21/12/24 個人的ブックオブイヤー2021

説明しよう!個人的ブックオブイヤーとは僕が今年読んだ本の中でお気に入りを選ぶものである!
…という記事を書いてから1年が経ちました。noteで日記を書く前から毎年自分ひとりでやっていたことですが、今年も選んでいきたいと思います。

その本がいつ出たかは一切関係なく、「僕が2021年に読んだ本」が対象です。初読/再読は問いません。…というのがいつものルールなのですが、今回は「前回(2020)の記事の後に読んだ本」を対象とします。なので2020年の最後の方に読んだ本も入ります。
ちなみに今年はずっとこのnoteをやっていたのでほとんどnoteで感想を書いています。感想を書いたものは記事のリンクもはっていきますね。

『フォックス家の殺人〔新訳版〕』エラリイ・クイーン

昨年末は新訳版の『フォックス家の殺人』で楽しく過ごしました!
最初にクイーンにハマって読みまくったときも年末年始くらいにライツヴィルシリーズに突入して休暇中ずっと読んでた覚えがあります。大晦日に『災厄の町』を一気読みしたんじゃなかったかな。
感想でも書いたんですけど、「ミステリの文章」としてとてもイイ香りのするものに仕上がってるんですよね。とても上質な銀シャリを食べている感じ。オカズももちろんうまいんだけど、コメがうまい。このコメのうまさこそクイーンの大きな魅力です。

『午前零時のサンドリヨン』相沢沙呼

年始は一転、この作品で大いに楽しませてもらいました。初読作品に限ったら今年のベストワンかも。
とにかくアーキテクチャがめちゃくちゃよくできています。「学園モノ」「日常の謎」のフォーマットで、マジシャンを探偵役にしたボーイミーツガールを描く。こうしてカテゴライズしてしまうとどれもありきたりなものに聞こえるかもしれませんが、これらのバッテリーすべてが直列につながる一本の回路を組み立てるのは並大抵のわざではありません。
そしてデザインはもちろん、実際の読ませるミステリとしての実装も非常に高レベルで、相沢沙呼のミステリセンスの高さが光り輝く作品です。

『know』野崎まど

会社の先輩がSF好きで、新刊を買って読んではおすすめして貸してくれるので、ここ数年SFにも手を出すようになってました。
しかしリモートワークになり本を借りることもできなくなってしまい…でもまだSFの火が途絶えていなかった!
なんとなく手を出したこの『know』はアタリでしたねー。このノリとハッタリで一気にアクセラレーションする世界観に乗せられて一気に走り抜ける感じ、たまりません。これが楽しめるなら僕はまだまだSFがイケるはず。

『十日間の不思議〔新訳版〕』エラリイ・クイーン

僕の中で今年のミステリ三大ニュースを挙げるとしたら「『十日間の不思議』新訳版」は間違いなくそのひとつに入るでしょう。
何度読んでもこの作品はメチャクチャに「面白い」。
ハヤカワ・ミステリ文庫収録のエラリイ・クイーン作品で旧訳版のこの作品は通し番号が1番、つまり最初に収録されたタイトルでした。これを一番最初に収録するという尖りっぷりにも色々言いたいことはあるのですがそれはともかく、今回この新訳版の収録によりハヤカワ・ミステリ文庫のクイーン作品で最初と最後が『十日間の不思議』になって一周したというのが令和のミステリファンとしてちょっとした感動でした。
でもこのあと更に『ダブル・ダブル』『靴に棲む老婆』の新訳版も出るらしいですよ!これだからミステリファンはやめらんねえぜ!!

『スペース金融道』宮内悠介

SFから2冊目。
ゴールデンウィーク頃に、未読の宮内悠介作品を一気に摂取する試みをやったんですが、その中でも一番のヒットがこの『スペース金融道』でした。
感想でも書いてますけど、正直ナメてたんですよ。タイトルとあらすじだけ見て「ふーん…」って。いやいやどうして、素晴らしいエンタメでした。
ちなみに未読作品を一気に読んだ動機のひとつは「宮内悠介作品どれ勧める問題」をやりたかったからなのですが、まだできてません。
普通に『盤上の夜』で安定かな…。楽しんでもらえたら、短編路線なら『彼女がエスパーだったころ』や『ヨハネスブルグの天使たち』、長編路線なら『アメリカ最後の実験』に進むのがいいと思います。

『夏と冬の奏鳴曲 新装改訂版』麻耶雄嵩

今年のミステリ三大ニュースのもうひとつがこれ、『夏と冬の奏鳴曲』新装改訂版!
この作品だけはめちゃくちゃ熱中して再読したにもかかわらず、感想記事を書いていません。感想書けないんですよ、これ…。
これも読み口は『十日間の不思議』に似ていて(似せているのかもしれませんが)、何かはわからないがただならぬことが進んでいるという雰囲気そのものでどんどん読ませるタイプの作品です。
面白い、めーちゃくちゃ面白いんですよー! 読んでくださいねー!!

『夢野久作全集』夢野久作

今年のブックオブイヤーを選ぶとしたら、このタイトルになります。
というのも今年の読書時間の相当な割合を費やして、この全集を最初から順番に読んで夢野久作作品をひたすら漁っていたんですよ。そして今なおまだ道の途中。
特に衝撃的だったタイトルはまず第1集収録の「白髪小僧」。夢野久作がこの筆名で探偵小説作家としてデビューを飾る前に書いていた童話作品です。童話と言いつつも内容は大人の読み物。それはファンタジー世界のドグラ・マグラともいうべき入れ子構造で虚実入り乱れる幻惑的なもので、とにかく引き込まれる。毎晩これを読むのが楽しみでした。
他にも第3集収録の「押絵の奇蹟」なんかは以前一度読んだことがあるはずなのにめちゃくちゃハマりましたねえ。
とかなんとか、これらの夢野久作マラソンの感想は後でまとめて出したいと思っています。

といいつつ時々我慢できずにあふれています。


今年は去年にもまして読書がはかどらなかった…理由はわかりきっていて、一年中リモートワークだったせいです。やっぱり通勤や長距離移動があったほうが読書をする。
読書という趣味は幼い頃から身体で覚えた趣味なのですが、そろそろ真剣に「アフターコロナの新しい読書スタイル」を模索していかないといけないのかもしれません。

来年も、いっぱい楽しい本を読めるといいな!