。ひたすら単調にお金を稼ぎたいのに素材集めとか入るとめんどくさいよ、って思う時があるのです。

アトリエシリーズだと戦闘したり素材を集めたりといった錬金以外の要素がありますが、このゲームでは制作・販売・投資のサイクル以外のものはとことん削ぎ落とされたストイックな作りになっています。
このゲームを制作したサークルである「犬と猫」さんの「レミュオールの錬金術師」というゲーム(めちゃくちゃおもしろい)は「戦闘や探索がなくて素材収集と錬金だけのアトリエ」なんですが、これが更に削ぎ落とされています。

一方で「投資」の部分はめちゃくちゃ充実しています。
アトリエの設備は使い切れないほどたくさん用意され、そのほとんどにレベルアップや上位ユニットへのランクアップが用意されていたり。制作スタッフと素材を仕入れる宝石商をスカウトしてきて育成することも大事。店の販売スペースそのものも拡大していかないといけません。
主人公はひとしきり売って人気がなくなった指輪をカタログすることでステータスを上げられるので、これによって少しずつ主人公の能力を伸ばしていきましょう。カタログの枠数にも投資して増やしてあげないといけません。主人公自身が持つ数多のパッシブスキルを取得して育てていくのも楽しみ。
またスタッフとは別に仲間を3人編成することができそれぞれがスキルを持っていて、もちろんスキルは育てることができます。仲間が持っているパネルをカスタマイズしたりなんだり…。
この超たくさんの要素を育てていくので「次はどれを育てよう」という選択肢が常に豊富に存在します。「これだけ上げときゃOK」に全然ならない。いくらでも育成できます。ちょっとずつパラメーターを上げて改善していくのが好きな人にはたまらない。

このゲーム、目標はあるのですが制限時間がないのでストレスがないのも良いところ。時間さえかければいつかはクリアできるというのは退屈に感じる人もいるかもしれませんが、好きなように何でも試せるこのシステムが選択肢の豊富さを成立させてます。いくら選択肢がたくさんあってもある程度正しいルートを進まないとゲームオーバーになるようでは、実質取れる選択肢は狭まってしまいますよね。

…と、かように経営シミュレーション好きの中でも特にストイックな部分に絞った、プチプチくんをロールで買うようなゲームなのですが、僕には正直ストイックすぎたかも…!

錬金ゲームだと最初は小麦粉しか作れなかったのがパンを作れるようになったりして成長を感じられるんですが、このゲームはひたすらリングを作り続けてリングの出来がちょっとずつ良くなっていくだけなんですよね。最初から最後までひたすらリングを作り続けるだけ、できることもゲーム開始直後と終盤でほとんど変わらない、というのはストイックな魅力でもあるのですがやっぱり退屈でもあり。でもこの3日間ひたすら時間を溶かしてクリアしたので、やっぱりハマってはいましたね…危険なゲームだ…。